昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (六十六) 七

2013-09-20 19:35:59 | 小説
(七)

披露宴の翌早朝、武蔵を見送った小夜子だった。

襲いくる悲しみの心を持て余し気味の小夜子を待っていたのは、
女学校の同級生と後輩たち、そして恩師たちだった。

他校へと転じていた恩師たちも、次々に小夜子への祝福に訪れてきた。

「キャア、小夜子さまぁ。
ほんとに、おきれいでした。
まるでひな人形のおひな様みたいでした」

「うぅん、もう女優さんでした。
やっぱり、お誘いがあったのはホントなんでしょうね」

「ステキな旦那さまですね。
羨ましいです、ホントに。
キャバレーとかいうお店で知り合われたというのは、ホントですか?」

「あたしも、小夜子さまみたいに玉の輿に乗りたいわ。
どうしたら、そんな出会いがあるんでしょう?」

矢継ぎ早の質問が、あちこちから飛んだ。
小夜子に対しあからさまな敵愾心を見せていた同級生らも、今は羨望の眼差しを向けている。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿