久々に姫川玲子が活躍～誉田哲也著「インビジブルレイン」を読む

１３日（月）．今朝6時に起きて何気にテレビを付けたらオリンピックの閉会式を中継していました．日本は過去最高の38個のメダルを獲得したとのことですが，あれほど大騒ぎしていたロンドン・オリンピックももう終わりです．速いものですね　閉会式ではビートルズを生んだ国らしく，さかんにロック音楽が流れていました．金・銀・銅メダルをたくさん取った国には”ヘビー・メダル”に聴こえたかもしれません

 

　　閑話休題　　

 

昨日の日経朝刊サイエンス面に「トリドリの思惑　仲間の目意識し利他行動」という興味深い記事が載りました

自由気ままに空を飛ぶように見える鳥たちですが，最近の研究によると，仲間の目を気に掛け，相手の気持ちに敏感な一面があることが分かってきた，ということです

関東各地から集めた若いオスとメスのカラス合計１０羽の群れを観察すると，群れのボスであるオスが地位の低いオスに毛繕いしている様子が見られるといいます　研究員によると「メス達の目を意識しているらしい」ということです．メスにもてるため，仲間をいたわる自分の姿を見せて優しさをアピールしている，ということなのです　CROW（カラス）にも苦労が多いようですね

「カラスの夫婦は１５～２５年の一生を同じ相手と過ごす．メスは慎重に相手を見定める．餌を多くとれる強いオスにはあこがれるが，暴れん坊では困る．優しさが女心をくすぐる」とのこと．カラスが同じ相手とそれほど長期間一緒に過ごすとはました．

「ほかの鳥の巣に自分の卵を産み付けて子育てを押し付けるカッコウ　泣き寝入りはしないと卵からかえったカッコウのひなを巣から追い出すムシクイ」というバトルもあるようです．ムシクイの巣を格好の棲家と目を付けたカッコウですが，ムシクイからは無視・悔いの対象にされたようですね　人間の世界の生存競争は大変ですが，鳥の世界も大変そうですね　同じ大変なら，今度生まれ変わっても人間になりたい，ということにしておこう

 

 　　も一度，閑話休題　　

 

誉田哲也著「インビジブルレイン」（光文社文庫）を読み終わりました　著者の誉田哲也は1969年，東京生まれ．「ストロベリーナイト」が竹内結子主演で映画化されて話題になりました　この人の作品は文庫本になるたびに読んでいます

警視庁刑事部捜査第1課殺人犯捜査第十係主任・姫川玲子が活躍する犯罪捜査シリーズです

チンピラが惨殺され，「犯人は柳井健斗」というタレコミが入ります　ところが，上層部から「捜査線上に柳井健斗の名前が浮かんでも，決して追及してはならない」という命令が下されます．そこには9年前に起こったある事件が絡んでいたのです

柳井健斗は9年前に姉を殺され，父親が犯人扱いを苦に警官の拳銃を奪って自殺した事件の被害者遺族だったのです　そのタレコミが本当なら，柳井は9年前の事件の復讐をするため犯人を突き止め，犯行に及んだ可能性が高いということが分かります

表だって捜査できない姫川は，仲間の支持を得ながら真犯人を追及していきます　思わぬところから姫川は暴力団幹部・牧田と接触したことから，恋心を抱くようになります　これまでの”姫川シリーズ”で初の展開です　雨の中を二人で走るシーンがありますが，それがこの作品のタイトル「インビジブルレイン」になったようです．あくまでも”目に見えない雨”ですが．女刑事といえども恋のあるでしょう　最後は切ない展開で終わりますが，まあ仕方ないでしょう