三
「社長、ちょっと。失礼、永山さん。」と、武蔵に目配せをしてきた。
「なんだ?どうした。」
五平の意図を測りかねる武蔵は、怪訝そうな面持ちで五平に答えた。
三保子から少し離れた五平は、
「彼女に、ドレスでもプレゼントしてくださいな。
私が巧く言いますから、頷いてください。
お願いしますよ、トーマス准将のタイプなんです。」と、耳打ちした。
「あぁ、分かった。」
武蔵が答える間もなく、五平は三保子に声をかけた。
「永山さん。大変失礼なんですが、ドレスをプレゼントさせてください。
いや、だからといって強制することはありませんから。
今夜お付き合いしていただく、そのお礼の気持ちですから。」
「えっ?でも・・それは・・」
「遠慮しなくても、いいんです。
社長の趣味のようなものなんですから、プレゼントは。
若い女性が美しくなるのが、嬉しいんですよ。」
「お嬢さん、加藤にお任せなさい。
往来で、押し問答もないでしょう。専務、頼むぞ。」
困惑顔を見せつつも、五平に促されて三保子は、今し方覗き込んでいた洋品店に入った。
四
“成る程。こういった手口で、口説き落とすのか。
一度覚えた贅沢からは、中々抜け出せないものだろう。”
店の中に消えた二人を見ながら、武蔵は一人頷いた。
“そう言えば、女給達もだな。
‘鮨でもつまむか?’と言うと、
普段は何や彼やと理由をつけては逃げるくせに、ほいほいと連いて来る。
浪江の奴は、その最たるものだ。
この間は、バッグをねだられた。
まったく、高く付く女だ。
その点、加奈は安上がりだ。
安物のブローチ一個でも、大騒ぎする。”
そんなことを考えていた武蔵に、五平が声をかけてきた。
「社長!中に入って、三保子さんを見てください。
私の目に、狂いは無かったです。
見違えるようですぜ。」
背中を押されるように店に入ると、恥じらいを見せる三保子が居た。
「ほぉー!」
思わず、感嘆の声を上げた。
映画女優ばりの、妖艶な女性に変身していた。
大きく開いた胸元から、こぼれんばかりの谷間が見える。
確かに、アメリカ人が好みそうに感じられた。
「社長、ちょっと。失礼、永山さん。」と、武蔵に目配せをしてきた。
「なんだ?どうした。」
五平の意図を測りかねる武蔵は、怪訝そうな面持ちで五平に答えた。
三保子から少し離れた五平は、
「彼女に、ドレスでもプレゼントしてくださいな。
私が巧く言いますから、頷いてください。
お願いしますよ、トーマス准将のタイプなんです。」と、耳打ちした。
「あぁ、分かった。」
武蔵が答える間もなく、五平は三保子に声をかけた。
「永山さん。大変失礼なんですが、ドレスをプレゼントさせてください。
いや、だからといって強制することはありませんから。
今夜お付き合いしていただく、そのお礼の気持ちですから。」
「えっ?でも・・それは・・」
「遠慮しなくても、いいんです。
社長の趣味のようなものなんですから、プレゼントは。
若い女性が美しくなるのが、嬉しいんですよ。」
「お嬢さん、加藤にお任せなさい。
往来で、押し問答もないでしょう。専務、頼むぞ。」
困惑顔を見せつつも、五平に促されて三保子は、今し方覗き込んでいた洋品店に入った。
四
“成る程。こういった手口で、口説き落とすのか。
一度覚えた贅沢からは、中々抜け出せないものだろう。”
店の中に消えた二人を見ながら、武蔵は一人頷いた。
“そう言えば、女給達もだな。
‘鮨でもつまむか?’と言うと、
普段は何や彼やと理由をつけては逃げるくせに、ほいほいと連いて来る。
浪江の奴は、その最たるものだ。
この間は、バッグをねだられた。
まったく、高く付く女だ。
その点、加奈は安上がりだ。
安物のブローチ一個でも、大騒ぎする。”
そんなことを考えていた武蔵に、五平が声をかけてきた。
「社長!中に入って、三保子さんを見てください。
私の目に、狂いは無かったです。
見違えるようですぜ。」
背中を押されるように店に入ると、恥じらいを見せる三保子が居た。
「ほぉー!」
思わず、感嘆の声を上げた。
映画女優ばりの、妖艶な女性に変身していた。
大きく開いた胸元から、こぼれんばかりの谷間が見える。
確かに、アメリカ人が好みそうに感じられた。
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