7月1日(日)。「明けない夜はない」と同じように「明けない梅雨はない」ということで、6月中に梅雨が明けて すでに猛暑の毎日が続いています 早いもので2018年も半年が経過してしまいました あっという間の6か月でしたが、ここで私の3つの目標の達成状況を中間報告いたします
年間目標 6か月実績 達成状況(目標=半分)
①クラシック・コンサート 200回 121回 達成
②映画鑑賞 150本 73本 ややマイナス
③読 書 70冊 25冊 大幅にマイナス
このうち、「読書」が大幅にマイナスになっているのは、この6か月間に読んだ本のうち R・D・ウィングフィールド著「フロスト・シリーズ」(3作品)をはじめ1冊のページ数が他の約2倍(600ページくらい)ある作品が多かったことが原因だと思います 今 読んでいる本もやっと500ページを超えたのに なお100ページ以上も残っています まだ6か月あるので何とか3つとも目標を達成するよう努力したいと思います
ということで、わが家に来てから今日で1368日目を迎え、米NBCニュースが29日、米情報機関が行った分析によると 北朝鮮が核兵器の原料となる高濃縮ウランの生産を強化していると報じた というニュースを見て感想を述べるモコタロです
トランプは自慢げにしてるけど北朝鮮に甘いよな ウランの行き先はイランじゃね?
昨日、東京藝大奏楽堂で「シュテファン・ドール プロデュース『管楽アンサンブルの極み』」を聴きました プログラムは①ポール・デュカ「『ラ・ペリ』のファンファーレ」、②同「ヴィラネル」、③周文中「ある尼僧の独白」、④アントニン・ドヴォルザーク「セレナード」、⑤リヒャルト・シュトラウス「13楽器のための組曲」、⑥ヴィト・ジュライ「クワイエット・プリーズ」、⑦レナード・バーンスタイン/E.クリーズ編曲「ウェスト・サイド・ストーリー」組曲です 演奏はフルート=山本葵、オーボエ=小畑善昭、クラリネット=伊藤圭、ホルン=シュテファン・ドール、日高剛、トランペット=星野朱音、トロンボーン=古賀慎治、打楽器=藤本隆文、チェロ=河野文昭、コントラバス=池松宏、あとは藝大の学生・大学院生の皆さんです
開演に先立って、日高剛 藝大准教授とベルリン・フィル首席ホルン奏者シュテファン・ドール氏によるプレトークがありました ドール氏によると、先日、サイモン・ラトル指揮による最後のコンサートがあった際、アンコールの時にホルン奏者全員がラトルの髪のカツラを被って演奏したら、ラトルはびっくりして喜んでいたそうです
全席自由です。1階10列13番、センターブロック左通路側を押さえました。会場は7割くらいの入りでしょうか
1曲目はポール・デュカ「金管アンサンブルのための『ラ・ペリ』のファンファーレ」です デュカ(1865‐1935)というと、ディズニー・アニメ「ファンタジア」の「魔法使いの弟子」を思い出します バレエ音楽『ラ・ぺリ』は1911年に完成し翌12年に初演されました。この「ファンファーレ」は初演時に追加された音楽ですが、現在では全曲ではなく「ファンファーレ」のみが単独で演奏される機会が多いようです 金管楽器の学生11人が登場、シュテファン・ドールの指揮でコンサートの幕開けに相応しい明るく華やかな音楽を披露しました
2曲目は同じデュカの「独奏ホルンと金管アンサンブルのための『ヴィラネル』(田園詩)」です この曲はパリ音楽院作曲科教授だったデュカが、1906年の音楽院の試験曲として作曲した作品です 元々はホルンとピアノのために作曲された作品ですが、2016年にドール氏がジョシュア・デーヴィスに編曲を依頼した「独奏ホルンと金管アンサンブルのための編曲版」で演奏されます
ドール氏の指揮により独奏ホルン・信末碩才と金管楽器10人により演奏されます 聴いていて「なるほど」と思ったのは、曲の中盤でベートーヴェンの交響曲第6番「田園」の冒頭のテーマが聴こえてきたからです パクったな、と思いました
3曲目は中国系アメリカ人作曲家・周文中(1923-)の「独奏トランペット、金管と打楽器のための『ある尼僧の独白』」です この曲は1958年の作品で、元になったのは16世紀の中国文学の中のワンシーンで「仏教寺院の暗闇の中で、尼僧が釈尊と菩薩の像を拝んでいるが、しかし彼女の意思はその姿と裏腹である」というものとのことです なんのこっちゃ、ですが、聴かなければ分かりません
2階正面バルコニーに独奏トランペットの星野朱音がスタンバイし、1階のステージには打楽器3人、金管楽器8人が配置に着きます
ドール氏の指揮で演奏が開始されますが、金管楽器はミュートがかけられ、作曲者の意図する「抑制された感情」を表すかのようです 全体的には東洋と西洋が微妙に交差した曲想のように感じました
前半最後の曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841‐1904)の「管楽のための『セレナード』ニ短調作品44」です この曲はしっかり予習しました と言いたいところですが、予習をしくじりました というのは、私は手帳にコンサート名、時間、場所とともに主なプログラムを記入しているのですが、ドヴォルザーク「セレナード」としか記入していなかったので、CD棚から適当に「弦楽のためのセレナーデ」を引っ張り出してきて聴いていたのです コンサート名はちゃんと「管楽アンサンブル」と書いてあるのに、こういう失態を時々やらかします 気が付いた時はアフター・フェスティバル(後の祭り)です
【注意】「後の祭り」は英語では It's too late が通常の言い方で、普通 アフター・フェスティバルとは言いません 真面目な中高生が本気にして試験に失敗したら It's too late なのでコメントしておきます
気を取り直して・・・この曲は1878年に作曲されました。楽器編成は、オーボエ、クラリネット、ファゴットが各2人、ホルン3人、チェロ、コントラバスの計11人です 左端はオーボエの小畑教授(元・新日フィル首席)、右端はクラリネットの伊藤准教授(N響首席)、センターにシュテファン・ドールはじめホルン3名、その右にチェロの河野教授、その後方にコントラバスの池松准教授(都響首席)が控えます
予習こそ出来なかったものの、この曲は比較的馴染みがあるので、何とかついて行けそうです 第1楽章「モデラート・クワジ・マルチア」、第2楽章「メヌエット:テンポ・ディ・メヌエット」、第3楽章「アンダンテ・コン・モート」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・モルト」の4楽章から成ります
第1楽章冒頭の行進曲風の音楽はいいですね 私が特に印象に残ったのは第3楽章です。小畑氏のオーボエとクラリネットの伊藤氏の対話が素晴らしかったです この楽章では、チェロ、コントラバス、ホルンに支えられながらメロディーを奏でるオーボエとクラリネットの音楽が、モーツアルトの「グラン・パルティータ」の「アダージョ」を聴いているような錯覚に陥りました
休憩後の1曲目はリヒャルト・シュトラウス(1864‐1949)の「13楽器のための『組曲』変ロ長調作品4」です この曲は作曲者がモーツアルトに傾倒していた頃、18歳の時の作品です モーツアルトの「セレナード第10番『グラン・パルティータ』」を意識して、同じ13楽器による作品として作曲しました 最初に作曲した単一楽章の「セレナード」を指揮者ハンス・フォン・ビューローに評価され、彼の依頼により1884年夏に4曲から成る「組曲」を作曲しました 第1曲「前奏曲:アレグレット」、第2曲「ロマンツェ:アンダンテ」、第3曲「ガヴォット:アレグロ」、第4曲「序奏とフーガ:アンダンテ・カンタービレ~アレグロ・コン・ブリオ」です
フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット各2人、コントラ・ファゴット、ホルン4人の計13人によって演奏されます クラリネットの伊藤氏、ホルンのドール氏も加わっての演奏ですが、13人のうち8人が女性ということで華やかな雰囲気です
リヒャルト・シュトラウスらしい濃厚な音楽が展開します 前述の通り、彼はこの曲でモーツアルトの「グラン・パルティータ」風の音楽を狙って書いたようなのですが、私にはむしろ、先のドヴォルザーク「管楽セレナード」の方がよほどモーツアルトに近いと思いました 演奏ではやはりドール氏、伊藤氏が抜群に上手いです
次の曲はスロヴェニア出身の作曲家ヴィト・ジュライ(1979-)の「クワイエット・プリーズ」(お静かに願います)です 演奏者はホルン1人とトランペット2人の計3人ですが、彼らは楽器の本体を持たず、小さなマウスピースだけを片手に持って登場します いったいどうするつもりか? と耳を傾けていると、3人はそれぞれマウスピースに口を付けて、楽器を「吹く」と言うより「喋る」ようにして音を出します それが終わると、今度は穴の部分を手の平でポンポンと叩いて音を出し、またマウスピースで喋り出します それが終わると、今度は一人が赤ちゃんの泣き声のような音を出すと、真ん中の女性奏者が母親がなだめるようなことを口で言いますが、何を言っているかは不明です すると、今度はドナルド・ダックの鳴き声が聞こえてきたりします 最後は3人とも口をブルブル震わせて音を出し、曲を閉じます わずか3分程の「曲」でしたが、何とも可笑しく楽しい曲で、会場はやんややんやの喝采です 3人とも真面目に「演奏」しているところが好感が持てました
最後の曲はレナード・バーンスタイン/E.クリーズ編曲「金管アンサンブルのための組曲『ウェスト・サイド・ストーリー』」です バーンスタイン(1918‐1990)は今年生誕100周年を迎える20世紀を代表する作曲家・指揮者・教育家です 名作「ウェスト・サイド・ストーリー」は、シェイクスピアの戯曲「ロメオとジュリエット」の舞台を現代アメリカに移し変え、人種間対立などの問題を折り込んで作り上げた傑作ミュージカルです この日演奏されるのは、イギリスのトロンボーン奏者エリック・リースが編曲したものです
第1曲「プロローグ」、第2曲「何かが起こりそう」、第3曲「マンボ」、第4曲「チャチャ」、第5曲「アメリカ」、第6曲「クール」、第7曲「どこかで」の7曲が続けて演奏されます
金管楽器の学生18人と打楽器3人がスタンバイし、ドール氏の指揮で「プロローグ」の演奏から入ります これは もう ご機嫌な演奏でした 特に「マンボ」「チャチャ」「アメリカ」のメドレーは、咆哮する金管楽器、炸裂する打楽器に酔いしれました 「マンボ」のところではドゥダメル ✕ シモン・ボリバル・オケのように みんなで「マンボ」と叫んだ方がカッコよかったかな、と思いましたが、別にいいです。単なる希望です
大きな拍手にカーテンコールが繰り返されましたが、ホルンの学生が楽器をドールに渡し、自分は指揮にまわる仕草を見せました シュテファン・ドールをソリストに向かえてアンコールに応えるようです 曲が始まりましたが、どこかで聴いたことがあるような気がするのに思い出せないでいると、やっとメイン・テーマが出てきたので思い出しました
1970年代から80年代にかけて日本テレビで放映され 一世を風靡した 牛乳石鹸提供『シャボン玉ホリデー』のエンディング・シーンで、ザ・ピーナッツがこの曲を歌い出すと、ハナ肇が出てきて受けない冗談を言い、ザ・ピーナッツから肘鉄を食らうと 白い歯を剥き出しにして退場する、あの時の音楽・・・・そう「スター・ダスト」です
シュテファン・ドールがソロで「スター・ダスト」を演奏するだけで、すごくゴージャスな音楽に聴こえました