昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

「祭りの夜(改)」 二十一

2013-07-13 19:15:06 | 小説
(二十一)

二十歳になったばかりの時だった。突然に友人の母親から電話が入った。

「実はね、聡が他界しました。
一度目の折には蘇生してくれたのに、今回はだめでした。

もう大丈夫だと思っていたのですけどね。
病状の悪化で入院して…」

最後は涙声になって、聞き取れないまま電話が切れた。
この間見舞いに行った折には、確かに現実と夢の区別が付かないようではあった。

どうにもとんちんかんな会話になってしまった。
自分の都合の良いように話を作ってしまっていた。

「僕の作った『クラスの歌』を、みんなで歌って楽しかったね。」

「へび女、覚えてるかい? 今どうしてるだろう。
元気に暮らしているだろうかね。」

結局、友人との和解は出来ずじまいだった。
そして電話を貰った翌日、私宛の友人の手紙が届いた。

お母さんが、机の中から見つけてくれたものだ。
どうやら、入院する前に書いていたらしい。


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