18日(水)。わが家に来てから今日で3627日目を迎え、米ホワイトハウスのカービー大統領補佐官は16日、ロシアによるウクライナ侵略に参加する北朝鮮兵について「かなりの犠牲者が出ている」と述べ、後方任務を担ってきた北朝鮮兵に関し「最前線への移動が今まさに始まった」との見方を示した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
「ウクライナ戦で戦死するか 北朝鮮で餓死するか 選ぶ権利があります」金正恩より
昨日、夕食に大学時代の友人S君が贈ってくれた「鯖を塩焼き」にして、「生野菜とモッツァレラチーズのサラダ」とともに食べました 鯖は新鮮で美味しかったです
エド・マクベイン著「キングの身代金」(堂場瞬一 新訳版:ハヤカワ・ミステリ文庫)を読み終わりました エド・マクベインは1926年ニューヨーク生まれ。架空の街アイソラ市を舞台に87分署のキャレラ刑事らが活躍する「87分署シリーズ」のほか、本名エヴェン・ハンター名義の「暴力教室」など傑作を数多く発表した。1986年にアメリカ探偵作家クラブ賞巨匠賞を、1998年にイギリス推理作家協会賞ダイヤモンド・ダガ―賞を受賞。2005年没
製靴会社のたたき上げの重役ダグラス・キングは、社長の座をめぐって他の重役たちと対立している 重役たちは自分らの持ち株とキングの持ち株を合わせれば老社長を追い出せるとみて、キングを抱き込もうとするが、キング自身も密かに株を買い集めるために資金をかき集め、買い付け金を準備し、会社乗っ取りの一歩手前のところまできた そのとき、彼のお抱え運転手レイノルズの息子ジェフが誘拐される 誘拐犯は運転手の息子をキングの息子ボビーと間違えて誘拐したのだが、犯人はキングに身代金を払えと要求してくる 身代金を払う金はある。しかし、払ってしまえば株の買い占めは出来なくなり、権力闘争で敗北する キングは妻ダイアンや運転手らからジェフの命を助けるため身代金を払うよう懇願され、逡巡する スティーブ・キャレラら87分署の刑事たちは、電話の逆探知などにより犯人を追求する
本作は「警察小説の金字塔」と呼ばれる傑作ですが、本書を原作として黒澤明監督が「天国と地獄」(1963年)を製作したのはあまりにも有名な話です 原作と映画の共通点は①主人公が製靴会社の重役である(しかも名前が「キング」に対し「権藤金吾(キンゴ」)、身代金の引き渡しが移動中の交通機関でなされること(原作「走っている自家用車から投げ捨てる」と映画「走っている特急列車のトイレの窓から投げ捨てる」)といった点です
ミステリ評論家直井明氏が巻末の「『キングの身代金』余談」で次のように書いています
「マクベインの作品はいくつも映画化されているが、彼が気に入った唯一の作品が黒澤明監督の『天国と地獄』だった 彼は『クロサワが作ったのは彼自身の作品であり、”キングの身代金”から人違いの誘拐というアイデアだけを使って、彼自身のプロットを展開して素晴らしい映画を作った』と語っている」
本書の物語の背景には「格差社会」が横たわっています 製靴会社の重役(上流階級)と最下層の犯人の社会・経済的落差です 犯人は貧困から手軽に脱出するための手段として”金持ちの家の子供の誘拐”を思いつくわけです。黒沢映画の素晴らしいのは、金持ちの権藤家を高い丘の上に設定し、犯人がみすぼらしいアパートの一室から見上げるシーンを映し出したところです
333ページの大作ですが、面白さに読む手が止まりませんでした ラストを読んで、首謀者にも五分の魂があったか、とほっこりしました ミステリーファンに限らず 広くお薦めします