昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~ふたまわり・第二部~(十三)の一

2011-08-10 22:45:24 | 小説
雑誌の取材では、さながら着せ替え人形のアナスターシアだった。
いつもは渋るアナスターシアだが、今日はまるで別人だ。
着替える度に感嘆の声を上げる小夜子に、気を良くしていた。
「小夜子さん、ありがとう。
あなたのお陰でスムーズに運んだって、大喜びよ。
お礼をしたいってことだから、楽しみにね。」
前田の耳打ちに気付いたアナスターシア、
「何を話してたの?」と、前田を問い詰めてきた。
「今日のアナスターシア、一段とキレイねって、話してたの。」
喜ぶかと思いきゃ、二人だけのヒソヒソ話を止めるようにと言い出した。
そして
「どこにも行かないで、あたしの傍に居て!」と、小夜子へ涙ながらに訴えた。
「イエス!」と答えはしたものの、それからが大変だった。
トイレすら、アナスターシア同伴となってしまった。
異常なまでに小夜子に執着するアナスターシアに、皆が不思議がった。
前田がそれとなく聞くのだが
「小夜子が好きなの!」と、答えるだけだった。


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