人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ヒラリー・ハーンのメン・コンとフランクフルト放送響のブルックナー「第8交響曲」を聴く

2012年06月08日 06時58分11秒 | 日記

8日(金).たしか8月2日にチョン・ミュンフン指揮アジア・フィルのコンサートがあるはず。大量に配られるチラシの中にも見かけないし,コンサート情報誌「ぶらあぼ6月号」のチケット前売り情報にも載っていないけど、いったいどうなっているんだろう?・・・・・と思ってグーグルで「アジア・フィル」を検索してみたら、ジャパン・アーツのホームページに「チケットの一般発売は6月5日から」と書いてあるではありませんかプログラムは①シューベルト「交響曲第7番”未完成”」、②ベートーヴェン「交響曲第3番”英雄”」。料金はS:12,000円、A:10,000円、B:8,000円、C:6,000円、D:4,000円となっています

チケットはジャパン・アーツのホームページからも申し込めますが、会場のサントリーホールのチケットセンター、チケットぴあでも扱っているとのことです チラシが手に入らないのは、このコンサートの主催者が「友情の架け橋音楽国際親善協会」という団体だからかもしれません。サントリーホールの主催公演だったらとっくに公表されているはずです

と言うわけで,昨夕サントリーホールに行き,コンサート前にチケットセンターでS席を買い求めました 1階17列のセンターブロック通路側席です.係りの人に「アジア・フィルのチラシはありますか?」と聞いてみたら「まだ納品されていません」という答えでした 主催者はどういうつもりでいるんでしょう

 

  閑話休題  

 

一昨日に続いてサントリーホールでパーヴォ・ヤルヴィ指揮フランクフルト放送交響楽団のコンサートを聴きました 演奏曲目は①メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」(ヴァイオリン独奏:ヒラリー・ハーン),②ブルックナー「交響曲第8番ハ短調」の2曲です

エストニア生まれのパーヴォ・ヤルヴィは2006年からフランクフルト放送交響楽団の音楽監督を務めています。彼はこのほか、パリ管弦楽団の音楽監督とドイツ・カンマーフィルの芸術監督を兼任しています。いま最も引っ張りだこの指揮者です フランクフルト放送交響楽団は1929年創立の、ドイツで3番目に古い歴史を誇るオーケストラです

 

           

 

1曲目のメンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲」はメン・コンの愛称で親しまれている,世界で最も有名なヴァイオリン協奏曲と言っても差し支えない名曲です 作曲者が常任指揮者を務めるゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートマスター,ダーヴィトのために作曲されました

拍手の中,オーケストラのメンバーが入場します.前日と同じようにコンサートマスターは真っ先に出てきて座ります.チューニングが終わり,指揮者のヤルヴィがソリストのヒラリー・ハーンとともに登場します.ハーンは黒を基調とした金の星々を配した輝かしいドレスに身を包まれて現われました

ヤルヴィのタクトでメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲の第1楽章が始まります.ハーンは技術を見せつけるような姿勢ではなく,むしろ大人しいくらいのスタイルで丁寧に音楽を進めます この曲の持っている性格がそうさせるのかもしれません.そのせいか,名手ハーンが弾いても何となく物足りなさを感じてしまいます さすがに最終楽章のフィナーレはテンポよく盛り上がって終わるので,聴衆は拍手喝采を送ります

ハーンは鳴り止まない拍手とブラボーに,日本語で「バッハのグラ―ヴェ」と言って,J.S.バッハの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番」から「グラ―ヴェ」を音楽性豊かに演奏しました それでも鳴り止まない拍手に,またしても日本語で「バッハのアレグロ」と言って,同じ第2番から「アレグロ」を躍動感溢れる演奏をして聴衆を歓喜させました 私は,メン・コンよりむしろアンコールのバッハの方が良かったと思います 本音を言えば彼女にはチャイコフスキーやショスタコーヴィチのコンチェルトを弾いてほしいと思います

休憩時間にトイレに行ったのですが,いつもは女性トイレに列が出来ているのに,この日は男性トイレに長蛇の列が出来ていて意外な感じがしました いつか新聞か本かで読んだことを思い出しました.「ブルックナーを聴く女性は少ない」ということです そう思って,あらためて客席を見渡してみると確かに女性が少ないことが分かります 避けられる理由は曲の長さでしょうか?あるいは,しつこい繰り返しでしょうか

前日のマーラーの演奏時とオケの配置で違うのはハープの位置です.マーラーの時は向かって右サイドに1台置かれていましたが,この日のブルックナーでは向かって左サイドに2台置かれています

ヤルヴィの指揮のもと低弦の響きが迫ってきます.丸刈り頭のヤルヴィの後姿を見ていたら,まるでブルックナーが指揮をしているような錯覚を覚えました ブルックナーがこの曲を書いたのは63歳の時なので,今の若いヤルヴィとは年齢差がありますが,雰囲気がそんな感じで,ブルックナーがヤルヴィに乗り移ったかと思いました

ヤルヴィは第1楽章と第2楽章を続けて演奏しました.4つの楽章を3つに分けて演奏するつもりか?と思っていると,第3楽章と第4楽章も続けて演奏しようとしていました.第3楽章が終わって聴衆が咳を始めたので,不本意ながらタクトを一旦下ろして,一拍おいてから第4楽章を始めました つまり彼は第1楽章と第2楽章,それと,第3楽章と第4楽章を繋げ,大きく2つに分けて演奏しようとしたわけです.ヤルヴィとしてのこだわりがあるのでしょう

驚いたのは第3楽章「アダージョ」で,弦楽器だけで演奏しているのに,オルガンの響きが聴こえてきたのです これこそ,ブルックナーが求めていた響きではないかと思いました.ただ,その意図するところはまったく違います.ブルックナーは神のために音楽を捧げましたが,ヤルヴィはあくまでも純粋な器楽曲として再現します 最終楽章のフィナーレは,オーケストラが巨大な音の伽藍を築き上げ,圧倒的な迫力で音の波が聴衆に迫ってきました

会場割れんばかりの拍手とブラボーの嵐 ブルックナーの第8番を演奏した後にアンコールはあり得ない,ということは分かっているのに,聴衆は拍手とブラボーを止めず,帰ろうとしません.ヤルヴィは何回も呼び戻されて,最後には譜面台のブルックナーの楽譜を閉じて,右手で幼児がするように”バイバイ”をして舞台袖に引き上げました

久しぶりにナマでブルックナーの交響曲を堪能しました.たまにはブルックナーもいいものです

  

                      

 

終演後、ヒラリー・ハーンのサイン会がありましたが、前日のアリス・紗良・オットと同様、前回の来日公演の時にサインをもらっているので長蛇の列に並ぶのは止めました.今日はライプツィヒ弦楽四重奏団による室内楽を聴きに行きます

 

            

コメント (4)
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