(七)
「でも、そんな微熱なのに?」
「はい、それがくせ者でございました。
実はその奥さま。平熱が何とまぁ、五度でございました。
ですので、七度を越えますと、本当は大変な高熱だったのでございます。
ですから、平熱が大切なのだと言われました」
「そうなの、そんなことが。怖いわねえ、ほんとに。千勢は、どうなの? 調べたの?」
「あたしですか? あたしは、六度五分の標準でございました。
でも小夜子奥さまは、きっと低いのじゃないかと思いますよ。
そうだ、計っておきませんか? お風呂上りではいけないので、しばらく間を置いてからでも。
それから、明日の朝にお計りになってください。
そうすれば、より正確な平熱が出ますから」
そんな経緯から、小夜子もまたほぼ三十五度の平熱と分かった。
“あたしが低いから、そう感じるのかしら?
ううん、違うわよ。あの感じは、絶対に熱があるはず。
微熱かもしれないけれど、見過ごして良いものじゃないわ。
興奮しての体温上昇ならいいけれど。悪い兆候でなければいいけれど”
そう思って勝子を見ると、確かに顔が赤みがかっている。
元々青白い顔の勝子に、ほんのり赤みがさしている。
健常なら喜ばしいことでも、勝子には悪い兆候に見えてならない。
「でも、そんな微熱なのに?」
「はい、それがくせ者でございました。
実はその奥さま。平熱が何とまぁ、五度でございました。
ですので、七度を越えますと、本当は大変な高熱だったのでございます。
ですから、平熱が大切なのだと言われました」
「そうなの、そんなことが。怖いわねえ、ほんとに。千勢は、どうなの? 調べたの?」
「あたしですか? あたしは、六度五分の標準でございました。
でも小夜子奥さまは、きっと低いのじゃないかと思いますよ。
そうだ、計っておきませんか? お風呂上りではいけないので、しばらく間を置いてからでも。
それから、明日の朝にお計りになってください。
そうすれば、より正確な平熱が出ますから」
そんな経緯から、小夜子もまたほぼ三十五度の平熱と分かった。
“あたしが低いから、そう感じるのかしら?
ううん、違うわよ。あの感じは、絶対に熱があるはず。
微熱かもしれないけれど、見過ごして良いものじゃないわ。
興奮しての体温上昇ならいいけれど。悪い兆候でなければいいけれど”
そう思って勝子を見ると、確かに顔が赤みがかっている。
元々青白い顔の勝子に、ほんのり赤みがさしている。
健常なら喜ばしいことでも、勝子には悪い兆候に見えてならない。
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