昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

[ブルーの住人] 蒼い情熱 ~ブルー・れいでい~

2023-05-13 08:00:09 | 物語り

(十二)ミニスカート

 曲が変わった。ステージの上で、ボーカルが飛び上がっている。
「それじゃ、リクエストにこたえていくぜ! 
Let's go , Twist & Shout!」
 思いもかけぬ曲名が告げられた。
ステージに体を向けた少年の目に、ホール中央でひざを落として体を左右にフリフリする若者たちが目に入った。
“あれが、Twistと呼ばれる踊りなんだ”

“バンバン、ババババンバンバババ、バババジャーン!”
“ヴィー、ヴィヴィヴィー、ティーピーヴィピーティーン!”
“チャキチャキ、チャチャチャキー!”
“ブンブン、ボンボンブンボンブンボン、ブブブ、ボボボン!”

 髪を振り乱しての女がいて、くわえタバコに目をしかめる男も。
シャツの袖口が青白く光り、激しく左右に。
落下傘スカートの裾をなびかせる女がいれば、皆がしゃがみこむ中で躊躇しているミニスカートの女がいる。
二階のボックス席をあてがわれた少年は、彼らの踊りを見おろしていた。
いくぶん神経も慣れはじめ、耳も騒音と感じなくなっていた。
しかし、思いえがいた世界との落差に失望して、ここに足を踏みいれた理由を忘れてしまった。



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