現在、有り難いことに多くの修理ご依頼を頂いておりますが、今月は26日よりの「世界の中古カメラ市」対応のため、ブログの更新は余裕のある時だけとさせて頂きます。よろしくお願いいたします。
みんな大好き42mm f1.2です。レンズの曇りが多いのは知られていますが、年々作動も重くなっています。うちの46万台の標準機でフリーズします。
マウント部の絞り機構が重くなっているのも要因ですので分解洗浄をして組みます。
うっすらと曇っているのが分かりますか? 2枚レンズ重ねに接着されていますので、その内側は清掃することが出来ません。ガラス自体も曇って来ます。
こちらは40mmですが、前玉の内側外周が曇っています。これは保管が良くなかった個体に多い不具合です。幸い清掃できれいになりました。
次はローライコードⅣです。送られて来るのはこのように積年の汚れが付いた個体が多いです。
巻き上げダイヤルも手垢でごってりです。メンテナンスの前にまずこれらを清掃していきます。
ビューレンズを分解して清掃します。その他シャッター不調ですのでメンテナンスをします。
シャッター・絞りレバーの動きが重い。古いグリスが固化しているのです。すべて分解洗浄で新しいグリスにより組み立てます。
この個体は素性が良いです。外観もピカピカになりました。次はローライ35です。
あれから何台のローライ35系を作業したか・・このローライ35は電池蓋が開きません。結晶物質があってイヤな予感です。
やっと電池蓋を取りましたら、H-D水銀電池が入っていました。ローライ35系はコンパクトなボディーの中に露出計が組み込まれており、電池室の上に基板、前にCdsがある設計のため、電池の液漏れを起こすと致命的な状態になるのです。
この個体はトップカバーのへこみの他にアンダーカバーの巻き戻しダイヤル部もへこんでいます。出来るだけ修正をしておきます。
次のローライ35Sは距離リングを回すとヘリコイドグリスの劣化による回転ムラの他に∞側でリングが重くなる。ヘリコイドネジを点検しても問題は無し・・
原因はここでした。この部分は距離リングの位置調整のためシムが入りますが、この個体は真鍮のリングシムのみでしたが、〇シムが入っていたはずです。それが無いので距離リングが接触するのです。過去の分解で取り除かれたのでしょう。
二眼レフも何台かやりました。この4X4 ベビーローライはフードのアオリが展開しません。修正をします。
と書きましたがそれで終わらなかった。もう何日このカメラを相手にしているのだろう。正直なところ私はこのカメラと相性が良くありません。チャージが完了しない症状が有ります。点検するとチャージギヤに↑の隙間がある。この分だけチャージが足りなくなるようです。
この個体は過去に分解されていて、裏側のチャージギヤとリングギヤの噛合いが1山ズレていることもあるとのことで・・
しかし、チャージは解決するが、巻き止の調整が範囲を超えて出来ない。1山ではなく半山調整をしたいところですがそれは出来ない。まぁ、いろいろ考えて解決しましたが、このカメラは一つの不具合を改善すると関連する別の不具合が出るという厄介なメカ。バランスの取れた修理は難しいですね。
二眼レフの最後の作業はシボ革の接着ですが、この個体の場合、過去に何度か貼り直されているため接着剤が厚くガビガビになっているような状態でこのまま貼ることは出来ません。ゴム系のG17も剥がしづらく困りますが、昔のセメダインCのような透明でカチカチになる接着剤が使われています。これを紙やすりで削ってから貼ります。本革は溶剤を使うことが出来ませんのでね。