(三)コメンテーター
きのうの早朝、窓の中にどことなく白々としている街並びがあった。
無機な世界がそこに存在している。
がらにもなく早起きをしたわたしは、テレビにかじりついていた。
現在をにぎわしているヒッピー族と称する若者のインタビューに耳をかたむけた。
コメンテーター――文化人と称する、評論家に大学教授に医者――三人が、卑怯にもひとりのヒッピーに対して、矢つぎばやに質問をしている。
平然とそして冷然と受け答えをしていた若者だが、ものの五分と経たないうちに態度が粗雑になりはじめた。
若者のことばが荒くなり、刺とげしくなる。
コメンテーターたちの質問も辛らつさを増していく。
次第にいらだちはじめた若者。
その光景は、見るも無残なものだった。
一匹の子羊を、血に飢えた狼と腹を空かせた熊と猛り狂う猪とがいたぶっている。
結局のところ、ヒッピー気取りの若者をこらしめるといったことなのか。
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