昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

今、この時の愛 (白い闇の一)

2011-01-03 12:39:53 | 小説

俺の身体が、椅子の角度のままに倒れる。
そしてそこには、白い闇の世界があった。

俺は静かに目を閉じ、
美しいシンフォニーに耳を傾けることにした。
 
彼女の暖かい指が、
静かに眉間から鼻にかけてすべっていく。

“何をしている?”
閉じた瞼の下で、心が尋ねる。

何の言葉もない代わりに、
彼女の指は優しく額へと移った。

何やら塗っている。
甘美な匂いに包まれる俺、至福だ。

と、急に離れてしまった。
どこへ、どこへ?

“熱い!”
あぁ、思い出しただけでもゾッとする。


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