昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (六十九) 自立した女性

2013-11-03 12:44:09 | 小説
(八)

「申し訳ありません。あたし、自立した女性になりたいのです。
小夜子さまには、到底及ばないことは分かっております。

でも、少しでも小夜子さまに近づきたいのです。
以前に仰られていた、自立した女性になりたいのです。

それで、何をすればいいのか、お教え願いたいのです」
すがるような目つきで、小夜子にひざまずいて懇願しかねぬ幸恵だった。

「そう、自立した女性になりたいの。そうねえ、だったら……。
あなた、ピアノが上手だったわね。
ということは、手先が器用だということだから……。
そう、タイピストね。

この間タケゾーの会社に遊びに行った時に聞いた話で、タイピストが不足しているってことよ。
やっぱり学校があって、大勢の生徒さんが通ってるってよ。

そうよ、それがいいわ。タイピストだったら、大会社に入れるでしょうし。
そこで、BGとして働けばいいわ。
ビジネスガールを略してね、ビージーって呼ばれてるの」

「ありがとうございます。金銭的なことは正三兄さんが面倒を見てくれますので、大丈夫です。
あぁ、やっぱりご相談して良かったわ。早速その旨伝えて、準備に入ります」


最新の画像もっと見る

コメントを投稿