(二)
耳元で囁く武蔵に、顔を真っ赤にして俯く小夜子。
「ばか! そんなこと。人に聞かれたら、どうするの」
「聞かれても構わんぞ。大声で言ってやろうか? 恥ずかしがってどうする。
新しい女は気にせんのじゃないか、そんなこと」
ぐっと小夜子を引き寄せて、道路の真ん中に立ち止まった。
怪訝そうに、二人を交わして行き交う人人人。
「武蔵、どうしたの。みんな、びっくりしてるわよ」
「うん? 小夜子を誰かに取られんように、しっかりと捕まえているのさ。俺の大事な小夜子をな」
「もう、武蔵ったら」
嬉し恥ずかしの小夜子。顔を赤らめつつも、口を尖らせる。
「ほんとにそう思うのなら、浮気をやめてよ! 出張先のあちこちで、どうせ浮気してるんでしょ?」
「おいおい、何を言い出すんだよ。俺が浮気だ? 冗談だろが、俺に限って浮気なんて。
俺が浮気してるのなら、世の妻帯者の三割位がしてることになるぞ」
「何よ、その三割って。だったら、残り七割はしてないんでしょ?
だったら、その七割に入ってよ。あたしのこと、一番大事なんでしょ?」
、到底納得しない。
「さあ、そこだ。小夜子は、贅沢が好きだな。
というより、小夜子には贅沢が良く似合う。
貧乏くさい小夜子は、小夜子じゃない。
そしてだ、毎日をニコニコ暮らすのも小夜子らしくない」
「どういうことよ、それって。どうせあたしは、贅沢好き女よ。
でも、どうしてニコニコ顔が似合わないの?
いつも言ってくれてるじゃないの。笑顔が一番だって」
「勿論、小夜子の笑顔は何物にも代えがたい。
百万ドルの笑顔だと言っても良い。
山本富士子だって、小夜子の笑顔には勝てんさ。
けども、小夜子の不機嫌な顔も、また良い。
いや、その不機嫌な顔があるからこそ、笑顔が生きる。
分かるか?」
耳元で囁く武蔵に、顔を真っ赤にして俯く小夜子。
「ばか! そんなこと。人に聞かれたら、どうするの」
「聞かれても構わんぞ。大声で言ってやろうか? 恥ずかしがってどうする。
新しい女は気にせんのじゃないか、そんなこと」
ぐっと小夜子を引き寄せて、道路の真ん中に立ち止まった。
怪訝そうに、二人を交わして行き交う人人人。
「武蔵、どうしたの。みんな、びっくりしてるわよ」
「うん? 小夜子を誰かに取られんように、しっかりと捕まえているのさ。俺の大事な小夜子をな」
「もう、武蔵ったら」
嬉し恥ずかしの小夜子。顔を赤らめつつも、口を尖らせる。
「ほんとにそう思うのなら、浮気をやめてよ! 出張先のあちこちで、どうせ浮気してるんでしょ?」
「おいおい、何を言い出すんだよ。俺が浮気だ? 冗談だろが、俺に限って浮気なんて。
俺が浮気してるのなら、世の妻帯者の三割位がしてることになるぞ」
「何よ、その三割って。だったら、残り七割はしてないんでしょ?
だったら、その七割に入ってよ。あたしのこと、一番大事なんでしょ?」
、到底納得しない。
「さあ、そこだ。小夜子は、贅沢が好きだな。
というより、小夜子には贅沢が良く似合う。
貧乏くさい小夜子は、小夜子じゃない。
そしてだ、毎日をニコニコ暮らすのも小夜子らしくない」
「どういうことよ、それって。どうせあたしは、贅沢好き女よ。
でも、どうしてニコニコ顔が似合わないの?
いつも言ってくれてるじゃないの。笑顔が一番だって」
「勿論、小夜子の笑顔は何物にも代えがたい。
百万ドルの笑顔だと言っても良い。
山本富士子だって、小夜子の笑顔には勝てんさ。
けども、小夜子の不機嫌な顔も、また良い。
いや、その不機嫌な顔があるからこそ、笑顔が生きる。
分かるか?」
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます