昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

原木 【Take it fast !】(六)帰り道

2024-06-27 08:00:25 | 物語り

その日の帰り道、
三人はいつもの如くに連れ立って帰った。
行動派は終始ニコニコし、
ヒネクレ派は心ここにあらずで、
真面目派はいつもの如くに無表情だった。

ヒネクレ派がポツンと言った。
「俺、
山に登りたくなった。
さっき、
山々を見ていたが
ウットリとしていた。
“天と地の間に”
という映画があるだろう。
山の天辺に立つってのは、
どんな気持ちかな」

「おぅ、
そりゃあいい。
俺も行こう。
しかし体力がいるぞ!
金もかかるらしいからな、
バイトでもするか?」

行動派は、
すぐさま反応した。
真面目派は、
唯苦笑していた。

「お前さんには夢が無いのか?
すぐに、
金だ何だと言って」
意外に(というのは、失礼か?)も
夢想家(?)のヒネクレ派は、
行動派に言い返した。

「夢?
笑わせるなよ。
そんなのは、
少女趣味だ。
そんなことでは、
社会に出てから勝てんぞ!」
「ふん、社会ねえ。
世間様、か」



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