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あたりを闇がすっぽりと包みこみ、だれもが互いを干渉しなくなったとき
ふと、こころをかすめる――あの空って、ほんとの空?
宇宙につながるはずのこの空に、なにかが覆いかぶさり、すべての恵みを
うばいさる闇が生まれる……、否、生まれた。
おもいを遠くにはせ、おおい被さる闇をつきやぶり、宇宙のなかに溶けこむ。
脳裏にうかぶ
霞のたなびく果てに、赤い月がある。
地上で見るよりはるかに大きい。
そして、山のみどり、川のせせらぎ……みんなキレイだ!
林をあるき回り、立ちこめる陽炎をはらい、いま、茶畑に立っている。
湧きでる清水の流れをつたい歩く、あるく、、、
いつの間にか山あいを緩やかに流れる川になり、魚やちいさな虫が
なににも脅かされることなく、泳ぐ。
悲しい、、、寂しい、、、
ほゝを伝う涙が、止まらない。
母という名のつく女性はいても、おふくろのいない日本
「地震・雷・火事・親父」
畏怖感の消えた父親、存在感の薄れた父親、
とともに、おふくろも、消えていた。
(背景と解説)
強い断絶感に襲われていた時期から、少し抜け出し始めたころのことです。
高校時代の友人――二十歳前後だと思いますが――の実家に遊びに行ったおりに書き上げた作品です。
詩と呼んで良いのか分かりませんが、ある意味原案でしようか。
おふくろを題材とした小説を書き上げたいと思っていましたので、メモ帳に書き留めたものです。
[水たまりの中の青空]は、元々は[ふたまわり]というマザコン青年が主人公の小説だったんです。
大学生活までの恋愛遍歴ものでした。「完了」だったのです。
あるとき、ふと親のことを書いてみようかと思い立ち、どうせなら[おふくろの詩]を使うか……ということに。そしてそれが、親父のことも書いておきたくなって[水たまりの中の青空]というライフワーク作品になりました。
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