29日(火)。わが家に来てから今日で3150日目を迎え、2024年米大統領選で返り咲きを狙う共和党のトランプ前大統領の陣営が、被告人として撮影された前大統領の「マグショット」(逮捕時などの顔写真)をプリントしたTシャツなどのグッズ販売を始めた24日以降の数日で710万ドル(約10億4千万円)の資金を調達したことが分かった というニュースを見て感想を述べるモコタロです
被告人トランプに相応しい支持者が争うように買ったんだろう アメリカは狂ってる
昨日、夕食に「豚肉スタミナ焼き鳥風」「生野菜サラダ」「冷奴」「大根の味噌汁」を作りました 「豚肉~」は肉に塩コショウしてニンニクの刻みを乗せて紫蘇と一緒に巻いています
昨日、東銀座の東劇で「METライブビューイング アンコール2023」のうちモーツアルト「皇帝ティートの慈悲」を観ました これは2012年12月1日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です 出演は ティート=ジュゼッペ・フィリアノーティ、セスト=エリーナ・ガランチャ、ヴィッテリア=バルバラ・フリットリ、アンニオ=ケイト・リンジー、セルヴィリア=ルーシー・クロウ、プブリオ=オレン・グラドゥス。管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団、合唱=メトロポリタン歌劇場合唱団、指揮=ハリー・ビケット、演出=ジャン=ピエール・ポネルです
「皇帝ティートの慈悲」はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が最晩年の1791年に作曲、同年プラハ国民劇場で初演されたオペラ・セリア(正歌劇)です
当時、モーツアルトは「魔笛」「レクイエム」「皇帝ティートの慈悲」と、3つの大作を同時並行して請け負っていました モーツアルトの手紙などから、最晩年のこの年は生活に困窮していたことが分かっていますが、貧困から脱出すべく3つの大きな仕事を一辺に引き受けていたのでしょうか モーツアルトはこの年の12月5日に息を引き取りましたが、病気説や毒殺説などいろいろと推測されているなかで、この仕事量からいったら”労働基準法違反”の労働過剰による過労死ではないか、とさえ思ってしまいます
さて、本作は神聖ローマ皇帝レオポルト2世が、ボヘミア王としての戴冠式で上演するために発注されたもので、自身の暗殺を企てた者たちに恩赦を与える君主の慈悲深さを扱った物語は、内容として祝典に相応しいものでした
物語の舞台は紀元1世紀に実在した皇帝ティート治世下のローマ。先代皇帝の娘ヴィッテリアは、現皇帝の妃となることを望んでいた ティートが別の王女を妃に迎えることを知った彼女は、彼の忠臣で、自分に思いを寄せるセストに皇帝暗殺を命じる しかしこの結婚は中止となり、次にティートはセストの妹セルヴィリアと結婚することを発表する ところが彼女にはアンニオという許婚がいたため、皇帝はこの結婚も取りやめる しかし、この経緯を知らないヴィッテリアは、再びセストに皇帝暗殺を命じる その後、彼女は自身が妃に選ばれたことを知り、暗殺を撤回するが、時すでに遅く、宮殿にはセストにより火が放たれていた(以上第1幕)。
ティートが無事だったことを聞いたセストは、ローマを去ろうとする しかし、彼は親衛隊長プブリオに逮捕されてしまう ティートは事情を聞き出そうとするが、セストはヴィッテリアを庇って罪を被る アン二オとセルヴィリアは、セストの助命をティートに嘆願するようヴィッテリアに哀訴する。彼女は迷った挙句 良心の呵責から、自分こそ首謀者であると名乗り出る ティートは驚くが 慈悲深くすべてを赦し、一同は皇帝を讃美する(以上第2幕)
タイトルこそ「皇帝ティートの慈悲」で ティートが主人公ですが、物語の本筋を考えると本当の主役はセストです ズボン役(女性が男性を演じる)のセストを歌っているのはラトヴィアの首都リーガ生まれのメゾソプラノ、エリーナ・ガランチャです リーガの音楽院在学中からキャリアを開始し、METには2008年に「セヴィリアの理髪師」ロジーナ役を歌ってデビュー 翌2009年に「カルメン」のタイトルロールを歌って絶賛されました 本作では、愛するヴィッテリアに神殿への放火とティートの殺害を促され、勇気を奮い立たせてセストが歌う第1幕のアリア「私は行く、でも愛しいあなたよ」は、迫真の演技力とともに感動を呼び起こしました また、第2幕で ヴィッテリアを庇い、すべての罪を被ることを決意したセストが歌う「ああ、この時だけでも」には、セストの辛い心情が伝わり、思わず感情移入してしまいました ガランチャは 何と表現力が豊かなのでしょうか ガランチャはスーザン・グラハムによる幕間のインタビューで「娘さんを出産なさったばかりだそうですね 大変だったでしょう」と言われ、「睡眠不足です」と語っていました。女性の歌手は大変だと思います 11年後の現在、その娘さんは今頃は小学生のはずです 将来どういう道を歩むのでしょうね
ヴィッテリアを歌ったバルバラ・フリットリはイタリアのミラノ生まれのソプラノです いつもはビゼー「カルメン」のミカエラとか、ラ・ボエームのミミとか、真面目な役柄が多い歌手です 本公演では人の愛情を利用して自分だけが良い思いをしようとする”悪役”を歌い演じましたが、少しコミカルな演技も含めて魅力的に歌い 演じました
ティートを歌ったジュゼッペ・フィリアノーティはイタリア生まれのテノールです アルフレード・クラウスに師事し、1998年のデビュー以降、欧州の歌劇場で活躍しています 皇帝に相応しい堂々たる歌唱で聴衆を魅了しました
アンニオを歌ったケイト・リンジーは米国リッチモンド出身のメゾソプラノです 個人的にはオッフェンバック「ホフマン物語」のニクラウス役が強く印象に残っています 本作では、ズボン役のアン二オ役を演じましたが、第2幕でセストの助命をティートに嘆願するようヴィッテリアに哀訴するアリアを、迫真の演技とともに歌い上げました
特筆すべきは、ピリオド奏法でメリハリの効いた演奏を繰り広げたハリー・ビケット指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団です
また、ジャン=ピエール・ポネルの演出は極めてオーソドックスなもので、余計な演出がなく好感が持てました
METライブ「皇帝ティートの慈愛」の上映時間は、歌手へのインタビューや休憩時間等を含めて約3時間10分です 今後の上映予定は、9月2日(土)15:00、同7日(木)14:40、同21日(木)10:30です アンコール上演なのでそれほど混んでいません
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます