(二)繋がり
その○刑囚は、冷たい銀のフォークの眼差しで、裁判官の胸を突き刺した。
「あんたに、なにがわかる!」。こころのなかでつぶやいた。
ひとり、○刑を宣告された現実をかみしめる○刑囚。
うす暗い、四方を冷たいコンクリートで閉ざされた部屋。
便器と文机と、そしてキチンと畳まれたせんべい布団一式。
俗界につながる、唯一の楽しみの窓は、頭上高くにある。
太陽がのぞきこむ少しの時間と、空の一部のみを見るという哀しみ。
いっそ、なければいいのに。
いやいやいまの○刑囚にはそのことよりも、その窓があるということが、忌いましい。
その窓が、○刑囚の俗界に対する未練心を、郷愁をかきたてさせることが腹立たしい。
いっそ、なければいいのに。
もし…窓がふさがれたら…やはり腹立たしい。
青空…雲…流れる…流浪…涯て…老い…○
思い浮かぶことばが、○刑囚の意図することなく繋がりをもとめていく。
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