(十五)ミニスカート
グリーンのロングベストの下で、フリルの付いた真っ白いブラウスがキラリキラリと光っている。
そしてその下は、ミニスカート。あざやか過ぎる真っ赤なミニスカート。
少年のこころを燃えあがらせている。
週刊誌のヌード写真も映画のラブシーンでも、これほどの早鐘は経験していない。
少年の目は女の手に縛られて、少年の意には添わなくなってしまった。
少年のこころが、少年からはなれてしまった。
女の手がひざの上におかれる。
少年の視線が、女の膝小僧にうつる。
少年の目が、桜色にかがやき眩しく光るひざこぞうにくぎ付けになってしまう。
一瞬時、少年の意識がとおのく。
そして我にかえると、視線の先には、また膝小僧が。
とおのく、我にかえる、ひざこぞうが、遠のく、われにかえる、膝小僧が……。
それが、いくど繰り返されたことか。
女の視線が、少年をとらえる。口にしていたコーラに思わずむせぶ少年。
視線を落として、女の光線からのがれる。そしてまた女を…盗み見る…。
女の熱い視線が、少年を捕らえている。あわてて視線を落とす。
ふたたび視線をむける。と、女の熱い矢が少年を襲う。
耳になりひびく鼓動にせかされるように、少年が語りかける。
否、語りかけようとした。
しかし、非常にも女の視線はもうなかった。
少年の語りかけに応えることなく、階下のバンドに視線が向けられていた。
手にしているコーラを、一気にながしこむ。
ジンと喉にくる刺激の快感ですら、少年をいら立たせる。
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