人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

プラハ国立歌劇場公演でベッリーニの歌劇「ノルマ」を観る~グルベローヴァ期待のノルマはいかに?

2016年11月07日 07時57分32秒 | 日記

7日(月).わが家に来てから今日で770日目を迎え,仲間らしきウサギに遭遇して とまどっているモコタロです

 

          

                                     おやっ ボクに似た動物がいるぞ いったい何ものだ?

 

          

                なんだって? 「今年は残り少なくなったね」がヒントだって?

 

          

             2017が気になってたけど ペット・ショップの来年のカレンダーだってさ

 

  閑話休題  

 

昨日,東京春祭ワーグナー・シリーズVol.8「神々の黄昏」のチケットを手配しました 朝10時から電話・ネットでの先行予約受付開始ということだったので,早々にネットでアクセスしたのですが,「アクセス集中につき 後でやり直してほしい」旨の表示が出ています.何度かやり直してダメだったので,30分後に再挑戦したら今度は繋がりました 4月1日(土)と4月4日(火)の2回公演がありますが,土曜は申し込みが集中して良い席が取れないだろうという予測を立て,4日の座席指定を取りました S席で左ブロック9列目ですが,残念ながら通路側は取れませんでした.それでもかなり良い席です

出演はジークフリート=ロバート・ディーン・スミス,アルべリヒ=トマス・コニエチュニー,ブリュンヒルデ=クリスティアーネ・リボール,ヴァルトラウテ=エリーザベト・クールマン,ハーゲン=アイン・アンガー他,管弦楽=NHK交響楽団,合唱=東京オペラシンガーズ,指揮=マレク・ヤノフスキです

私は 昨年の春祭ワーグナー「ワルキューレ」を2015年に聴いた「マイ・ベスト1」に選んでいます 今年の「ジークフリート」も現時点でマイ・ベスト3に入っています 最高の指揮者・キャストによる「春祭ワーグナー」シリーズはクラシック好きには聴き逃せません S席:21,600円,A席:17,500円,B席:13,400円,C席:10,300円,D席:7,200円,E席:4,100円,U25席:2,000円となっています.このうち先行予約の対象はS,A,B席です.より良い席を確保するためには電話か,ネットで登録のうえ予約を入れることをお勧めします 電話は03-3322-9966,ネットは「東京春祭」で検索してください.先行予約は11月22日(ネットは23日)までとなっています

 

          

 

          

 

  も一度,閑話休題  

 

昨日,渋谷のオーチャードホールでプラハ国立歌劇場の来日公演,ベッリーニの歌劇「ノルマ」を観ました 出演は,ノルマ=エディタ・グルベローヴァ,ポリオーネ=ゾラン・トドロヴィッチ,アダルジーザ=ズザナ・スヴェダ,オロヴェーゾ=オレグ・コロトコフ,フラヴィオ=ヴェーツラフ・ツィカーネク,クロティルデ=シルヴァ・チムグロヴァ―,指揮=ペーター・ヴァレントヴィッチ,演出=菅尾友です

この公演を観るために,先週はマリア・カラスの歌う「ノルマ」のCDで徹底的に予習をしてきました.待望のノルマ公演です

 

          

 

「物語は紀元前50年ごろのガリア地方.ローマ帝国の支配下に置かれているこの地方は,ローマから派遣された総督ポリオーネが統治していた.一方,現地の人はオロヴェーゾのもとで反乱の機会を狙っていた.彼の娘で巫女の長のノルマは禁を破ってひそかに敵のポリオ―ネと愛し合い,子供をもうけていた.しかし,ポリオ―ネは若い巫女アダルジーザに心を移していた.この3人の三角関係のもつれにより,最後にはノルマとポリオ―ネは愛を取り戻すが,禁を破った罰として二人とも自ら火刑台に向かう」

 

          

 

自席は1階18列3番,左ブロック左から3つ目の席です.会場はほぼ満席です 皆 グルベローヴァがお目当てでしょう.グルベローヴァはスロヴァキアのブラティスラヴァ生まれ.1970年にウィーン国立歌劇場でモーツアルト「魔笛」の夜の女王で本格的なデビューを果たし,カール・ベームに認められ リヒャルト・シュトラウスなどのオペラを歌い,その後レパートリーを広げ,コロラトゥーラ・ソプラノとして名を馳せました その以降,ドニゼッティ,ベッリーニなどベルカント・オペラに取り組み,オペラの頂点に立ちました

 

          

 

拍手の中,指揮者のペーター・ヴァレントヴィッチがオーケストラ・ピットに入り,序曲の演奏に入ります マリア・カラスのCDでバックを務めたトゥリオ・セラフィンによる”劇的緊張感漲る”演奏に比べると迫力不足ですが,ベッリーニの序曲の魅力はしっかりと伝えています 演奏は良いのですが,ホールの音響が最悪です 音の固まりがボワーンと広がっていく感じです.オーケストラ・ピットから出る音ということを割り引いても,ひどい音響です これだからオーチャード・ホールは敬遠したくなるのです

ステ―ジはコンクリートむき出しのような地味でシンプルな舞台造りになっています 第1幕が始まり,合唱に続いてノルマが登場しますが,グルベローヴァを見て「ずいぶん歳をとったなあ」と思いました.年月の流れは歌手にとって残酷です 合唱「ノルマのお出ましだ」に次いで,ノルマがこのオペラの最大のアリア「清らかな女神」を歌う場面になりました フルートによる緩やかな息の長い旋律が流れグルベローヴァのアリアを導きます

ところが,どうしたことでしょうか.グルベローヴァの口から出て来た歌声は音程が狂っているとしか言いようがない不安定なものでした とても信じられないことが目の前で起こっています 声が上ずった状態で修正がきかないまま待望のアリアが終わってしまいました 何のために29,000円ものお金を注ぎ込んで,しっかり予習してきたのでしょうか 本当にガッカリしました.ところが,アリアが終わると1階後方,2階席からブラボーがかかりました.絶対「ブラボー屋」が雇われているに違いありません わざとらしいブラボーでした.私は ベラボー と叫びたくなるのをじっと我慢しました 会場は拍手に満たされていましたが,私の周りの人で拍手をしている人は一人もいませんでした.自分に正直に生きている人が集まっていたようです

その後も,第1幕の「ノルマとアダルジーザの二重唱『ああ,思い出す.私もそうだった』」でも不安定さは変わらず,どちらがヒロインなのか分からないような歌唱力でした 第2幕に入ってから一時良くなったかな,と思わせる場面もありましたが,残念ながら「ノルマとアダルジーザの二重唱『お願い,子供たちを連れて行って』」,「ノルマとポリオ―ネの二重唱『とうとう私の手に』」でも好調さを取り戻すまでには至りませんでした

しかし,絶望ばかりしていたら何も得るものはありません ノルマ以外に救いを求めることにしました.幸いにもグルベローヴァに師事したズザナ・スヴェダが完璧に近いアダルジーザを歌い 演じていました また,ポリオーネを歌い 演じたゾラン・トドロヴィッチは新国立オペラの「カルメン」でドン・ホセを,「蝶々夫人」でピンカートンを歌った人ですが,終始 力強い歌声で安定感のあるテノールを聴かせてくれました 第1幕の「アダルジーザとポリオーネの二重唱『ならば去れ,冷たい人よ』」は絶妙のアンサンブルでした また,ノルマの父オロヴェーゾを歌ったオレグ・コロトコフはプラハ国立歌劇場のソリストですが,深みのあるバスで聴衆を魅了しました

あらためてプログラム冊子をめくってみたら,グルベローヴァは1946年生まれであることが分かりました ということは今年がちょうど70歳ということになります この日の不調は加齢によるものなのか,この日が来日公演の最終日ということで公演旅行の疲れがピークに達していたということなのか,本当のところは本人でなければ分かりません

今回のプラハ国立歌劇場の来日公演の演目はベッリーニ「ノルマ」とモーツアルト「魔笛」の2本で,10月15日から11月6日まで(22日間)のうち15日間,神奈川,盛岡,横須賀,大宮,福岡,松山,びわ湖,大阪,長野,名古屋,東京と全国を”巡業”しています その意味ではハードスケジュールですが,「ノルマ」は6公演で,グルベローヴァが歌うべき「ノルマ」のノルマ  は10月26日(水)福岡,11月3日(木)名古屋,そして11月6日(日)東京の3公演です 前の公演から名古屋が中7日,東京が中2日での出番です.今回の最終公演で グルベローヴァは中2日では回復できなかったということでしょうか

全2幕が終わり,幕が降りるとブラボーと拍手の嵐が起こりましたが,出場者全員のカーテンコールに付き合ってから,早々に引き上げてきました 何人かの歌手が良くても,肝心のヒロインが不調ではその公演は成功したとは言えないでしょう.本当に残念です

 

          

コメント (4)
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