昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

初恋をテーマにしたポエムを、おひとつ。

2011-03-14 20:40:53 | 
初恋の人が嫁いでいく。
打ち明けられずにいたぼくから、
去っていく。

朝の目覚め、
あなたの夢から覚める。
正天の太陽の中に、
眩しすぎるあなたを感じる。
沈みゆく夕陽が、
あなたのシルエットを浮かび上がらせる。
体を横たえる時、
あなたのにほいを思い浮かべる。

秋の夜長に、
あなたからのふみを・・
あなたを胸に抱いて、
また読み返す。
未練だと分かっているのに・・


「好きよ」

そのひと言が、
ぼくを暖かく包む。
けれど、
あなたは嫁いでいく。
二十歳のあなた、
十七歳のぼく。
社会人のあなた、
学生のぼく。
ひと足先に、
社会に出て行ったあなた。
学校という檻に、
閉じ込められているぼく。

「好きだ」

便箋の中央のひと文字が、
淋しさに震えている。
一歩が踏み出せなかった。
声を、飲み込んでしまった。

明日は、
キリストさまの誕生日なの。
そんな日に式を挙げられるなんて、
ステキよね。
世界中の人すべてに祝福されているみたい。

どうしてそんなことを言うの。
どうしてぼくにそれを言うの。
どうしてぼくを苦しませるの。

ぼくには呪いの日だ。
ぼくには責苦の日だ。
ぼくには地獄の日だ。


あの日の雨が、
今、生命ちの糧となる。
口にしないサヨナラを、
今、地獄の門で口にした。
形の無い 
時間の世界へ旅立つ時
背中の翼が 呪わしい。

あの日の雨が、
今、哀しみの水となる。
聞こえはしない夢を、
今、地獄の門で聞いた。
色の無い 
時間の世界へ旅立つ時
涙の膜が 呪わしい。

あの日の雨が、
今、希望の光となる。
見えはしない愛を、
今、地獄の門で見た。
音の無い
時間の世界へ旅立つ時
足かせの鎖が 呪わしい。


((初恋))

淋しい夜が訪れて
心に霧がかかる時
いつも思う
あの人を

初めて出逢った
夏の午後
あの日から
心に住みついた人

何も云えずにいたけれど
あなたを想うだけで
幸せだった

言葉を交わすこともできずに 
ただ見つめるだけの
一年でした

出逢った時と
同じ夏の日に
あの人から
封一つ

“好きよ”

ひと言
ありました

夏が過ぎ
木の葉が散る淋しい
秋の黄昏に
遠い町に行った

風の便りに聞きました

ほんの少しの勇気が持てずに
一歩を踏み出せなかった僕
年上のあなた・・・
大人のあなた・・・
子どもの僕

ほろ苦い初恋でした


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