(三)
よどみなく話すぬい。旅館の女将と聞いて、得心する武蔵だ。
“女将自らの客引きとは…。すたれかけの旅館か?
それとも俺に興味を持っての、お誘いか?
何にしても、取りあえず案内させるか。
気に入らなきゃ、やめればいいだけのことだ”
「旅館の女将さんですか? そりゃ助かる。
初めての地なんで、宿はさっぱりです。
ま、食堂かどこかで紹介してもらおうと考えてはいたのですが。いやいや、助かります。
しかし何ですね、得体の知れぬこんな男に声をかけられるとは、女将も豪気ですね」
と、探りを入れてみた。
「何をおっしゃいますか、得体の知れぬ男だなどとは。
その身なりを拝見させていただければ、しっかりとした会社の方…。
ひょっとしまして、間違っておりましたらごめんなさい。
社長さまだとお見受けいたしますが?」
これには武蔵も驚いた、世辞での社長呼ばわりではない。
確信を持っての言葉のようだ。
“この女、案外かもしれんな。これは面白い。深入りしてみるかな、ひとつ”
よどみなく話すぬい。旅館の女将と聞いて、得心する武蔵だ。
“女将自らの客引きとは…。すたれかけの旅館か?
それとも俺に興味を持っての、お誘いか?
何にしても、取りあえず案内させるか。
気に入らなきゃ、やめればいいだけのことだ”
「旅館の女将さんですか? そりゃ助かる。
初めての地なんで、宿はさっぱりです。
ま、食堂かどこかで紹介してもらおうと考えてはいたのですが。いやいや、助かります。
しかし何ですね、得体の知れぬこんな男に声をかけられるとは、女将も豪気ですね」
と、探りを入れてみた。
「何をおっしゃいますか、得体の知れぬ男だなどとは。
その身なりを拝見させていただければ、しっかりとした会社の方…。
ひょっとしまして、間違っておりましたらごめんなさい。
社長さまだとお見受けいたしますが?」
これには武蔵も驚いた、世辞での社長呼ばわりではない。
確信を持っての言葉のようだ。
“この女、案外かもしれんな。これは面白い。深入りしてみるかな、ひとつ”
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