昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

[お取り扱い注意!] (十六)

2013-08-12 21:40:27 | 小説
(十六)

ヒックヒックとしゃくり上げながら、
老婆とベッドの中の老人を交互に見て、少し安堵の色を見せている。

「えぇ、えぇ。大丈夫だよ。
ちゃんと、帰ってるよ。だから安心おし。さあ、お母さんが来たよ。
もう帰りなさい。ここはバイ菌が一杯だからね。」

母親を見つけた途端、暗くうちひしがれていた女児の顔が、パッと明るくなり飛びついていった。

「甘えん坊さんね、マーちゃんは。
さあさあ、お家でおやつを貰いなさい。

美子さん。じいちゃんは、大丈夫だから。
肺炎のおそれは無いって事だし。

ただの風邪だって。
今晩ひと晩様子を見て、朝に熱が下がってたら退院だってことだから。

マーちゃんにうつるといけないから、早くお帰りな。」

スキップをしながら部屋を出る女児と入れ替わって、看護師が私の元にやってきた。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿