(十一)
井上はママと連れだって、寿司屋のカウンターに陣取っていた。
「ママ。近頃、店の雰囲気が変わったようだけど」
寿司をつまみながら、井上が尋ねた。
「実はね、ケンちゃんも知っての通り、ピンクサロンが次々と新規オープンしたじゃない。やっぱりお客さんが減ったのよ」
手にしていた寿司を戻しながら、ママは真顔で話し始めた。
「でね、お客さんから不満がチラホラ出始めてさ。”気取ってる!”って。
まあね、そんなお店じゃないことはわかってらっしゃるんだけど。
物足りないんでしょ、殿方には。まぁ、曲がり角よね。
高級化するか、それとも…。でね、女の子たちも色々と考えてくれね。
自分たちのお給料にも響くじゃない。といって他の店に移る気もしないらしくって。
で、少しお色気サービスをしようか、ってことになったの。
私としては、気が進まないんだけど」
「そうか、やっぱりなあ。部下は何も言わないが、同僚から少し聞こえてはいたけどさ。
しかし僕としては、以前の落ち着いた雰囲気が好きだけれどなあ。
うぅん! 男は助平だからなあ」
腕組みをしながら唸る井上に、
「そうよお、ダレかさんを筆頭に。女なら誰でも! って感じでね?」
と、上目遣いで覗き込んだ。
「うん! それは言えてる、って、おいおい! 俺はママの色香にクラクラだよ。ママオンリーだよ」
「良く言うわ。最近、ミドリをしきりに口説いているじゃない?」
「ミドリとは何でもなよ店の中だけのことじゃないか。ママとのことをカモフラージュする為の、だよ」
「冗談ょ、冗談!」
「しかし今の店を部長が見たら、何て言うかなあ。もっとも、接待相手には好評だけど。これからも、よろしく頼むよ」
「こちらこそ、お願いしますよ」
井上はママと連れだって、寿司屋のカウンターに陣取っていた。
「ママ。近頃、店の雰囲気が変わったようだけど」
寿司をつまみながら、井上が尋ねた。
「実はね、ケンちゃんも知っての通り、ピンクサロンが次々と新規オープンしたじゃない。やっぱりお客さんが減ったのよ」
手にしていた寿司を戻しながら、ママは真顔で話し始めた。
「でね、お客さんから不満がチラホラ出始めてさ。”気取ってる!”って。
まあね、そんなお店じゃないことはわかってらっしゃるんだけど。
物足りないんでしょ、殿方には。まぁ、曲がり角よね。
高級化するか、それとも…。でね、女の子たちも色々と考えてくれね。
自分たちのお給料にも響くじゃない。といって他の店に移る気もしないらしくって。
で、少しお色気サービスをしようか、ってことになったの。
私としては、気が進まないんだけど」
「そうか、やっぱりなあ。部下は何も言わないが、同僚から少し聞こえてはいたけどさ。
しかし僕としては、以前の落ち着いた雰囲気が好きだけれどなあ。
うぅん! 男は助平だからなあ」
腕組みをしながら唸る井上に、
「そうよお、ダレかさんを筆頭に。女なら誰でも! って感じでね?」
と、上目遣いで覗き込んだ。
「うん! それは言えてる、って、おいおい! 俺はママの色香にクラクラだよ。ママオンリーだよ」
「良く言うわ。最近、ミドリをしきりに口説いているじゃない?」
「ミドリとは何でもなよ店の中だけのことじゃないか。ママとのことをカモフラージュする為の、だよ」
「冗談ょ、冗談!」
「しかし今の店を部長が見たら、何て言うかなあ。もっとも、接待相手には好評だけど。これからも、よろしく頼むよ」
「こちらこそ、お願いしますよ」
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