人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

目立たない指揮者だが~エド・デ・ワ―ルト指揮「ロイヤル・フランダース・フィル」を聴く

2012年06月21日 06時56分04秒 | 日記

21日(木)。昨日は、当社の定時株主総会と取締役会があり、無事に終わったことを祝して、夕方地下のRでご苦労さん会を開きました 例によってS監査役,E部長,T君,K君という面々です.当方はコンサートを控えているので30分だけ付き合うことにしました.ビールと日本酒を飲んで,一人だけ”仕上げ蕎麦”を食べて,冷やしトマトを食べていると,タイムキーパーのK君が「殿,時計をご覧くだされ」と進言するので,腕時計をみると,何と6時15分 錦糸町のホールまでぎりぎりの時間です.そそくさと荷物(文庫本1冊)をまとめて地下鉄に向かいました

 

  閑話休題  

 

昨夕午後7時から、すみだトリフォニーホールでエド・デ・ワ―ルト指揮ロイヤル・フランダース・フィルの来日公演を聴きました プログラムは①エルガ―「チェロ協奏曲ホ短調」、②マーラー「交響曲第1番ニ長調」です。チェリストは当初マリー・エリザベート・ヘッカ―という女性の予定でしたが、健康上の理由からポール・ワトキンスに変更になりました。私は2人とも知りませんが,どうせならマリーさんの演奏を聴きたかったです

 

          

 

オーケストラの配置は,左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロ,その後ろにコントラバスという編成です 数年前にこのオーケストラを聴いたときはフィリップ・ヘルヴェッへの指揮でマーラーを演奏しましたが,コントラバスが舞台奥に横一列に並んで演奏していたのが印象的でした

女性のコンサートマスターによるオーケストラのチューニングが終わって,チェロのワトキンスとともにエド・デ・ワールトの登場です 私はLP時代のワールトしか知らないので,白髪の頭と顔と姿を見て「ずいぶん年を取ったなあ~」と思いました.彼は1964年にニューヨークのミトロプーロス指揮コンクールで優勝後,ニューヨーク・フィルで1年間バーンスタインの助手を務めてオランダに帰国,ベルナルト・ハイティンクのもとコンセルトへボウ管弦楽団指揮者助手になりました そのせいかどうか分かりませんが,ワールトはハイティンクにそっくりです

チェロ独奏のポール・ワトキンスは1970年イギリス生まれ,弱冠20歳でBBC交響楽団の首席奏者となりました その後,ソリストとして活躍しています

エルガーの「チェロ協奏曲ホ短調」は,第一次世界大戦が終結に向かいつつある1919年に完成しました 4つの楽章から成りますが,流れるように連続して演奏されます.チェロ協奏曲の中ではドヴォルザークに次ぐ名曲です.ワトキンスは詩情豊かに美しいメロディーを奏でます 同じイギリス出身のチェリストでエルガー奏者と言えば,伝説のジャクりーヌ・デュプレがいましたね

ワトキンスは観客のアンコールに応え,J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲第3番の「サラバンド」を心豊かに演奏しました

2曲目のマーラー「交響曲第1番ニ長調」は,作曲者が26歳の頃に書き始められ1888年に完成しました

ワールトの合図で,第1楽章「ゆっくりと,ひきずりながら,自然の音のように」が始まります しばらく聴いてみて「この程度の演奏なら,日本のオーケストラでも対抗できるのではないか」と思いました.しかし,第1楽章フィナーレ近くのホルンの総奏あたりから考えが変わってきました.何とも柔らかな良い音を出すのです それから第2楽章「力強く動いて,ただし速すぎずに」に入ると,今度は弦楽の演奏の素晴らしさに気が付きました.とくにヴァイオリン・セクションが非常に美しい音楽を奏でています

第3楽章「厳粛に,また重々しく,引きずらずに」はコントラバス1本で「兄弟マルティン,お前はまだ眠っているのか」のパロディ旋律を奏でます.コントラバス奏者なら誰もがこのソロをやってみたいと思うのではないかと思います

第4楽章「嵐のように動いて」に突入して”本領発揮”といった感じになりました オーケストラのメンバーの一人一人が最大限の力を発揮して演奏に取り組んでいます.マーラーは,最後のファンファーレではホルンの7人(可能ならさらに増強)が起立して演奏するように指定していますが,ワールトはホルン7人とトロンボーン,トランペット各1人を起立させて増強しました.2台のティンパ二の迫力と相まって,その演奏効果は凄まじいものがありました

拍手とブラボーの嵐に何度もワールトは舞台に呼び戻され,管楽器奏者を中心に起立させて拍手を求めました.それでも拍手が終わらないので,ワールトはコンサートマスターの手を取って引き上げていき,やっと観客も席を立ちました

ワールトという指揮者は先生のハイティンクと同じように,あまり目立たない存在ですが,時に凄い演奏を展開します.今回がその典型でした

 

          

 

 

          

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