(十六)
ヒックヒックとしゃくり上げながら、
老婆とベッドの中の老人を交互に見て、少し安堵の色を見せている。
「えぇ、えぇ。大丈夫だよ。
ちゃんと、帰ってるよ。だから安心おし。さあ、お母さんが来たよ。
もう帰りなさい。ここはバイ菌が一杯だからね。」
母親を見つけた途端、暗くうちひしがれていた女児の顔が、パッと明るくなり飛びついていった。
「甘えん坊さんね、マーちゃんは。
さあさあ、お家でおやつを貰いなさい。
美子さん。じいちゃんは、大丈夫だから。
肺炎のおそれは無いって事だし。
ただの風邪だって。
今晩ひと晩様子を見て、朝に熱が下がってたら退院だってことだから。
マーちゃんにうつるといけないから、早くお帰りな。」
スキップをしながら部屋を出る女児と入れ替わって、看護師が私の元にやってきた。
ヒックヒックとしゃくり上げながら、
老婆とベッドの中の老人を交互に見て、少し安堵の色を見せている。
「えぇ、えぇ。大丈夫だよ。
ちゃんと、帰ってるよ。だから安心おし。さあ、お母さんが来たよ。
もう帰りなさい。ここはバイ菌が一杯だからね。」
母親を見つけた途端、暗くうちひしがれていた女児の顔が、パッと明るくなり飛びついていった。
「甘えん坊さんね、マーちゃんは。
さあさあ、お家でおやつを貰いなさい。
美子さん。じいちゃんは、大丈夫だから。
肺炎のおそれは無いって事だし。
ただの風邪だって。
今晩ひと晩様子を見て、朝に熱が下がってたら退院だってことだから。
マーちゃんにうつるといけないから、早くお帰りな。」
スキップをしながら部屋を出る女児と入れ替わって、看護師が私の元にやってきた。
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