中学に入学後は、さすがに小夜子の添い寝を拒んだ。
「大丈夫だよ、もう。僕、中学生だよ。一人で寝られるから」
「どうして? お母さんが嫌いになったの? お母さん淋しいわ」
そんな会話が暫くの間続いた。彼としても母親の添い寝が疎ましくなったのではない。
友達に知られることが恥ずかしかったのだ。
「まだおっ母のおっぱいを飲んでる!」
と、揶揄された小学生時代を卒業したかったのだ。
得意気に近所での井戸端会議で自慢する母親に、敵意さえ感じたこともあった。
小夜子にしてみれば、自分を慕ってくれる息子の自慢話の一つに過ぎないのだが、そのことだけは許せなかった。
彼自身も、小夜子は自慢であった。
村中の全ての母親、いや女性の中で飛び抜けた美人だった。
都会での生活が、小夜子をして洗練された物腰・話しぶり・そして何より服装が自慢だった。
参観日に学校を訪れた際などは、”映画スターが来た!”と大騒ぎになった。
学校中の生徒は言うに及ばず、教師が小夜子の姿を人目見ようと集まってきた。
校長ですら押っ取り刀で現れた。彼は鼻高々で、小夜子の傍を離れなかった。
もっとも、そのことが男子児童の反感を買い、女子児童の憧れに拍車をかけたのだが。
「ほぉほぉ、あの方ですか。なるほど、相変わらずお美しいですなあ」
「校長、まったくですわ。目の保養に、なりますですなあ」
「素敵よねえ、本当に」
「うっとりするわ、ほんとに。羨ましいわ、みたらい君が」
「なんでえ、母ちゃんが美人だからって、調子こくなよ!」
「そうだ、そうだい! おっ母がきれいだったら、偉いんかよ!」
「大丈夫だよ、もう。僕、中学生だよ。一人で寝られるから」
「どうして? お母さんが嫌いになったの? お母さん淋しいわ」
そんな会話が暫くの間続いた。彼としても母親の添い寝が疎ましくなったのではない。
友達に知られることが恥ずかしかったのだ。
「まだおっ母のおっぱいを飲んでる!」
と、揶揄された小学生時代を卒業したかったのだ。
得意気に近所での井戸端会議で自慢する母親に、敵意さえ感じたこともあった。
小夜子にしてみれば、自分を慕ってくれる息子の自慢話の一つに過ぎないのだが、そのことだけは許せなかった。
彼自身も、小夜子は自慢であった。
村中の全ての母親、いや女性の中で飛び抜けた美人だった。
都会での生活が、小夜子をして洗練された物腰・話しぶり・そして何より服装が自慢だった。
参観日に学校を訪れた際などは、”映画スターが来た!”と大騒ぎになった。
学校中の生徒は言うに及ばず、教師が小夜子の姿を人目見ようと集まってきた。
校長ですら押っ取り刀で現れた。彼は鼻高々で、小夜子の傍を離れなかった。
もっとも、そのことが男子児童の反感を買い、女子児童の憧れに拍車をかけたのだが。
「ほぉほぉ、あの方ですか。なるほど、相変わらずお美しいですなあ」
「校長、まったくですわ。目の保養に、なりますですなあ」
「素敵よねえ、本当に」
「うっとりするわ、ほんとに。羨ましいわ、みたらい君が」
「なんでえ、母ちゃんが美人だからって、調子こくなよ!」
「そうだ、そうだい! おっ母がきれいだったら、偉いんかよ!」
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