オーバーホール作業は少し暇になりましたね。裏ではローライ35用のパーツを製作検討しています。なかなかコストが下がらないのが悩み。自分でフライス加工もしなければならないし・・で、うちのお客様からPEN-S2.8を頂いてしまいました。#3614XX は1963年7月製ですが、PEN-S2.8の発売は1960年6月とのことですから生産が安定したころの個体ではありますが、特徴的には初期型になります。しかし、ファインダーのリンクル塗装も完全で程度は良いです。頂いて良いのかなぁ・・
今回は長期保管でシャッターが不調となっていますのでシャッターのみ直しておきます。コパル#000番シャッターは非常に小さな動力で作動していますので、少しフリクションが大きくなると止まりが発生する神経質なところがありますね。セイコーシヤッターのように強力なバネでガチャンと動くほうがある意味楽です。ここが心臓部で、このバネ1本で作動しています。50年間もテンションを掛けられていますので、初期のバネ力も落ちていてシャッタースピードも上がりません。
このシャッターは生産完了間際に大きな変更を受けますが、駒かな部分の変更は初期にもあります。レリーズ関係の組み立ては↑のネジに寄りますが、この後から地板からネジ付きシャフトがカシメられていて、最後はスリ割ナットにより固定する逆の構造になります。ネジが緩みやすいのと、組み立て工程での作業の簡略化でしょうか。
シャッター羽根の表面も摩擦により鏡面になって来ていますので、それによって張り付き現象が起きやすいこともあります。新品のシャッター羽根があれば交換したいところ。
バックプレートの裏側に油が付着していることがあります。それがシャッター羽根に付着することによって止まり症状となりますので、分解洗浄をしておきます。
完成したシャッターユニットを本体に搭載しました。ストロボ発光のテストをしてシボ革を貼ります。
最近、オークションなどを眺めているとPEN-Sの状態の良い個体が少なくなって来たと思います。特にレンズの状態が良い個体は貴重です。ご提供ありがとうございました。
トミーのリペイント (tomys800.sakura.ne.jp)