昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

愛・地獄変 [父娘の哀情物語り] (四十二)

2010-12-25 12:21:43 | 小説
とうとう、
結婚式の前夜が
やって参りました。
式の日が
近づくにつれ
平静さを
取り戻しつつあった私は、
暖かく
送り出してやろう
という気持ちに
なっていました。
が、
いざ前夜になりますと、
どうして
もフッ切れないのでございます。

いっそのこと、
あの合宿時の
忌まわしい事件を
相手に告げて、
破談に持ち込もうかとも
考え始めました。
いえ、
考えるだけでなく、
受話器を
手に持ちもしました。

ハハハ、
勇気がございません。
娘の悲しむ顔が
浮かんで、
どうにもなりません。
そのまま、
受話器を
下ろしてしまいました。


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