昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

鼠小僧次郎吉 ~さると猿回し~ 十二

2010-08-08 17:52:25 | 小説
勿論、
事の真相が知れれば、
女の打ち首は必然である。
廻船問屋も只ではすまない。

二年間の屋敷奉公が無事終われば、
大工の娘は多額の礼金をもらえる。
その約束で、
身代わりとなったのである。

その事実をこともあろうに、
次郎吉に知られてしまった。
言葉巧みに口説かれ、
身体を許してしまった娘。
つい、
事の真相を漏らしてしまったのだ。

次郎吉が初めて屋敷に建具職人としての仕事に入った折り、
お手洗いがわからずマゴマゴしている所に、
たまたま出くわした腰元が、
親身に世話をしたのがそもそもの因縁であった。

その頃の次郎吉は、
建具職人として真面目に働いていた。
親方連に受けが良く、
仲間内でもコマネズミのように動く為、
可愛がられていた。

実は、
後述の理由からの猫かぶりだった。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿