12日(火).昨夕,元の職場のOB会総会の開催通知を発送するため”残業”しました.その後,OB会幹事のS監査役,元職場OBのM氏と地下のRでご苦労さん会をやりました.ビールを飲んで,ウーロンハイを飲んでいると,2階のテナントS社のF氏が,なぜかS急便の女性とともにやってきて,われわれのテーブルの近くで飲み始めました
M氏とF氏の丁々発止のやり取り(別の言葉でいうとケンカ腰)を聞いていて,付き合っていられなくなったので9時半ごろF氏とS急便女史を置いて先に失礼しました.それにしても,巨体F氏の靴を見て
ました.私のは26センチですが,確実に30センチ以上ありました
その後,われわれ3人は隣のHKビル地下のSで飲み見直しました
S監査役とM氏は今日休みだからいいけど,こちとら仕事だぜぃ,朝から”頭が頭痛”だ・・・・・・だから酒は嫌いだってんだ
閑話休題
一昨日の日曜日,初台のオペラシティ・コンサートホールでモイツァ・エルトマンのソプラノ・リサイタルを聴きました
この日は午前10時からマンションの管理組合の定期総会がありました.議案が9つもあり,これまでの実績を勘案すると2時間では終わらないと懸念したのですが,年に1回の総会なので出席しました 案の定,お金が絡む問題で議論百出し議案の審議が終わったのは12時半を過ぎていました.さらに議案にはない話が出されたので,途中で退席して,急いで初台のオペラシティ・コンサートホールに向かいました.何とか午後2時の開演に間に合い,一安心しました
リサイタルは2部構成で,第1部はメンデルスゾーンとモーツアルトの歌曲,第2部はオペラのアリアとなっています 会場は8~9割が埋まっています.自席は1階6列12番で,かなり前の席です.エルトマンの姿をできるだけ近くで見て聴きたいからです
モイツァ・エルトマンはドイツのハンブルク生まれ.ハンブルク国立歌劇場の児童合唱団で歌い,ケルン音楽大学に進みます.大学では声楽のほかにヴァイオリンも学びました.最近ではバイエルン国立歌劇場で「こうもり」のアデーレ役で出演するなど活躍しています
時計の針が2時を回り,果たしてエルトマンはどんな姿で登場するのか,と期待が高まります 舞台左手の扉が開かれ,エルトマンが鮮やかなブルーのノースリーブのロングドレスで登場します.ピアノはゲロルト・フーバーです
ピアノの導入によってメンデルスゾーンの歌曲が始まります.「初すみれ」「花束」「ふたつの心が離れる時」「ズライカ」「あいさつ」「歌の翼に」「新しい恋」の7曲を続けて歌います 私は「歌の翼に」しか知りませんが,彼女の声を聴いた第一印象は”透明な声”です
メンデルスゾーンが歌い終わったところで一区切りです.初めて聴衆は拍手で彼女を称えます
続いてモーツアルトの歌曲に移ります.「ルイーゼが不実な恋人の手紙を焼いた時」「すみれ」「昨夜の想い」「静けさがほほえみながら」「寂しい森の中で」「魔法使い」の6曲を続けて歌います こちらの方は,何度かCDで聴いたことがあるのでお馴染みの曲です.とくに「すみれ」と「ゆうべの想い」が心に沁みました
休憩後は,オペラのアリアです.最初はモーツアルト「イドメネオ」より「私の悲惨なこの運命はいつ終わるのだろう?」です.このアリアは第1幕でイリヤが歌うアリアですが,彼女はイリヤになりきって感情を込めて歌い上げます
2曲目はモーツアルト「ツァイーデ」より「虎よ!爪を研げ」です.この曲はエルトマンの最新CDに入っているので予習してあります エルトマンはピアノのフーバーからコップを受け取り,水を3分の1ほど飲み干して,この難曲に臨みます
ここでも彼女はヒロインのツァイーデになりきって皇帝に立ち向かうアリアを歌い上げます
ここで,圧倒的なブラボーと拍手が会場を満たし,エルトマンはフーバーと共に一旦舞台袖に引き上げます.そして,再度登場してプッチーニの「ラ・ボエーム」より「ムゼッタのワルツ”私が街を歩くと”」を歌います この曲を聴くまで,エルトマンはモーツアルトが最も得意で,彼女に向いている,と思っていたのですが,考えが変わりました
これほどまでにプッチーニを見事に歌うことができるとは思ってもいなかったのです.とにかく魅力に溢れた歌唱力です
次いで,ベッリーニの「カプレーティとモンテッキ」より「こうして私は晴れの衣装を着せられ~ああ幾たびか」です.これも,切ないメロディーを感情を込めて歌い上げました
ここでまた,コップの水を飲んで最後の曲に臨みます.ドニゼッティ「ドン・パスクワーレ」より「あの目に騎士は~わたしも魔の力を知る」です.ピアニストからリボンにくるまれた手紙を受け取り,歌いながらそれを広げます.リサイタルの小道具ですね レチタティーヴォが終わってその手紙を手で破り捨て,アリアに移ります.このアリアものびやかな無理のない美声で気持ち良く歌い上げます
歌の実力よりも,その美しい容姿で人気があるエルトマンですが,実際にナマで聴くまでは彼女の実力は判断しないことにしていました 今回,実際に彼女の歌声を身近で聴き,彼女は「本物」だということを認識しました
評価の高いモーツアルトに限らず,プッチーニ,ベッリーニ,ドニゼッティといったイタリアのベルカント・オペラも,役になりきって素晴らしい歌声を聴かせてくれました
このリサイタルで忘れてはならないのはピアノ伴奏を務めたゲロルト・フーバーです エルトマンの歌によく伴奏を付け,出すぎることなく,かといって何の不足もなく,しっかりと役割を果たしていました
会場一杯の拍手とブラボーに,アンコールを結局3曲歌ってくれました.最初はプッチーニ「ジャン二・スキッキ」から「私のお父さん」,次にヨハン・シュトラウスⅡ「こうもり」から「公爵様,あなたのようなお方は」,最後にレハール「ジュディッタ」から「私の唇は熱いキスをする」です
このアンコールも熱唱で,拍手が鳴りやみませんでした
生まれつきの美貌と天性のリリック・ソプラノ,彼女は明日のオペラ界を担うソプラノ歌手の有力候補であることに間違いありません
サイン会があると予想して,以前買って持っていた彼女のCD「モーストリー・モーツアルト」を持参して,サイン会の列に並びました.すでに40メートル位の列が出来ていましたが,後ろを振り返るとさらに50メートル以上の列がつながっていました今度は是非オペラで歌う彼女を見たいと思います
美人を前にしてつい手が震えて・・・・・ではなくて,シャッターの
遅いケータイ・カメラではボケの状態にしか映せませんでした