(十四)
空耳かと、耳を疑った。
「後がつかえてますから、早く上がって下さいな。」
間違いない、妻の声だ。
しかしおかしい。
妻に背中を流してもらったことなど、一度としてない。
新婚時は風呂場が狭すぎて、入りたくても一緒というのは無理だった。
子供が生まれてから、風呂場の大きいアパートに移ったが、
その時は子供に妻を取られてしまった。
今思えば、風呂を一緒にして背中を流してくれていたら…
浮気心など起きなかった…いやいや、それはどうだったか…。
湯舟を出て、妻に背中を向けて腰を下ろした。
“ギッギッ、ギギィ…”
擬音がする。
“シンジャエ、シンジャエ!”
慌てて後ろを振り向くと、そこには妻ではなく、大きく口を開いた鬼女人形が居た。
ギィギィと音を立てて首が回り、さよこが現れて…大きく口を開けた鬼女人形が居た。
空耳かと、耳を疑った。
「後がつかえてますから、早く上がって下さいな。」
間違いない、妻の声だ。
しかしおかしい。
妻に背中を流してもらったことなど、一度としてない。
新婚時は風呂場が狭すぎて、入りたくても一緒というのは無理だった。
子供が生まれてから、風呂場の大きいアパートに移ったが、
その時は子供に妻を取られてしまった。
今思えば、風呂を一緒にして背中を流してくれていたら…
浮気心など起きなかった…いやいや、それはどうだったか…。
湯舟を出て、妻に背中を向けて腰を下ろした。
“ギッギッ、ギギィ…”
擬音がする。
“シンジャエ、シンジャエ!”
慌てて後ろを振り向くと、そこには妻ではなく、大きく口を開いた鬼女人形が居た。
ギィギィと音を立てて首が回り、さよこが現れて…大きく口を開けた鬼女人形が居た。
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