昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

[お取り扱い注意!] (十五)

2013-08-11 11:23:39 | 小説
(十五)

「おじいちゃん、死んじゃうの? 
おじいちゃん、死んじゃうの?」

幼稚園のモック姿の女児が、半泣きしながら叫んでいる。

「大丈夫よ、大丈夫。
ちょっとね、お熱が出ただから。
今日はこのまま病院に泊まるけれど、明日にはおうちに帰れるから」

にこにこと笑みを浮かべた老婆が、女の子の頭をなでている。

「でもでも、おじいちゃん、目をあけないよ。
お口にカップをかぶせてたら、いきができないよ」

なおも女児が、涙声で叫んでいる。

「これはね、おじいちゃんにね、いっぱいいっぱい酸素を送ってるの。
おじいちゃんにね、息が楽にできるように、わざと付けてるんだよ」

「ほんとに、ほんとに? 
あしたには、おうちにかえれるの? 
マーちゃんが、ようちえんからかえったら、もうおうちにいる?」


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