(四十六)
さあ、意気揚々とホテルを出ました。
右に曲がって、ホテルのカフェを横目に颯爽と歩きました。
お客さんは、まばら…というより、誰もいません。
時間は、九時を少し回ったところでしょうか。
ホテルから凱旋門まで、どの位でしょうか。
距離は分かりませんが、時間としては…十分、十五分、その位でしょうか。
還暦を過ぎた六十四才です。若い人のように、サッサとは歩けません。
その辺は、ご想像下さい。
然も、道々にある広告塔に目を奪われながらの歩です。
面白い物でした、広告塔は。
直径が1メートルはあるんじゃないでしょうかね。
で高さが、わたしの身長は176センチと少しですが、そのはるか上でした。
3メートルまではないと思いますが。
ポスターだと思うのですが、グルグルと回るんです。
理髪店のあるでしょ、ポールみたいなものが。
赤と緑(いや青だっけ?)が、交互になっていて、グルグルと回っているものですよ。
あんな具合に回るのですが、一種類ではなく、二種類のポスターなんです。
初めて見た時は、ちょっとびっくりして、そして感動物でした。
映画やら、モデルさんやらが多かったです。
サングラスを少しずらして、挑発的な顔の表情のモデルさんもいました。
何だったっけ、ブランド品のCMのようでしたね。
理髪店がありました。一瞬、入ろうか…と足が動きかけました。
言葉がね、まるでだめでしょ? 顔剃りでも、と思いはしたのですけれどね。
天気なんですが、曇りでした。肌寒いのは変わりませんが、雨が降っていないのはありがたかったです。
カフェテラスがあります。道路にテーブルと椅子があります。
天井付きで、透明のビニールシートで囲っていますよ。
博多で有名な屋台を大きくした感じです。
もっと本格的なものもあります。
こちらはしっかりとした骨格で、鉄パイプを組み立てて造ってありますね。
写真に撮れば良かったと、またまた後悔しています。
おやおや、この店は凄い。歩道上ですが、車道近くに独立していますよ。
カフェではなく、レストランのようです。食事のメニュー看板が立ててありますよ。
今度は、バイク店です。
たくさんのバイクやらスクーターが、所狭しと並べられてあります。
大丈夫ですかね、こんな歩道上に並べてて。
あぁ、なるほど! チェーンで一台一台が連なっています。これならOKだ。
さあ、地下道に入ります。いよいよ凱旋門です。
少し先で、並んでいる人たちが居ます。どうやら、あそこから凱旋門の階段のようです。
「夕べ、頂上に登ってパリ市内を見渡したわよ」という女傑が居ましたが、わたしにはちと無理そうです。
多分、心臓が悲鳴を上げると思います。
その女傑が「螺旋階段になってて、ぐるぐる回ったけれど、結構傾斜がきつかった」と言ってましたから。
そして今日のフリータイムでは、モンサン・ミッシェルに行くとか言ってましたね。
不勉強でしたが、単なる繁華街で、買い物三昧でもするのかと思っていました。
違うんですね、実のところは。修道院を丘の上に頂く、一大観光地だとか。
日本に戻ってきてから、テレビ番組で偶然にも観ました。
優香さんと、浜口京子さんが訪れる番組でしたが。
先日話を聞いたところ、ガイド無しだったとかで、「キレイだわ」「大きいわ」「高いわ」等々の感想だったとか。「キリスト教の信者さんたちなら、また違った感想を持たれるのでしょうけど」と、言うことでした。
地上に出ました。おぉっと、車がグルグルと回っています。
昨日までは、わたしもバスでまわっていたんですね。感動です。
墓碑、ですかね。
この下に、第一次世界大戦での、無名の戦士の墓があるそうです。
そしてこの火は、決して絶やさないそうですね。
一年365日、一日24時間燃え続けているとか。
柱に、何やら文字が彫り込んでありますが、お名前でしょうか? 思わず、手を合わせました。
今、パリに来てるんですよね。あのレマルクの作品[凱旋門]のパリに。
イングリッド・バーグマンと男優(忘れちゃいました)との映画、「凱旋門」の舞台に立っているんですね。
感慨深いものがありますです、はい。
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