七
「そうか、三十七才か。で、どうなんだ? 」
「なにがです? 」
「このやろう、しらばっくれて!嫁さんだよ。 」
「あぁ、それですか。 あたしは、貰いませんよ。
いや、貰っちゃいけないんで。
あんな稼業だったあたしです。とんでもないです。
それに、気が向いた時に好きな女を抱いてるんです。
それで充分です。」
「だったら、俺だっておんなじだ。
なんで俺だけ、窮屈な思いをしなくちゃならねぇんだ?」
「武さん。家庭ってのは、いいもんですって。
それに、社会的にも大事だ。
あんたは社長だ。体裁が悪いです、いつまでも独り者じゃ。」
「しかし五平。いつまでも昔を引きずるもんじゃないぞ。
女衒をしてたからって、そこまで卑屈になることもなかろうに。」
「いや、それはだめ、、 」
「まぁ待てよ。納得ずくのことだろうが。
だまくらかしてのことでもあるまいに。」
「いや、それは・・。娘たちの言い分を聞くと、、」
「玉ノ井だってことは、言ったんだろうが。
まさか女中奉公だとは言ってないだろうが。」
「そりゃまぁ、そうですが。
女郎だとは、娘たちには言ってないんで。」
「そんなものは、親が知ってりゃいいんだよ。
大枚の支度金が渡されるんだ、覚悟の上さ。
なぁ、こうしようゃ。俺が嫁さんを貰う時は、五平も貰え。
一緒に式をあげよう。いいか、決まりだ。」
「武さん、ありがとう。俺みたいな半端者が、所帯なんぞ持ってもいいのかい?」
「当たり前だ!俺の相棒なんだぜ。」
八
“キャッ、キャッ”とはしゃぐ声が、二人の耳に入った。
「あぁ、いたいた。社長!探したわよ。
みんながね、お土産買いたいから、早く出たいんですって。」
「そうか、お土産を買いたいのか。
分かった、分かった。お嬢さん方のご希望だ。
専務、そういうこだから、頼むぞ。」
「頼むぞ、って、社長。まさか・・。」
「やっぱりだめか?」
「冗談はやめて下さいって。一緒に帰って下さいよ。」
「どうしたんですか?
まさか、もう一泊なんて、だめですよ。
女将でしょ!社長の目、なんだか嫌らしかった。
京子ちゃんの予感が当たってる。はい!一緒に出ましょ。」
「五平!お前。俺の伴侶にって、言ってたじゃねぇか。」
「だめですな、社長がこっちに来そうだ。
女将にしてやられそうだ。
あっちの方が、一枚も二枚も上手のようだ。
諦めてくださいな。」
「そうか、三十七才か。で、どうなんだ? 」
「なにがです? 」
「このやろう、しらばっくれて!嫁さんだよ。 」
「あぁ、それですか。 あたしは、貰いませんよ。
いや、貰っちゃいけないんで。
あんな稼業だったあたしです。とんでもないです。
それに、気が向いた時に好きな女を抱いてるんです。
それで充分です。」
「だったら、俺だっておんなじだ。
なんで俺だけ、窮屈な思いをしなくちゃならねぇんだ?」
「武さん。家庭ってのは、いいもんですって。
それに、社会的にも大事だ。
あんたは社長だ。体裁が悪いです、いつまでも独り者じゃ。」
「しかし五平。いつまでも昔を引きずるもんじゃないぞ。
女衒をしてたからって、そこまで卑屈になることもなかろうに。」
「いや、それはだめ、、 」
「まぁ待てよ。納得ずくのことだろうが。
だまくらかしてのことでもあるまいに。」
「いや、それは・・。娘たちの言い分を聞くと、、」
「玉ノ井だってことは、言ったんだろうが。
まさか女中奉公だとは言ってないだろうが。」
「そりゃまぁ、そうですが。
女郎だとは、娘たちには言ってないんで。」
「そんなものは、親が知ってりゃいいんだよ。
大枚の支度金が渡されるんだ、覚悟の上さ。
なぁ、こうしようゃ。俺が嫁さんを貰う時は、五平も貰え。
一緒に式をあげよう。いいか、決まりだ。」
「武さん、ありがとう。俺みたいな半端者が、所帯なんぞ持ってもいいのかい?」
「当たり前だ!俺の相棒なんだぜ。」
八
“キャッ、キャッ”とはしゃぐ声が、二人の耳に入った。
「あぁ、いたいた。社長!探したわよ。
みんながね、お土産買いたいから、早く出たいんですって。」
「そうか、お土産を買いたいのか。
分かった、分かった。お嬢さん方のご希望だ。
専務、そういうこだから、頼むぞ。」
「頼むぞ、って、社長。まさか・・。」
「やっぱりだめか?」
「冗談はやめて下さいって。一緒に帰って下さいよ。」
「どうしたんですか?
まさか、もう一泊なんて、だめですよ。
女将でしょ!社長の目、なんだか嫌らしかった。
京子ちゃんの予感が当たってる。はい!一緒に出ましょ。」
「五平!お前。俺の伴侶にって、言ってたじゃねぇか。」
「だめですな、社長がこっちに来そうだ。
女将にしてやられそうだ。
あっちの方が、一枚も二枚も上手のようだ。
諦めてくださいな。」
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