(六)
「はーい!」と明るく返事をして、小夜子の手を握ったまま上がらせた。
「お茶、持ってくるわね」と、いそいそと勝子が離れた隙に
「竹田。ほんとのところは、どうなの? ほんとに快方に向かってらっしゃるの?」
と、声を潜めて問い質した。
「は? はい、もちろんですけど。どうしてですか?」
怪訝そうな顔付きで小夜子の真意を図りかねるといった風に、逆に問い返す竹田だ。
「なら、いいけど。確認しただけよ。お元気すぎるから、ちょっとね。驚いちゃってね」
“おかしいわ、おかしい。あんなどか身なのに。なんとも思わないの?
それとも、竹田には知らされていないとか。有りうるわね、母親だけに告げてるとか”
どうしても腑に落ちない小夜子だが、その時ふと千勢の言葉が思い出された。
「小夜子奥さまご自身の体温、ご存知ですか? 平熱とか言うらしいのですけれど。
大事なことですから、これって。先のお屋敷で、ちょっとした騒ぎがありまして。
あたしも気にするようになったんですけど」
「なぁに、どんなこと?」
「はい。ご主人さまが出社される直前に、奥さまがお倒れになられまして。
前夜のお熱は七度ちょっとで、微熱だと思われていたのですけど。
で慌ててお医者に診ていただかれたのですけど、肺炎一歩手前だとのご診断がでました」
「はーい!」と明るく返事をして、小夜子の手を握ったまま上がらせた。
「お茶、持ってくるわね」と、いそいそと勝子が離れた隙に
「竹田。ほんとのところは、どうなの? ほんとに快方に向かってらっしゃるの?」
と、声を潜めて問い質した。
「は? はい、もちろんですけど。どうしてですか?」
怪訝そうな顔付きで小夜子の真意を図りかねるといった風に、逆に問い返す竹田だ。
「なら、いいけど。確認しただけよ。お元気すぎるから、ちょっとね。驚いちゃってね」
“おかしいわ、おかしい。あんなどか身なのに。なんとも思わないの?
それとも、竹田には知らされていないとか。有りうるわね、母親だけに告げてるとか”
どうしても腑に落ちない小夜子だが、その時ふと千勢の言葉が思い出された。
「小夜子奥さまご自身の体温、ご存知ですか? 平熱とか言うらしいのですけれど。
大事なことですから、これって。先のお屋敷で、ちょっとした騒ぎがありまして。
あたしも気にするようになったんですけど」
「なぁに、どんなこと?」
「はい。ご主人さまが出社される直前に、奥さまがお倒れになられまして。
前夜のお熱は七度ちょっとで、微熱だと思われていたのですけど。
で慌ててお医者に診ていただかれたのですけど、肺炎一歩手前だとのご診断がでました」
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