人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

東京春祭「名手たちによる室内楽の極」を聴く ~ モーツアルト「ピアノ四重奏曲第1番」、R・シュトラウス「ピアノ四重奏曲」他 / シカゴ響ストライキ / ドゥダメルのインタビュー

2019年03月27日 00時04分21秒 | 日記

27日(水)。昨日の日経朝刊 社会面に「名門シカゴ響 スト 2週間」という記事が載っていました。超訳すると

「シカゴ交響楽団で労使交渉が決裂し、楽団員が10日の公演後から2週間にわたりストライキを実施している 24日の段階でも再開のめどは立たず、長期化する可能性がある。音楽監督を務めるムーティ氏も連帯する姿勢を表明、指揮者バレンボイム氏や民主党のペロシ下院議長らも楽団員への支持を表明している 楽団関係者によると、争点の中心は年金システムの変更で、給与アップなども示したが組合は拒否。提示された給与も『他の楽団より水準が低い』と反発している

この記事を読んで真っ先に思い出したのは2011年のフィラデルフィア管弦楽団の倒産です 幸い2012年には世界初の民事更生法の更生手続きを経て、ヤニック・ネゼ=セガン新音楽監督のもとで復活しましたが、まだまだ労働条件は厳しいのではないかと推測します

オーケストラの楽団員も給与で生活する労働者ですから、労働条件が悪化するような提案が為されれば当然拒否するでしょう アメリカのオーケストラは、日本と違って企業や個人からの寄付金収入が大きな割合を占めていると聞いていますが、それを増やすにも限度があるでしょう 楽団員は無料コンサートでファンらに理解を訴えているそうですが、無料では収入ゼロです  経営を安定させるには収入を増やすか経費を削るかしかありませんが、楽団経営者側の”経営努力”はどうなっているのでしょうか いずれにしても、経営者側には楽団員が安心して演奏できる環境を整えてほしいと思います そのことが引いては、よい演奏に繋がると思うので

 

         

 

昨日、夕食に「鶏のトマト煮」を作りました 娘のリクエストです。もう何度も作ったのでコツはつかめました

 

     

 

          

 

昨日の朝日朝刊 文化・文芸欄に指揮者ドゥダメルのインタビュー記事が載っていました。前半部分を超訳すると

「ベネズエラ生まれの指揮者グスターボ・ドゥダメル(38)が今月下旬、音楽・芸術監督を務める米ロサンゼルス・フィルハーモニックと共に来日した 記者会見と朝日新聞の単独インタビューで、経済危機と政情不安で世界の耳目を集める母国への思いを語った。ドゥダメルは子供に楽器を貸与して音楽を教えることで協調性を養い、社会変革を目指すベネズエラ発祥のプロジェクト『エル・システマ』の申し子だ ベルリン・フィル、ウィーン・フィルへの客演など国際舞台で活躍する一方、エル・システマ出身者でつくるシモン・ボリバル交響楽団の音楽監督として、指導を続けてきた しかし2017年、混乱が続くマドゥロ政権を批判したことで、シモン・ボリバル響の米国ツアーは中止された。自身は2年半前から国に帰れずにいる 『自分の思ったことを言えないのは民主主義ではないですよね。この状況が変わることを心底願っている』と語る 現在はスカイプなどを使って母国と連絡を保っている。『エル・システマは生きている。我々は大きな一つのファミリーであり、関係は変わらない。危機は必ず通り過ぎる。そのときに音楽は人々の傷を癒やすと信じている。音楽は人々を一つにまとめてくれる。トンネルの先の光は近いと確信している 私たちは望みを、夢をなくすことは絶対にない』と語る」

この記事を読んで初めて、ドゥダメルが2年半前から母国ベネズエラに帰れないということを知りました これまで日本の新聞やテレビはこのことを報道してきただろうか

 

         

 

昨夕、東京文化会館小ホールで「東京・春・音楽祭2019」の「名手たちによる室内楽の極」公演を聴きました プログラムは①モーツアルト「ピアノ四重奏曲第1番ト短調K.478」、②ベートーヴェン「弦楽三重奏曲第4番ハ短調作品9-3」、③リヒャルト・シュトラウス「ピアノ四重奏曲は短調作品13」です 演奏は ヴァイオリン=長原幸太(読響コンマス)、ヴィオラ=鈴木康浩(読響ソロ・ヴィオラ)、チェロ=上森祥平、ピアノ=津田裕也です

 

     

 

 自席はG列右サイド通路側です。会場は6~7割くらい入っているでしょうか

曲目はモーツアルト「ピアノ四重奏曲第1番ト短調K.478」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1785年(29歳)に作曲した作品です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「ロンド:アレグロ・モデラート」の3楽章から成ります

4人が登場し配置に着きます。読響コンビの長原&鈴木が両サイドにいると何故か嬉しくなります 第1楽章はモーツアルトのト短調特有のデモーニッシュな雰囲気が良く出た演奏です 第2楽章の調和に満ちた演奏を経て、第3楽章は愉悦感に満ちたモーツアルトらしい音楽が展開します 読響の二人と新日フィルでよく首席客員奏者を務めていた上森氏の実力は十分理解しているつもりですが、予想以上に良かったのが津田裕也氏のピアノでした 3人の弦楽奏者との相性は抜群でした

曲目はベートーヴェン「弦楽三重奏曲第4番ハ短調作品9-3」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1797年から98年にかけて作曲した3つの「弦楽三重奏曲作品9」の一つです 第1楽章「アレグロ・スピリト」、第2楽章「アダージョ・コン・エスプレッシーヴォ」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「フィナーレ:プレスト」の4楽章から成ります

この曲は、モーツアルトが「ピアノ四重奏曲第1番」を作曲したのとほぼ同じ20代の終わりに作曲されましたが、演奏を聴く限り、まったく曲想が異なります これは当たり前のことですが、同じ短調の曲でもこうも違うのかと思うほどほどです ハ短調は彼の第5交響曲(運命)と同じ調性です。弦楽だけの三重奏にかけるベートーヴェンの意気込みが感じられる意欲的な演奏でした


     

     

プログラム後半はリヒャルト・シュトラウス「ピアノ四重奏曲は短調作品13」です この曲はR.シュトラウス(1864‐1949)が1884年に作曲、翌85年に初演され、マイニンゲン公ゲオルク2世に献呈されました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「スケルツォ」、第3楽章「アンダンテ」、第4楽章「フィナーレ」の4楽章から成ります

4人の演奏で第1楽章に入りますが、この楽章における演奏をひと言でいえば「ほとばしる情熱  ロマンの香り高き演奏」です 4人は弱冠20歳のシュトラウスの瑞々しい作品を情念を込めて演奏しました 第2楽章を聴いていて面白いな、と思ったのはフィナーレです シュトラウスの最高傑作「ばらの騎士」のラストで、小姓がゾフィーの落としたハンカチを拾って小走りに退場する時の音楽にそっくりです 第3楽章では弦の3人が良く歌っていました(と言っても、カラオケではありません。悪しからず)。第4楽章は再び情念のこもった演奏が展開します。あらためて思うのはシュトラウスの音楽はどこまでも”饒舌”だということです それはこの曲に限らず、交響詩やコンチェルト、そしてオペラにも共通しています

この曲はフォーレ四重奏団のCDが見つからないので予習が出来なかったのですが、ぶっつけ本番で聴いても十分楽しむことが出来ました 4人はアンコールにリヒャルト・シュトラウスの「アラビアの踊り」(1893年作曲)を超高速で演奏し、熱狂的な拍手を浴びました

この日の4人の演奏は、アンコールを含めてタイトルの「名手たちによる室内楽の極」に恥じない素晴らしいパフォーマンスでした

 

     

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