昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~ふたまわり・第二部~(十三)の二

2011-08-11 19:15:33 | 小説
「身内の方でも、お亡くなりになったのですか?」
片言の英語で尋ねる雑誌社の担当。
「それはないわよ、絶対に。
彼女、天涯孤独の身ですもの。」と、前田が言う。
と、突然にアナスターシアの目から大粒の涙が溢れ出た。
そしてアナスターシアの口から語られたこと・・、一同を唖然とさせた。
「イワンが死んだの。
ちょっと目を離した隙に、プールに落ちてたの。
わたし・・全然気が付かなくて。」
マッケンジーが、話を補足した。
「アナスターシアの愛犬でね。
そりゃもう、溺愛していたんだ。
我が家で飼ってたんだが、ひどい落ち込みようだった。
自殺を図るんじゃないかと、心配したほどだ。
しかし、小夜子のおかげで立ち直ることができそうだ。」
“たかが、犬如きで・・”
皆が皆、そう思った。


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