作業は続けていますが画像を撮っておりませんでした。PEN-FTと70mm、25mmなどをオーバーホールしておりました。
このPEN-FV #1310XXはセルフタイマーは巻き上げてもロックせずにレバーが戻ってしまう不具合。
FT(V)のセルフタイマーには大きく2種類ありまして、前期は巻き上げると「ジッジッジッ」と音がするタイプで、その後の改良型は音もなくスゥーっと巻き上がるタイプ。FVは全般的に改良前のユニットが使われている個体が多いですが、この個体は改良タイプが付いています。その改良型にだけ起こる不具合です。厳密に言うと取付けネジの位置が画像のタイプと、後期には〇に孔位置が変更されたタイプがあります。
↙の歯車がワンウェイクラッチになっていて、反時計回りはフリーで時計回りではロックとなりますが、内部の3つのコロの動きが固着するとロックが掛からなくなります。セルフタイマーの原理は時計の脱進機と同じアンクルによる仕組みでスローガバナーより振動数は少なくなっています。
この個体はギヤ(針)がどちらの方向でもフリーとなっています。カメラにも時計の原理が使われているわけですが、ここで「ガタパシャさん」からメールを頂きました。「SNS上で時計とカメラのどちらの修理が難しいか? 」と言うことが話題になっているようです。私にしたらどちらにも難しいところがありますが、時計はカメラより一段精密度が上がりますので組み立てに難しさがありますが、時計の設計(原理)は基本的にどのメーカーの機械でも同じですので(70年代以降は独自設計が多い)基本を覚えてしまえば組み立ては出来ます。しかし、カメラはモデルによって設計が異なりますので多数のモデルを理解することは非常に難しいところがあると思いますね。
分解するとこのようになっています。回転する方向によってコロが歯車外周に押さえつけられてロックされ、逆転ではフリーとなります。
一緒に付いてきたPEN-S 3.5 #1015XXです。辛うじてシャッターは動きますので途中で修理を受けていますね。へこみなどはないですが、シボ革に手垢がごってり。
ファインダーの汚れとレンズの前玉に円周上の拭き傷があります。
すべて洗浄したところ。では、シャッターからオーバーホールをして行きます。
やはりシャッターは分解されていますね。白いネジの緩み止めは溶剤で取り除いてから分解しなければネジのスリ割を痛める危険が高いですよ。
特に問題はなく組みたてています。レンズとファインダーを清掃して組みます。
古い機械式カメラにとっては厳しい極寒の北海道へPEN兄弟は帰ります。春になったら活躍して欲しいですね。