18日(金).わが家に来てから今日で780日目を迎え,日本銀行が国際を無制限に購入することを金融機関に通知したというニュースを見てひと言述べるモコタロです
国債をそんなに購入しちゃって大丈夫なの? いつか酷債にならないかなあ?
閑話休題
昨日,夕食に「サバの塩焼き」「生野菜サラダ」「トン汁」を作りました サバは鮮魚専門店で買ってきたので新鮮です
も一度,閑話休題
昨日はコンサートのハシゴをしました まず午前11時から上野の東京藝大奏楽堂で「モーニング・コンサート」を聴きました
プログラムは①ヴォーン=ウィリアムズ「オーボエ協奏曲イ短調」,②ショスタコーヴィチ「ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調」です.①のオーボエ独奏は倉澤唯子,②のヴァイオリン独奏は木林壱成,指揮は山下一史です
全自由席なので,1階14列24番のセンターブロック右通路側を押さえました 1曲目のR.ヴォ―ン=ウィリアムズ「オーボエ協奏曲イ短調」は,オーボエと弦楽のための協奏曲なので,まず弦楽奏者だけが配置に着きます
オーボエ独奏は東京藝大4年生の倉澤唯子さんです.指揮者・山下一史と共に ホワイトの鮮やかな衣装で登場した彼女は,同じ藝大の大学院生で東響の首席オーボエ奏者・荒木奏美に全体の雰囲気が似ています
レイフ・ヴォーン=ウィリアムズ(1872~1958年)は英国の王立音楽学校とケンブリッジ大学で学んだ幅広い教養を持った作曲家です この協奏曲はイギリスの名オーボエ奏者レオン・グーセンスのために作曲されました
第1楽章「ロンド・パストラール」,第2楽章「メヌエットとミュゼット」,第3楽章「終曲:スケルツォ」から成ります 山下一史の指揮で第1楽章に入ります.穏やかで美しいメロディーは,いかにもイギリスの地方の広々とした風景が目に浮かぶようです
作曲者がオーボエの特性を良く知った上で作ったことが窺える曲想です
第2楽章を経て第3楽章に入りますが,ここではひと際オーボエの美しいメロディーが会場に響き渡ります.カデンツァも見事でした
彼女はモダン・オーボエを小畑善昭氏ほかに,バロック・オーボエをバッハ・コレギウム・ジャパンのオーボエ奏者・三宮正満氏に師事しているとのことです バロック面での活躍も期待したいと思います
後半はショスタコーヴィチ「ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調」です 演奏するのは藝大4年生の小林壱成君です.第84回日本音楽コンクール第3位,モーツアルト国際室内楽コンクール2014第2位ほか,多くのコンクールに入賞しています
私も名前だけは知っていました
ショスタコーヴィチ(1906-1975)はこの曲を1947-48年にかけて作曲しました.当時はいわゆる「ジダーノフ批判」によって,この曲の発表は見送られ,スターリンの死後 1955年にダヴィッド・オイストラフのヴァイオリン独奏,エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルによって初演されました
第1楽章「ノクターン:モデラート」,第2楽章「スケルツォ:アレグロ」,第3楽章「パッサカリア:アンダンテ」,第4楽章「ブルレスク:アレグロ・コン・ブリオ」の4楽章から構成されています 山下一史の指揮で第1楽章が低弦の序奏から重々しく開始されます
この楽章を聴いていて いつも思うのは「これはショスタコーヴィチのモノローグではないか
」ということです.表に出せない鬱積した気持ちを吐露しているように感じます
第2楽章「スケルツォ」は冒頭,バスクラリネットとフルートによって諧謔的な旋律が奏でられ,ヴァイオリンが荒々しく入ってきます ベートーヴェンやショスタコーヴィチの作品では,美しく響かせるよりも なりふり構わず荒々しく演奏した方が良いところがありますが,この楽章がそうです.小林壱成の演奏はまさにそうした演奏で,なかなかセンスがいいと思いました
と思っていると,ヴァイオリンから「プツン
」という音が聞こえました.どうやら弦が切れたようです
ソリストは慌てずコンマスのヴァイオリンと取り替えてすぐに演奏を続けました
弦が切れたヴァイオリンは副主席からヴァイオリン・セクションの後方に回され,最後方の奏者が舞台裏に持っていきました.その後の小林壱成の演奏は集中力に満ちた素晴らしいものがありました
第2楽章が終わり,修理されたヴァイオリンがソリストに渡され,第3楽章に入りました ティンパ二による堂々たる音楽で開始されます.ここでのヴァイオリン独奏は,終盤のカデンツァを含めて弱音が美しく,哀しみさえ感じさせます
第4楽章はティンパ二の連打が活躍するブルレスクで開始されます.躍動感に満ちた独奏ヴァイオリンが荒れ狂います
今までの鬱屈していた暗い気分を一気に払拭するようなエネルギーに満ちた音楽が展開します
会場割れんばかりの拍手とブラボーです 文句の付けようのない素晴らしい演奏でした
ヴァイオリンをただ美しく響かせるだけでなく,局面に応じて きたないと思われる音も効果的に出していました
先日のモーニング・コンサートで演奏し 喝さいを受けた岡本誠司君とともに将来が楽しみなヴァイオリニストです.これから注目していきたいと思います
最後の,閑話休題
次いで午後7時から初台の新国立劇場(オペラパレス)で,新国立オペラ,プッチーニ「ラ・ボエーム」を観ました 新国立劇場の玄関ではクリスマスツリーがお出迎えです
まだ11月とは言え,どこに行ってもクリスマス・モードですね
キャストは,ミミ=アウレリア・フローリアン,ロドルフォ=ジャンルーカ・テッラノーヴァ,マルチェッロ=ファビオ・マリア・カピタヌッチ,ムゼッタ=石橋栄実,ショナール=森口賢二,コッリーネ=松位浩,ベノア=鹿野由之,アルチンドロ=晴雅彦ほか,管弦楽=東京フィルハーモニー,指揮=パオロ・アリヴァべー二,演出=粟国淳です
新国立劇場における粟国淳演出によるプッチーニ「ラ・ボエーム」は,2003年,2004年,2008年,2012年に次いで今回が5回目の公演です 私はこのすべてを聴いています
このオペラは第1幕:屋根裏部屋で,第2幕:カルチェ・ラタンにて,第3幕:アンフェール関門,第4幕:屋根裏部屋でーの4幕から構成されていますが,粟国演出の見どころは第2幕のカルチェ・ラタンです 背景の建物があちこちに動きます
これは機械仕掛けではなく大道具係が手動で動かしているのですが,流れるような動きは見事です
粟国氏はローマのオペラ座でフランコ・ゼッフィレッリ演出の「ラ・ボエーム」を観て圧倒され,舞台創りを仕事とする決心をしたということですが,ゼッフィレッリを超えようという意欲が演出に現れています
彼が観たゼッフィレッリ演出の「ラ・ボエーム」が米METのそれと同じかどうか分かりませんが,METのそれは来日公演の際に目の前で観て圧倒されました
あの演出を観た者はあの演出が「ラ・ボエーム」を観る時の”基準”になってしまいます
さて,オペラですから歌手のパフォーマンスの話になりますが,歌手陣の中でダントツに強い印象を残したのはロドルフォを歌ったローマ生まれのジャンルーカ・テッラノーヴァです 彼のテノール・リリコの歌唱は”破壊力”と言っても良いぐらいこのオペラを支配していました
あまりにも元気過ぎて,局面によってはもう少し抑えた方が良いのではないかと思うほどでした
女性陣ではミミを歌ったルーマニア生まれのアウレリア・フローリアンが美しいソプラノ・リリコで聴衆を魅了しました
また,ムゼッタを歌った石橋栄実は美しくも力のあるソプラノを披露してくれました
この人は大阪音楽大学専攻科修了という珍しい経歴の持ち主ですが,これからが楽しみな歌手だと思いました
今回,今までと違う印象を受けたのは,第4幕のフィナーレです ベッドでミミが言切れて,やっとそれに気が付いたロドルフォが「ミミ―!」と叫んで,感動的な幕切れを迎えるのですが,「ミミ―!」の後,幕が降りるまで こんなに間(ま)があっただろうか?ということです
これは指揮のテンポのせいだとは思えないのですが,単なる私の勘違いだろうか
それにしても,プッチーニのオペラは泣かせますね.「マダム・バタフライ」にしても,「トゥーランドット」にしても,「マノン・レスコー」にしても,「トスカ」にしても 同じイタリアのオペラ作曲家 ヴェルディと違うところですね