人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

シモーネ・ヤング✕木嶋真優✕新日本フィルでブルッフ「ヴァイオリン協奏曲第1番」、ブルックナー「交響曲第4番”ロマンティック”」(1874年初稿・ノヴァーク版)を聴く~まるで別の曲のよう!

2018年07月14日 07時54分21秒 | 日記

14日(土)。昨夕、新聞関係団体に勤めていた時にお世話になったロンドン在住のKさんが一時帰国中ということで、「Kさんと語る会」が内幸町の日本記者クラブ・レストランで開催されたので出席しました 昨年12月5日、今年4月16日に次いで今回が3回目となりますが、職場OBのU氏の呼びかけにより有志6人が集まりました 話はもっぱら、Kさんが日本に帰ってきてから電車の中にキャッシュカードやケータイの入ったバッグを置き忘れた顛末を中心に繰り広げられましたが、参加者一同はとても他人事ではない状況下にあります そんな事件があったこともあり、K氏はロンドンの家を売り払って出来るだけ早く日本に引き上げることを決心したようです イギリスのEUからの脱退より早くなるか遅くなるか、そんなところでしょうか あとは、日本ではトランプ大統領が困った存在だと言っているが、アメリカでそう言っているのはワシントンとかニューヨークとかエリート層が住んでいるところだけで、他の州に行くと彼は支持されている(H氏) といった国際的なテーマから、A紙の報道姿勢はおかしい、A紙が日本の世論の中心だと思ったら大間違いだ(S氏) といった国内の報道界のテーマ、この日参加したS氏が現役時代に スキーに行って障害物に衝突して入院し 上司だったKさんはじめ皆で心配したという思い出話まで、幅広い話題で2時間が過ぎ去りました 主役のKさん、呼びかけ人のUさん、紅一点のMさんはじめご参加の皆さま、お疲れ様でした

ということで、わが家に来てから今日で1381日目を迎え、トランプ米大統領は12日、金正恩朝鮮労働党委員長からの親書を公開し「とてもすてきな手紙だ。(米朝交渉は)素晴らしく進展している!」とツイッターでつぶやいた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                   ポンぺオ氏による実務的な交渉は上手くいってないようだけど 本当はどうなの?

 

     昨夕は、娘も私も外食のため夕食作りはお休みしました  

 

         

 

昨日、すみだトリフォニーホールで新日本フィルのアフタヌーン・コンサートシリーズ第16回定期演奏会を聴きました 2017-18シーズン最終公演です。プログラムは①ブルッフ「ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調作品26」、②ブルックナー「交響曲第4番変ホ長調”ロマンティック”」(1874年初稿・ノヴァーク版)です ①のヴァイオリン独奏は木嶋真優、指揮はシモーネ・ヤングです

ヴァイオリン独奏の木嶋真優は2011年ケルン国際音楽コンクールのヴァイオリン部門で優勝、2016年第1回アイザック・スターン国際ヴァイオリン・コンクールで優勝しています 使用楽器はストラディヴァリウス1700年製Ex Petriです

シモーネ・ヤングはオーストラリア・シドニー出身の女性指揮者で、ベルリン国立歌劇場でダニエル・バレンボイムのアシスタントを務め、2005年からはハンブルク国立歌劇場の芸術監督とハンブルク・フィルのチーフ音楽監督を兼任するなどのキャリアを積んで、現在世界各国のオーケストラで指揮活躍を展開し、特にワーグナーとリヒャルト・シュトラウス指揮者として国際的名声を博しています

 

     

 

オケはいつもの通り、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという編成です コンマスはチェ・ムンス氏。第2ヴァイオリンに篠原英和さんを確認。ま、松崎千鶴さんがいない お、降り番のようです。寂し~い おや、ティンパニにはOBの近藤さんの姿が見えます 会員席の1階14列26番もこの日で最後。次シーズンからサントリーホールに移ります

1曲目はブルッフ「ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調作品26」です マックス・ブルッフ(1838‐1920)はドイツ・ケルン生まれで、ほぼブラームスと同世代の作曲家です。この曲は1864~66年に作曲され、その後1868年に改訂版が完成しました 第1楽章「前奏曲:アレグロ・モデラート」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「フィナーレ:アレグロ・エネルジコ」の3楽章から成りますが、間を置くことなく続けて演奏されます

金髪ロングヘアのシモーネ・ヤングに伴われて 上が白地に赤と緑の花模様、下が白の鮮やかな衣装の木嶋真優が登場します 冒頭の序奏部分から木嶋の美しいヴァイオリンが会場を満たします 堂々たる演奏はかなり弾き込んでいる証左でしょう 独奏ヴァイオリンのないオケだけの部分では、ヤングはテンポを上げてオケを煽り立てます この辺は彼女の持ち味かもしれません。続けて演奏される第2楽章は独奏ヴァイオリンが美しいメロディーを滑らかに歌い上げます。続く第3楽章では、木嶋による喜びに満ちた溌剌とした演奏が展開します ヤング✕新日本フィルによるしっかりしたサポートと併せて清々しい演奏でした


     


プログラム後半はブルックナー「交響曲第4番変ホ長調”ロマンティック”」(1874年初稿・ノヴァーク版)です アントン・ブルックナー(1824‐96)の交響曲というと「版」「稿」の問題が付きまといます この第4番はその最たるものです 私が今まで生演奏あるいはCDで聴いてきたのは「1878/80年作曲稿(第2稿)」といわれる版によるものですが、この日演奏されるのは50歳になろうとしていたブルックナーが1874年に最初に手掛けた第4番(初稿)によるものです。記憶に間違いがなければ、私が初稿でこの曲を聴くのは今回が初めてです

この曲の副題「ロマンティック」はブルックナー本人が付けたものかどうかは分かっていませんが、「ロマンティックな夜」というような意味ではなく、「ロマン(派)的な」という意味だという解説をどこかで読んだ記憶があります 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ・クアジ・アレグレット」、第3楽章「スケルツォ:非常に速く~トリオ:同じテンポで」、第4楽章「アレグロ・モデラート」の4楽章から成ります

シモーネ・ヤングのタクトで、弦のトレモロに乗ってホルンが第1主題を奏でることから第1楽章が開始されます このホルンは相当緊張すると思われますが、クリアしました このホルンは後で大活躍しますが、ここで失敗すると先の見通しが悪くなるところです 問題はその後です。いつも聴き慣れていたメロディーとは全く異なる音楽が聴こえてきます それを聴いて「これが初稿阪か」と思いました。そうかと思うと、また聞き慣れたメロディーが聴こえてきて、ここはもともとオリジナルにあったのだな と理解します フィナーレは第2稿と比べるとあっけない終わり方です 第2楽章は冒頭が少し違和感があります。続くチェロの弾く第1主題と、その後のヴィオラによる第2主題はメロディーが美しいのですが、これらは第2稿に受け継がれている音楽です

驚いたのは第3楽章です。冒頭から最後まで普段聴き慣れた第2稿とはまったく別の曲です 冒頭のホルンの呼びかけにヴィオラが、次いでヴァイオリンが呼応し、管楽器が加わってクライマックスを築き上げるのですが、このパターンが執拗に繰り返されます その都度ブルックナーの代名詞な「ゲネラルパウゼ(全休止)」が大きな口を開けて待っています この楽章の一部分を切り取って「これ誰の曲だ?」と聞かれても私は答えられないでしょう 第4楽章も冒頭から いつも聴いている第4番ではありません。曲が盛り上がって、さあクライマックスだ と思っていると、急に静まって独り言を言っているようなフレーズが現われ、そうかと思うと、また曲が盛り上がって・・・というパターンを繰り返します   こうした不完全燃焼的なところが気に入らなくて、ブルックナーは第2稿を作ったのではないかとさえ思います   そうかと思うと フィナーレでは、これでもか と執拗にオーケストラ総動員のフォルテッシモによる音の大伽藍が築き上げられ、最後に本当のフィナーレを迎えます

今回は初めて聴く初稿版による演奏だったので、一音たりとも聴き逃すまいという 良い意味での緊張感が持続して 私にとっては良かったと思います 初稿版を聴いた印象は、磨き上げる直前のダイヤモンドのような音楽とでも言えるでしょうか シモーネ・ヤング✕新日本フィルは 総力を挙げて原石をダイヤモンドに磨き上げるような 細心にしてダイナミックな演奏を繰り広げました

コンサート終了後、錦糸町駅に向かう途中、「ブルックナーの第1楽章は変だったよな 家に帰ってからCDで確かめてみるけど、あんな曲じゃないよ」という男性の声が聞こえて来ました。「変なのはあなたです」と言いそうになりましたが、グッと押さえました。「それを言うなら全楽章が変だった」と言うべきでしょう プログラム・ノートに書かれた「1874年初稿・ノヴァーク版」を見落として聴いていた証拠です

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