13日(水)。報道によると、民主党のペロシ下院議長は、トランプ大統領に対する弾劾動議に関して「(発議が)やむを得なかったり、超党派の賛成が得られたりする理由がない限り、その道を歩むべきではない。弾劾は国を分断するものだ」と指摘したとのこと 最後のセリフが振るっています。「トランプ氏は単純に弾劾に値しない」。この時点でトランプはニクソンに負けた、かな
昨日の夕食は豆乳鍋にしました 緑色の野菜は豆苗(とうみょう:エンドウ豆の若菜)です。ビタミンが豊富で健康に良いです
昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、ビゼー「カルメン」を観ました これは今年2月2日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です
キャストは、カルメン=クレモンティーヌ・マルゲーヌ、ドン・ホセ=ロベルト・アラーニャ、ミカエラ=アレクサンドラ・クルジャック、エスカミーリョ=アレクサンダー・ヴィノグラドフ。管弦楽・合唱=メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団、演出=リチャード・エア、指揮=ルイ・ラングレです
オペラ「カルメン」はフランスの作曲家ジョルジュ・ビゼー(1838-1875)が、P.メリメの同名小説をオペラ化したもので、ビゼー最晩年(といっても36歳)の1875年3月3日にパリのオペラ・コミック座で初演されました その当時「人殺しをするような悪い兵士と タバコ工場の女工の恋」はオペラの舞台にそぐわないという風潮があり、初演は「下品でふしだら」と不評をかったようです
今ではとても考えられませんね
現在シンシナティ交響楽団の音楽監督を務めるフランス出身のルイ・ラングレの指揮で勇ましい序曲が開始されます これほど人の気持ちを高揚させる序曲も珍しいでしょう
序曲の後、ミステリアスな音楽に合わせて男女のペアによるバレエが踊られますが、これが天下一品です
このペアによるバレエは第3幕の冒頭でも踊られます
第1幕冒頭ではタバコ工場から女工たちが一様にタバコを手にして出てきます タバコからは煙が出ていないので演技のための小道具だとすぐに判断できますが、これが もし煙が出ていて女工たちが本当に吸ったらどうでしょうか?「禁煙・嫌煙」が当たり前の現代では、「あの演出はけしからん
」と非難するお堅い人もいるかも知れませんね
カルメンを歌ったクレモンティーヌ・マルゲーヌは1984年生まれの若手メゾ・ソプラノですが、「ハバネラ」「セギディーリャ」をはじめとして陰影に富んだ深みのある声と迫真の演技力で聴衆を魅了しました ただ、第2幕のリリアス・パスティアの酒場でカルメンがジプシーの歌「にぎやかな楽の調べ」を歌って踊るシーンでは、これまで観たどの演出でもカルメンはカスタネットを鳴らしながら歌い踊っていましたが、マルゲーヌはカスタネットを持ちませんでした
実際問題として歌って踊るだけで精一杯なのかも知れません
ドン・ホセを歌ったロベルト・アラーニャはMETを代表するスター・テノールです 最近のMETライブではサン=サーンス「サムソンとデリラ」にエリーナ・ガランチャとともに出演し、熱唱を聴かせてくれたのが記憶に新しいところです
彼の一番良い点は、あらゆる役柄に体当たりで取り組むことです
今回のドン・ホセでも その本気度が観る側に伝わってきました
ミカエラを歌ったアレクサンドラ・クルジャックは1977年ポーランド生まれのリリック・ソプラノですが、母親からの伝言をホセに伝えるアリアを聴いていたら思わず涙が出てきてしまいました 幕間のインタビューで、「今回のカルメンとの勝負は私の勝ちよ
だって舞台が終わったら愛する夫を家に連れて帰るんですから
」と語っていましたが、それもそのはず、ドン・ホセ役のアラーニャは彼女の実生活上の夫なのですから
スカミーリョを歌ったアレクサンダー・ヴィノグラドフは1976年モスクワ生まれのバスですが、品位のある美しい低音と映える舞台姿で聴衆を魅了しました
ルイ・ラングレ指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団は歌手に寄り添い、間奏曲では美しい音楽を奏でました
メトロポリタン歌劇場合唱団と、MET児童合唱団の合唱は活力があり とても魅力的でした
リチャード・エアの演出でMETライブ「カルメン」を観るのは2009年(カルメン=エリーナ・ガランチャ)、2014年(カルメン=アニータ・ラチヴェリシュヴィリ)に次いで今回が3度目ですが、今回初めて第4幕のラスト・シーンで「おやっ」と思いました。ドン・ホセが「お前の言うことなら何でもやるから、俺を捨てないでくれ」とすがると、カルメンは以前ホセからもらった指環を投げ捨てます
それを見たホセは逆上しカルメンをナイフで刺します。そして「俺を逮捕してくれ。俺が殺したんだ。カルメン
大好きなカルメン
」と叫んで幕が降ります
このラスト・シーンでカルメンが息を引き取る間際に、ホセはカルメンが捨てた指環を拾ってカルメンの指にはめるのです
この演出は過去の2回の公演の時には気が付きませんでした
あるいは、今回 演出を変更したのかも知れません
オペラの台本にはありませんが、この後、ホセはカルメンを刺したナイフで自害するはずです。なぜなら、第3幕でカルメンがカード占いをしたとき、「ダイヤ、スペード。死よ まず私が死んで、次は彼が死ぬんだわ
」と叫んでいたからです
占いが当たり、まずカルメンが死にます
当然、次はホセの番です。ホセが死ぬ間際のカルメンに指環をはめる演出は「あの世でいっしょになろう」というホセの想いが込められていたのではないか、と推測します