昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

ボク、みつけたよ! (二十七)

2021-12-25 08:00:27 | 物語り
尻切れトンボ的に、地獄巡りからの退出です。
遊び歩いていた20代前半ですが、どう位置付けすればよいのか。人生における華と捉えるべきか、禍と評すべきか。
ただこの時代がなければ、老となった現在を悠然と過ごせぬのも事実だと思えるのです。
当時にしても現在にしても、わたしがわたしであることに変わりはありません。
意味不明ですか? 正直わたし自身もどう伝えたらいいのか、言葉が見つからないんです。
「人間は変われる」。「人間は変われるものじゃない」。
どちらもよく聞く言葉です。わたし自身の経験から言えば「変われる」ですし、「でも変われない」なんです。
 
 矛盾してますよね、矛盾してます。哲学論を聞きたいんじゃない! お叱りはごもっともです。
それではわたしの経験をお話ししましょうか。
わたしが心臓をやられて、現在ペースメーカーを植え込んでいることはご存じですよね。
心臓移植が必要な拡大型心筋症だと診断されて、正直「ここまでか」と覚悟させられました。
ですがペースメーカー植え込みによって、劇的に回復しました。
肥大していた心臓が通常サイズにまで縮みました。ただ、伸びきったゴムの如くになった心筋は回復しません。
なので現在でも、心臓から送り出される血液量が、常人の半分以下です。
不整脈が起きやすくもあります。そこでペースメーカーの登場です。
送り出す血液量を増やすことはできませんが、心拍だけはリズムよく補ってくれます。
おかげで体の隅々にまで血液が送り届けられています。ありがたいことです。
 
 長口舌はこれくらいにして、本題に入りましょうか。
「変われる」。でも「変われない」。
 大病をされた方なら、克服された方ならば、わたしの言わんとするところがお分かりだと思います。
死地を脱した人間というのは、面白いものですね。それまでとは違った自分になれるんですよね。
というより、なりたいと思うのでしょうか。
今年古希を迎えるわたしを、友人たちは口を揃えて「こんなキャラじゃなかった」と言います。
「しかめっ面の暗ーい男だった」。「俯いて歩く男だった」。「女の話には一切乗ってこなかった」。
 
 まったく失礼な話ですよ。わたしだって笑うときもありましたし、異性に関心はありましたよ。
ただその機会に恵まれずにいただけの話で。
いやいや、そうじゃない。わたしだってナンパされたことがありました。ナンパをしたことだってあるんですから。
その話をしましょうかね、笑い話になるかもしれませんが。ああ、これからの話は事実ですから。創り物ではありませんから。


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