今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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やれやれローライコードⅠの巻

2024年05月08日 21時00分00秒 | ブログ

ゴールデンウイークはどこへ行かれましたか? 私は今週末の運転会がやっと息抜きです。しかし、このような古いカメラがどこにあるのでしょう? ローライコードⅠとのことですが、1936(昭和11年)ころの製造らしいです。コードになるといきなり銘板が0.75mm厚のアルミ板になってしまうのね。茶色は黒が退色をしたのでしょうね。

とりあえず動かないしレンズも曇っていますので分解をしていきます。

 

 

画像が増えそうですので簡単にUPしていきます。古い割にはシャッター内部は悪くは無さそうです。分解清掃をしていきます。

 

レンズはビュー、テイク供曇っているのは、この時代のカメラの定番です。ビューレンズを分離しましたが、過去に緩み止めのイモネジを緩めずに強引に分解されてねじを壊しています。(裏側)

レンズは裏表が似ていて間違いやすいので組み立ては気を付けます。

 

 

フィルムカウンターは窓が素通しのため大量に汚れがあります。動きが粘って巻き上げが正常に動きません。

 

「12」前後に傷があるのは恐らくカウンターが粘って動かないので鋭利なものでこじった痕でしょうね。そんなことしたって・・数字の色入れが抜けて見えにくいので入れ替えることにします。

裏側のギヤの戻り用コイルバネが弱っています。これが弱いと巻き上げに不具合が出ます。極細のバネですので代用は難しいです。

 

カウンターの動きを直しても巻き上げ(巻き止)が正常に作動しない。巻き上げギヤを止める爪が異常に摩耗しているように見えます。

 

分離してルーペで見てみると・・あ~、これは摩耗ではなく故意に削られていますね。先端部分を薄く削り過ぎたためにギヤに噛合わなくなってしまい、結果的に巻き止が出来ないのです。

 

裏側を見ても分かります。なぜ削ったのか? まぁ、正常に動かないので直そうとした?  私はオリジナルの部品を削って修理するような考え方はしたことがありません。

 

先端の形状もオリジナルとは違っている気がしますけど良品が無いので比較が出来ません。微妙な先端形状の違いが正常に巻き止まない原因にもなるのです。交換部品はないし、削っちゃったものは戻らないしね。仕方がありませんので旋盤のバイトの先端部チップを取り付ける要領で欠損部分を作りました。

何とか正常に巻き止が掛かるようになりました。

 

 

ダイヤルのシボ革が無くなっているのでローライフレックスのジャンクからシボ革を調達して作りました。意外に同心円の2か所加工は難しいです。資料の画像を見るとダイヤル中央のボタン(ロック解除)は黒塗装のようです。この個体は未塗装なのか剥離したものか? まぁ、塗っておきましょう。

スプールノブのシボ革も無くなっていますので他から調達しておきます。

 

 

このカメラはフォーカシングルーペが:欠損していて、前面フードの後ろ側にあるミラーを45°に倒して背面のルーペで見るしかありませんが、ミラーはすでに腐食しているし見にくいと思いますね。通常のミラーは製作して交換をしてありますが。

巻上げテストをしていると、稀に巻き止が掛からない時がある。点検すると「自動巻き上げ止め装置」のレバーはフィルムカウンター側の制御レバーも削られていることが分かりました。こちらも同じ方法で修復して、何度も仮組をしながら適正な寸法になるよう修正をしました。

このモデルは巻き上げダイヤルの仕様がダイヤルの外側にはシボ革がなく、中央のボタンは真鍮地となっていますが、一般的なシボ革貼りのボタンは黒塗装で組みます。塗装をしたボタンだけ新しく見えて若干、乞〇が歯を磨いたみたいに見えますかね。

どうも巻き上げダイヤルとフォーカシングダイヤルは色々な仕様がある可能性があります。今回、フォーカシングダイヤルはシボ革仕様としていますが、ダイヤル外周に淵がなくフラットでシボ革仕様としては不自然なのでシボ革仕様でなく黒塗装仕様の可能性もあります。シボ革裏の見えない部分にMade in Germanyと刻印されているのも変です。

戦前のカメラですから今となっては良く分かりませんが、零戦より古い工業製品が良く生き残っていたと感心します。

それと、ここのところ難しいカメラが続いていることで、メールでのお問い合わせやご連絡が遅れる傾向にあります。申し訳ありませんが、順次対応いたしますのでよろしくお願いいたします。

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