昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (七十) うん? ひょっとして

2013-11-07 20:44:32 | 小説
(四)

「いやいや、これは驚いた。
確かに小さな会社ではありますが、社長職を勤めています。
私も多々出張で宿を取りますが、ずばり当てられたことはありませんよ。
高野屋さんですか。
うん? ひょっとして、蘭学者の高野長英のご子孫だったりしますかね? 
ハハハ…」

「あらあら、ありがとうございます。
ご高名な高野長英先生のお血筋だなんて、光栄の至りですわ。
社長様のお洋服、この辺りではついぞ見ませんお仕立物ですもの。
誰でも、分かりますわ。あたくしは、この通りの女ですから。
思ったとおりのことを、すぐに口にしてしまうのですよ。

でも気持ちの良いお方で、幸いです。
お客さまにお声を掛けるなど、思いも寄らぬことなのですが。
旅館業など素人同然のあたくしですので、中々に」
と、軽く受け流された。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿