12日(火)。昨日 東日本大震災からちょうど満8年を迎えました あの日あの瞬間は内幸町のNPCビル8階の事務所で仕事をしている時でした。あれほど大きな縦と横の揺れを感じたのは生まれて初めてでした 急いで会議室のテレビを観ると大津波が畑をなめ尽くすように侵攻していく様子が映し出されていて、これは現実なのか?と、とても信じられない思いがしました 幸い私は都営地下鉄が夜中に復旧したので自宅に戻れましたが、マンションのエレベーターは止まっており、9階まで外の非常階段を上がりました 家に入ると台所は戸棚から落ちて割れたお皿やカップが床を占拠していました 居間のCDラックの上段からは数枚のCDが床に落ちて角が割れていましたが、幸いそこに人がいなかったのでけが人は出ませんでした 地震の時、わが家では食器類とともにCDが凶器になることを自覚しました
娘のひと言「ああ、唐揚げが食べたい」で、3年ぶりに鶏の唐揚げを作りました 本当は3年前に作った栗原はるみ先生のレシピで作りたかったのですが、そのレシピが探しても見つからず、同じ栗原先生の唐揚げのレシピを発見したものの内容がまったくあっけない簡単な内容だったので、COOKPADから詳しく手順が書いてあるレシピを選んで作りました 結論から言うと、見た通りの大失敗でした 何としても3年前に参考にした栗原先生のレシピを探し出して いつかリベンジします
ピエール・ルメートル著「炎の色(上・下)」(ハヤカワ文庫)を読み終わりました ピエール・ルメートルは1951年パリ生まれの作家・脚本家。2006年にカミーユ・ヴェル―ヴェン警部シリーズの第1作となる「悲しみのイレーヌ」でデビュー、2011年にシリーズ第2作として発表した「その女アレックス」は、英国推理作家協会賞(CWA)インターナショナル・ダガ-賞を受賞しました また、2013年に発表した初の文芸作品「天国でまた会おう」は、フランスで最も権威ある文学賞であるゴンクール賞およびCWA賞インターナショナル・ダガ-賞を受賞しました 2018年に発表された本作は「天国でまた会おう」三部作の第2巻に当たります
舞台は1927年2月のパリ。大実業家マルセル・ぺリクールの葬儀が粛々と進められていた。しかし、出棺の時、思いもかけない悲劇が起きる 故人マルセルの娘マドレーヌの息子ポール(7歳)が3階の窓から落ちて大けがを負ったのだ マドレーヌは亡父の地位と遺産を相続したものの、身体不自由な息子の看護に追われる日々を送ることになる しかし、その間にマドレーヌの叔父シャルル・ぺリクールやペリクール銀行の上級管理職員ギュスターヴ・ジョベールらによって彼女を陥れる陰謀が着々と進められていた その結果、マドレーヌは父親から受け継いだ遺産も邸宅も失い、小さなアパートで慎ましい生活を送らざるを得なくなってしまう また、彼女はポールの口から、3階の窓から落ちたのは当時の家庭教師アンドレ・デクルール(後にジャーナリスト)による折檻が原因だったことを聞きだす
彼女を裏切った者たちはそれぞれ成功への道を歩んでいた。マドレーヌは彼らに復讐することを決意する そして、マドレーヌの元夫アンリ・ドルネー・ブラデル(故人)の部下だったデュプレ(錠前製造工場の職工長)を味方に引き入れ、一人ひとり巧妙な罠を仕掛けて栄華の地位から引きずり下ろし復讐を遂げていく
この小説は、前作「天国でまた会おう」の主人公の一人だったエドゥアールの姉マドレーヌを主人公として描いた波乱万丈の復讐物語ですが、まさに読む手が止まりません
「天国でまた会おう」を読んだ時に思ったのですが、ピエール・ルメートルは相当クラシックが好きらしいということです ポールの面倒を看る看護師ヴラディがオペラ好きだということもあり、ポールは大のオペラ・ファンになります マドレーヌが買い与えた蓄音機から流れるオペラ「セビリアの理髪師」「後宮からの誘拐」「フィデリオ」「蝶々夫人」「カルメン」「ノルマ」「夢遊病の女」,「ランメルモールのルチア」「トスカ」「ロメオとジュリエット」「ファウスト」、そしてオペレッタ「メリー・ウィドウ」「微笑みの国」「パリの喜び」などを次々と聴いていきます ポールはオペラ歌手ソランジュ・ガリナートの大ファンになり彼女にファンレターを書きますが、そこから二人の文通が始まり、彼女からコンサートへの招待状が届くようになります ポールはマドレーヌと、あるいはヴラディに付き添ってもらいコンサートに出かけることになります
このソランジュ・ガリナートというオペラ歌手が誰をモデルにしているのかまったく見当もつきませんが、名前からしてフランスの歌手なのでしょう
なお、三部作の完結篇となる次作では、フランス軍の敗退とドイツ軍のフランス侵攻、ナチス占領下へと至る1940年代が描かれ、「天国でまた会おう」でエドゥアールの仮面造りを手伝った少女ルイーズが主人公になるとのことです 待ち遠しいです。その前に「天国でまた会おう」の映画を観なければ、と思います