昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

レモンの夕立ち (五)

2011-01-22 12:24:35 | 小説
「ほら、次だ!」
シン公の大きな手が、
アコの頭を包みます。
暖かい、
手でした。

「ア・コ・ハ・オ・レ・ガ・ス・キ」
「へぇー、
そうかい?
アコは、
俺が好きなんだあ。」

「バカ!
知らない!
イーだ!」と、
口を尖らせるアコでした。

「それじゃ、
これだ。」
「オ・レ・ハ・ア・コ・ガ・キ・ラ・イ。
えぇ、
意地悪うぅ!
それじゃ、
今度は私の番よ!」

アコはすぐにシン公の後ろに回り、
大きな背中に小さく書きました。
「なに?
そんな小さくちゃ、
分かんないゾ!
うん?
キ・ス・キ・スぅぅ?」

シン公の素っ頓狂な声に、
アコはプゥー!と
頬を膨らませました。

「もおぅ、
シンちゃんの、
えっちぃ!
スキって、
書いたのよ。
それを、
最初のスだけ、
言わないんだから!」


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