人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

R.シュトラウス「英雄の生涯」を聴く~ダニエル・ハーディング指揮新日本フィル

2012年07月08日 07時44分46秒 | 日記

8日(日)。昨日の朝日夕刊に「ミャンマー 音楽も解放 国立交響楽団 今月復活公演」という記事が載りました 記事によると,

「軍事政権の権力争いから,対外活動の休止に追い込まれていたミャンマー国立交響楽団が今月,復活公演を計画している 指導するのは,日本人指揮者の福村芳一さん(66).民主化の風が吹く中,”名実ともに国を代表するオーケストラに育てたい”と意気込む 交響楽団の設立は2001年9月.軍政の実力者,キンニュン第1書記が発案・主導し,演奏会などを開いてきた だが3年後にキンニュン氏が失脚し,自宅軟禁されて以来,公的活動はできなくなった しかし,今年1月,政治犯の多数釈放に合わせ,キンニュン氏の軟禁も解除された 幻のオーケスオラ復活に向け,福村さんに白羽の矢が立った.彼は80年代後半からはアジアやラテンアメリカに活動を広げ,上海やハノイ,ハバナなどで交響楽団の再建や育成指導にあたってきた.公演当日はベートーヴェン”プロメテウスの創造物”など6曲を演奏する

コンサートで6曲を演奏するということは,まず間違いなく交響曲や協奏曲は演奏しないということです管弦楽曲などの名曲の中から1曲10分~15分位の曲を6曲選ぶのでしょう 福村さんには頑張っていただきたいと思います.考えられるのは演奏者と楽器が揃っていないのではないか,ということですミャンマーといえばアウンサンスーチーさんの国.”経済大国ニッポン”としては,不要な楽器があれば提供するなど支援がほしいところです.日本だって戦後しばらくは諸外国から様々な支援を受けてきたのですから

 

  閑話休題  

 

昨日、すみだトリフォニーホールで新日本フィルの第497回定期演奏会を聴きました プログラムは①シューベルト「交響曲第7番」、②R.シュトラウス「英雄の生涯」の2曲。指揮はダニエル・ハーディング、コンサートマスターは崔文珠です

舞台を見るとチェロとコントラバスが向かって左側に,第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが左右に分かれて配置されています.これはハーディングがいつも取る「対向配置」です 第2ヴァイオリンが前面に出てきたため,いつもは奥の方でスタンバイしている篠原英和さんが,客席側の目立つ位置でにこやかにほほ笑んでいます.コンサートマスターの崔さんはいつものように椅子の位置を高く設定して中腰に近い形でスタンバイします

1曲目のシューベルト「交響曲第7番ロ短調”未完成”」は,第1楽章「アレグロ・モデラート」と第2楽章「アンダンテ・コン・モート」が約1か月半で作曲され,第3楽章の総譜の2ページ目の途中で絶筆になっています 私は,この曲を聴くたびに,第4楽章まで完成しなくてよかったと思います.天国的な世界です

ハーディングが登場し,タクトで低弦に指示を出します.海の底からメロディーが浮き上がってくるような感じです.クラリネットの重松希巳江さんとオーボエの古部賢一さんが冴えています

休憩後,最初にファゴットの河村幹子さんが一人だけ舞台に登場しあて音を出し始めました しばらくしてから,他のメンバーが登場しました.あの時河村さんが吹いていたメロディーは確か・・・・・思い出せません.アイ・ハブ・ファゴットン

R.シュトラウス「交響詩:英雄の生涯」は,この作曲家の”誇大妄想”と”自虐的なパロディー”に彩られた自画自賛の大曲です

全体の構成は,第1部「英雄」で英雄のテーマが登場,第2部「英雄の敵」で,作曲家に対する批評家の悪口が描かれ,第3部「英雄の伴侶」で,実の妻パウリーネのテーマがヴァイオリン独奏で現われ,第4部「英雄の戦場」で戦争の音楽が展開,第5部「英雄の業績」では交響詩”死と変容”,”ドン・キホーテ”,”ドン・ファン”,”ツァラトゥストラはかく語りき”などのテーマが登場,第6部「英雄の引退と成就」では一人の英雄の人生が平穏のうちに終わります.これら6部は連続した構成になっています R.シュトラウスにかかっては,音楽に出来ないものなど一つもないに違いありません

この交響詩は”誇大妄想”的な曲想に相応しく大管弦楽で演奏されますが,ハーディングのタクトのもと,新日本フィルのメンバーは最大限の力を出して大作曲家の一大叙事詩を描いていました この曲は全体を通してヴァイオリンの独奏が活躍しますが,コンサートマスターの崔さんは見事にハーディングの期待に応え,美しいメロディーを奏でていました ハーディングは何度も舞台に呼び戻され,崔さんと握手,拍手とブラボーに応えていました

 

           

 

ところで,R.シュトラウスの「英雄の生涯」といえば,カラヤン指揮ベルリン・フィルのLPレコードの新譜が出た時,「レコード芸術」誌に”これはカラヤン自身の英雄の生涯ではないか”という批評が出たのを覚えています グラモフォンのレコード・ジャケットを飾ったカラヤンは,黒のレザー・ジャケットに身を包まれ,まるでカー・レーサーのように颯爽としていて”英雄”そのものでした

 

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