人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

牧野知弘著「だから、日本の不動産は値上がりする」を読む~田町ー品川間に新駅が

2013年10月11日 07時00分31秒 | 日記

11日(金)。牧野知弘著「だから、日本の不動産は値上がりする」(祥伝社新書)を読み終わりました 本の帯に「日本経済が上向くとき、必ず不動産が動く!」とあります。私は不動産管理会社に勤めている関係で、この種の本を読むことがままあります

著者の牧野知弘さんは1959年生まれ、ボストンコンサルティンググループを経て、三井不動産に勤務し、2006年にJ-REIT(不動産投資信託)の日本コマーシャル投資法人を上場しました。現在はオラガHSC株式会社代表取締役としてホテルや不動産のアダバイザリーを務めています

「かつて不動産は、読んで字の如く『動かすことのできない資産』だった。だが、証券化の手法が導入され、JーREITの普及とともに、バーチャル化、流動化が進みつつある。資産の少ない個人も不動産の一部所有が可能になったことのインパクトは大きい 経済が拡大するとき、日本はまず不動産が動く

アベノミクス効果で経済は上向きにベクトルが向かいつつあると言われています その一方で、来年4月からの消費税の税率アップが消費マインドを冷やすのではないか、という懸念も指摘されています そうした中で、たしかに、大都市を中心に不動産価格が少しずつ上昇に向かっているようです

 

          

 

著者は「品川・田町開発の野望」という文脈の中で、2012年1月に新聞で報道された「山手線に約40年ぶりに30番目の新駅が開設される」というニュースを紹介しています

「現在の山手線の最も新しい駅は1971年に開設された西日暮里駅で、以降40年以上にわたって山手線に新駅は開設されていない この発表の裏には何があるのか。山手線で駅間の距離が最も長いのが品川と田町の間で、現在そこは車両基地になっている。広さは15ヘクタール、東京ドーム約3.2個分にも及ぶ

「JR東日本によると、2014年をめどに、現在は上野駅が終着駅になっている常磐線、高崎線、宇都宮線をいずれも東京駅まで延伸する計画である。これらの線が日本の鉄道の大動脈である東海道線とつながることで通勤通学の利便性を一気に向上させようというもの 東急東横線と東京メトロ副都心線、西武池袋線、東武東上線の直通運転を超える、劇的な交通導線の改革である

「その結果、現在の田町車両基地にあった東海道線などの車両基地はすべて他の車両基地に移転され、15ヘクタールの広大な敷地が遊休地として活用可能となる 現在の予定では、都営浅草線の泉岳寺駅近くに2020年頃を目処に新駅が開設される予定である。東京都はこの車両基地跡を含む品川周辺を『アジアヘッドクォーター特区』と名付け、多くの外国企業の誘致と外国人の居住を促そうとしている この地域の企業には特例により法人税を減免する。現在40%以上の法人税を約28.9%程度に減免する。この水準はアジアの多くの国々の法人税率に近い水準になるので、アジア系の企業を誘致する誘い水になると期待されている

山手線に新しい駅が一つ出来るということが、いかに日本の経済界に大きなインパクトを与えるかがよく分かる話だと思います しかし、低税率をインセンティブにアジア諸国の企業を誘致するのは良いのですが、同じ国内で経済活動を行う日本の企業からクレームが出ないのでしょうか。日本の中の治外法権的なアジアの存在は、返って日本経済を脅かすことにならないでしょうか

いずれにしても、田町と品川の間に出来る新駅は現在の泉岳寺駅近くとのこと。この周辺の土地は近い将来高騰することは間違いないでしょう

 

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「そっくり館キサラ」でものまねLIVEを観る~レディ・ガガが歌う「思い出酒」

2013年10月10日 07時00分22秒 | 日記

10日(木)。昨夕、新宿三丁目の「そっくり館キサラ」で、ものまねライブ・ショーを観ました これは西新橋地区と内幸町地区のビル管理者等が集まって構成する西新橋一丁目第一町会主催による秋のレクリエーションとして実施されたものです 町会レクとしては最高レベルの89人の参加があり、ライブシアターを貸切で占拠しました

6時15分に新宿伊勢丹隣の「いわみやビル」に集合しエレベーターで8階の「そっくり館キサラ」へ。町会のOさんの采配で会社ごとに座席が割り当てられ、当社の6人はほぼ中央の真ん中の席に座りました最初に食事をとってからライブ鑑賞になるのですが、90人規模の人数なので、食事も会場の前半分、後ろ半分という順番で各自お皿を持ってビュッフェに並びました 中華と洋食が中心でしたが、どれもが美味しく、とくに”これは”と思ったのはカレーとマーボ豆腐でした。ビールや角の水割りを飲みながらライブの開始を待ちました

ライブとは関係なく、町会主催の女性だけを対象にした差別的なくじ引きがあり、町会のOさんが袋に入った名札を10枚くらい引きましたが、当社のAさんが大きめな商品をゲットしました 中身は、推測するに、どこかの地方自治体の”ゆるキャラ”の縫いぐるみではないかと思います それにしても、くじ運の強い人というのはいるのですね Aさんは釣りに行けば、エサを付けなくても魚の方で食い付いてくれるという人なので、相当な強運の持ち主だと思います

 

          

 

あのモモタロウ・・・・?・・・・もとい、キンタローもここの出身だと聞きました。プログラムのスケジュール表によると、この日の出演者は西尾夕紀、古賀シュウ、美川憲二、ニッチロー、さちまる。、筍という名前が載っています 

ネンネンとイッシ-のコンビがMCを務め、客席を盛り上げ、照明がハデに点滅していよいよタレントの出場となりました 最初に筍が登場しました。何人かのモノマネをやって拍手喝さいを受けていましたが、その時は手拍子などしてノッテいたのに、家に帰ったら何を歌ったのかすっかり忘れていました 古賀シュウという人も同じですが、美空ひばりの「愛燦々」はすごく上手かった 美川憲二はご存知、美川憲一のモノマネです。アリテイに言えば顔はあまり似ていないのですが、声はそっくりです

驚いたのは、レディ・ガガのモノマネさんがガガのオリジナル曲の次に、同じハデハデ・ガガ衣装で小林幸子の「思い出酒」を歌ったことです 彼女は、一般の客としてライブを観に来て、「何かできる人?」と言われて、手を挙げてモノマネをしたら観客から大受けし、レギュラーの座を掴んだということです

 

          

 

そして一言もしゃべらないのに会場を興奮の坩堝に陥れたのはニッチロ―です ヤンキースのイチローに身体つきが似ている上に、打席に立って投球を受けるときのバッティングの仕草がソックリなのです。もちろん顔も似ています。一番似ていたのはユニフォームですが

 

          

 

他の出演者の合間にニッチローが出てくるのですが、今度は客席まできて守備の時の真似をします これまたソックリなのです。また舞台に戻ったかと思ったら、今度はおもむろにユンケルのキャップをとってグビグビと飲み始めます

 

          

 

最後の”トリ”は、演歌歌手で、日本テレビの「ものまねバトル大賞」を受賞したという西尾夕紀です 会場に向かって「この中に、テレビでものまねバトル大賞をご覧になったことがある人は手を挙げて下さい」と問いかけたのですが、誰も手を挙げなかったので、心底ガッカリしている様子でした 「観てみたい人はユーチューブをご覧ください」とのことです。今月、本業の演歌の新曲が出る(出身地・青森県の”竜飛崎なんとか”という歌)ということなので、私の住む”おばあちゃんの原宿”巣鴨の駅近くのレコード屋さんに新曲キャンペーンで来たときにでも聴いてみようと思います。夕紀さん、来てね 肝心の歌ですが、一青窈、中島美嘉、ミーシャの歌を歌ったと思います。歓声が上がっていたので、皆さんは知っている歌なのでしょうが、私は普段テレビを見ないので、ひとつも存じ上げませんでした

 

          

 

今回は普段こういう催しに縁のない若者2名も参加しましたが、グラス片手に手拍子をしたりして(できるか!?)イベントに”参加”していました もっとも前夜からの飲み会2連チャンで終始眠そうな若者も約1名いましたが 

コンサートにせよ、こういうモノマネ・ショーにせよ、テレビ番組とかDVDとかではなく、目の前で展開する演奏なりショーを自分の目と耳でじかに見聞きすることが何よりも楽しいということを理解したのではないかと思います 若者よ、これが文化だ いや、これも文化だ

最後に、美川憲二さん、ニッチローさん、レディー・ガガ真似さん、さちまる。さんと握手しましたが、肝心の西尾夕紀さんと握手できなかったのが心残りです やっぱり巣鴨で新曲を聴くしかないか・・・・・・

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伊坂幸太郎著「マリアビートル」、矢月秀作「D1 警視庁暗殺部」、岸本葉子「できれが機嫌よく生きたい」

2013年10月09日 07時00分56秒 | 日記

9日(水)本を3冊買いました 1冊目は伊坂幸太郎著「マリアビートル」(角川文庫)です。文庫本の帯の「東北新幹線の車内で、狙う者と狙われる者が交差する・・・・娯楽小説の到達点」という謳い文句に誘われます。伊坂幸太郎の作品は文庫化すると必ず買います

 

          

 

2冊目は矢月秀作著「D1 警視庁暗殺部」(祥伝社文庫)です。この人の本は初めて買いました。新聞の書評で「読み始めたら止まらない」とありました

 

          

 

3冊目は岸本葉子著「できれば機嫌よく生きたい」(中公文庫)です。岸本葉子さんと言えば、かつてNHK-BSの「週間ブックレビュー」のゲストに時々出演していた素敵な女性です。「生きるためのヒント」が散りばめられたエッセイ集のようです

 

          

 

いずれもこのブログで紹介していきます

 

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荻原浩著「誰にも書ける1冊の本」を読む~「あったかもしれない、今とちがう人生」

2013年10月08日 07時00分32秒 | 日記

8日(火)。昨日の朝日夕刊に「夢膨らむバルーンホール~宮城・松島」という記事が載りました 要約すると、

「宮城県松島町に風船のように空気を膨らませたコンサートホール『アーク・ノヴァ』がお目見えした 音楽祭が13日まで開催中。ポリエステル製で高さ18メートル、幅30メートル、長さ36メートルで、空気を送り続けて支えており500人ほど入れる 建築家の磯崎新氏とイギリス人彫刻家アニッシュ・カプーア氏が造った 音楽祭が終わると、ホールは折りたたんで移動する。被災地での音楽祭は断続的に3年間続ける。次の場所はまだ決まっていない

写真を見るとまるでチョコレート・ドーナッツみたいな感じです。空気を送り続けて支えるということは、東京ドームのミニバージョンといったところでしょうか?一番気になるのはどういう音響なのかということですドーム型ということは屋根が丸いということで、音は乱反射しないのだろうか、などと勝手に心配してしまいます 超一流の磯崎新さんの”作品”ですから、音も丸く収めるのではないかと思ったりしますが

 

          

                 (10月7日付朝日新聞夕刊より)

 

  閑話休題  

 

荻原浩著「誰にも書ける1冊の本」(光文社文庫)を読み終わりました 荻原浩は1956年埼玉県生まれ。1997年に「オロロ畑でつかまえて」で小説すばる新人賞を受賞、2005年に「明日の記憶」で山本周五郎賞を受賞しました。「神様からひとこと」「ひまわり事件」などの著作があります

 

          

 

主人公は1957年北海道生まれで、大学進学を機に上京し広告代理店に勤務したのちに32歳で独立し小さな広告会社を経営しています 40歳で小さな文学賞を受賞しましたが、創作は2冊までで3冊目はなかなか出せません 入院している父親の様態が悪化し、北海道の函館に駆け付けた主人公は、母親から手書きの原稿の束を受け取ります。それは父親の自伝的な手記でした。主人公は、誕生から死に至る父親の一生を手記でたどることを通して自らの人生を振り返ります

父親は手記に次のような言葉が書いています

「ここに記したのは悔恨ではない。同情を買う気もない。ただ知ってほしいだけだ。かつてあった事実を。

息子よ、娘よ。

人生は、何をなしたかではない。何をなそうとしたかだ」

主人公は手記を見て次のような言葉を書いています

「私は原稿に戻る。早く次のページを繰ろうとする手をなだめながら。読み終えてしまったら、死んだ父親をまだこの世につなぎ止めている最後の細い糸まで切れてしまう気がしていた。

私も思う。あったかもしれない、いまと違う人生を」

主人公は、父親の手記を読みながら、どこまでが本当のことで、どこからが作り話なのか、と悩みますその悩みを通して父親との距離を埋めていき、第3作を書く決心をします

誰もがいつかはこれまでの人生を振り返るでしょう。そして静かに語るのです。

「私も思う。あったかもしれない、いまと違う人生を」

 

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東響+アンサンブル・ウィーン=ベルリンでモーツアルト「協奏交響曲K.297b」を聴く~ミューザ川崎

2013年10月07日 07時00分16秒 | 日記

7日(月)。昨日の日経朝刊に、9月14日に日経ホールで開かれた文字・活字文化推進機構と日経の共催による「活字の力~若者にも伝えたい」シンポジウムの模様が見開きで掲載されていました トークショーに作家の道尾秀介氏が招かれていて、自らの読書・創作体験を語っています 道尾秀介は好きな作家なので、彼の作品はこのブログでも何回もご紹介してきました トークショーの中で、道尾氏は次のように語っています

「僕の場合、長編を1本書くのと短編を1本書くのと、エネルギーは同じくらい使います 短編はそれだけ力を入れて書くものと知っていますから、1文字読み飛ばせば全体の意味がまるっきり変わってしまう。ですので、心して読むようにしています

小説に限らず、文章というのは長ければ長いほど書くのが楽な一方、短かければ短いほど苦労が多いものです ある一定の文章を書くとき、長い文章だったらそのまま残せば良いのに対し、短い文章は、元の長い文章から余計な言い回しや事がらを省いていかなければならないからです

「ヘミングウェイが友人と単語6つで小説を書けるかという賭けをして、作った小説があります

『For sale : baby shoes,never worn.(売ります。赤ちゃん用の靴。未使用)』

読む人によって違うと思いますが、僕は、若い夫婦が生まれてくる子どもを楽しみにして靴なども買いそろえていたのに、赤ちゃんは生まれる前に亡くなってしまい、靴を売りに出すという物語が浮かびました 想像の余地が多いと、深さも意味合いもどんどん変わる。それが小説の一番素敵なことろだと思います」

これが優れた小説家の視点だろうと思いました 「本格ミステリ大賞(シャドウ)」「カラスの親指(日本推理作家協会賞)」「龍神の雨(大藪春彦賞)「光媒の花(山本周五郎賞)」「月と蟹(直木賞)」と数々の賞を受賞してきた人気作家は、並外れた想像力の持ち主だったのだとあらためて思いました

 

  閑話休題  

 

昨日、ミューザ川崎で東京交響楽団の「名曲全集第90回」公演を聴きました プログラムは①モーツアルト「ホルン協奏曲第4番変ホ長調K.495」、②同「協奏交響曲変ホ長調K.297b」、③ブラームス「交響曲第4番ホ短調」で、①と②の演奏はアンサンブル・ウィー=ベルリンのメンバーで、ホルン=シュテファン・ドール、オーボエ=ハンスイェルク・シェレンベルガ―、クラリネット=ノルベルト・トイブル、ファゴット=リヒャルト・ガラ―、指揮はマルティン・ジークハルトです

この公演は当初、フルートのウォルフガング・シュルツを迎えてモーツアルトのフルート協奏曲を演奏する予定でしたが、3月28日に逝去されたため、シュテファン・ドールをソリストに迎えたホルン協奏曲に変更になったものです

 

          

          

 

オケがスタンバイします。よく見るといつもの東響と態勢が違います 左後方にコントラバス、前列は左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2バイオリンという対向配置を採ります。この理由は後半のブラームスで分かります

ウィーン生まれのマルティン・ジークハルトとともに1965年ミュンスター生まれのホルン奏者シュテファン・ドールが登場します ジークハルトのタクトで1曲目のモーツアルト「ホルン協奏曲第4番変ホ長調」が始まります ジークハルトは協奏曲ということでオケを抑え気味に進めます。ドールは柔らかい音でモーツアルトの愉悦の世界を表出します 彼は1993年からベルリン・フィルで首席ホルン奏者を務めていますが、さすがの表現力です

モーツアルトは4つのホルン協奏曲を、ザルツブルクの宮廷楽団のホルン奏者で冗談を言い合うほど仲の良かったロイトゲープのために書きましたが、ホルン協奏曲第4番は、わざと楽譜を読みづらくするために赤、青、緑、黒の4色のインクで記譜したとのことです この曲のプログラムに書かれていました

弦楽奏者の椅子がわずかに後ろにずらされ、ソリスト4人のスペースを空けます 2曲目はモーツアルトの「4つの管楽器のための協奏交響曲K.297b」です。4人のソリストの登場です。左からオーボエ、ホルン、ファゴット、クラリネットという態勢を採ります。アンサンブル・ウィーン=ベルリンは1983年に創立され、今年30周年を迎えました。世界トップクラスの演奏家による管楽アンサンブルです

この曲は4人がソリストになってフルに活躍する”協奏”交響曲ですが、ともすると、一人のソリスト(とくにオーボエ)が目立って他の演奏者を圧倒してしまったり、それぞれが「我こそは」と前に出ようとして”競争”交響曲になってしまいがちです しかし、さすがは歴史も実力もあるアンサンブルです。見事にバランスが取れていて、そうかと言って”個”が薄いと言う訳ではなく、各自がきちんと主張するところは主張しています。一流と言うのはこういうのを言うのでしょう

ところで、現在演奏されているこの曲は、モーツアルト研究家オットー・ヤーン(1813~69)の遺品から発見された楽譜です 作曲時に4つの楽器のうちの一つがフルートだったのに、ヤーンの遺品の楽譜ではクラリネットになっていました このことから、この作品は誰か他の作曲家による作品の編曲バージョンではないかと言われており、現在でもなお真作かどうか不明なのです

しかし、この曲を聴いていると、それでは誰が作曲したと言うのか と言いたくなるほど限りなく”モーツアルト的”なのです 私は作曲家の中で一番好きなのはモーツアルトですが、その中でもこの管楽器のための協奏交響曲はベスト3に入るほど好きな曲です この曲が他の作曲家によるものだと明確な理由づけによって証明された日には、私は寝込んでしまいます

彼らは、鳴り止まい拍手に、第3楽章のフィナーレをもう一度演奏し、颯爽と去って行きました

休憩後のブラームス「交響曲第4番ホ短調」は彼の最後の交響曲です。第1楽章冒頭の”ため息”のような旋律は一度聴いたら忘れられないでしょう。寄せては返す波のようです そこで、第1バイオリンと第2バイオリンによる対話があります。左サイドの第1バイオリンが語りかけ、右サイドの第2ヴァイオリンが応えます。これがヴァイオリン・セクションを左右に振り分ける”対向配置”を採った理由だったのです

ここでハタと考えます。ブラームスの生きていた頃は、オケの配置は”対向配置”だったはずだ 現在多くのオケで採っている配置(左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後方にコントラバス)は、ディズニー映画「オーケストラの少女」や「ファンタジア」で有名なレオポルド・ストコフスキーが始めたと言われています 当時は録音方式がモノーラルからステレオに移る時期に当たり、「左からは高音が、右からは低音が」出てくるようにというレコード会社の要請に応じて楽器編成を変えたのです。つまり、左サイドに高音部のヴァイオリン・セクションを集め、右サイドに低音部のヴィオラ、チェロ、コントラバスを集めてステレオで演奏を収録したのです このことからすれば、”対向配置”こそ、本来あるべきオケの配置ではないか、ジークハルトの選択は正しいのではないか、と思うのです 

ジークハルトは第1楽章が終わってもタクトを下ろさず、そのまま第2楽章に移ります。私は何回となくこの曲を生で聴いてきましたが、こういう解釈は初めてです。緊張感を持続させるという意図があるのかも知れませんが、本当の根拠を訊いてみたいものです

力強い第3楽章に続いてパッサカリアによる第4楽章です。終盤フルートのソロがありますが、甲藤さちのフルートが音一つない会場の隅々まで浸みわたります そして、フィナーレではオケ総動員による演奏の振動が、座席の足元まで届いて身体が震えているのが分かります。東京交響楽団の熱演が直接伝わってきました

ところで、ブラームスがこの曲を書き上げたとき、彼が滞在する建物の別室が火事になり、ブラームスは荷物は二の次で消火活動に参加しました。しかし、彼の部屋に火の手が迫りそうになり、友人がブラームスの部屋に飛び込んで交響曲第4番の楽譜を救ったということです プログラムの曲目解説に榊原律子という人が書いていました。モーツアルトのホルン協奏曲第4番の楽譜の解説といい、このブラームスのこのエピソードといい、実に冴えています。個人的にはこういう解説を求めています 某オーケストラのプログラムの解説のようにコムズカシイ解説はいりません

この日は大好きなモーツアルトとブラームスが、最高の演奏で聴けてとても幸せでした

 

          

 

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東京交響楽団2014-2015定期会員継続へ~サントリー・シリーズ、東京オペラシティ・シリーズ

2013年10月06日 07時05分25秒 | 日記

6日(日)。昨日は母の四十九日の法要のため家族で埼玉県S市のお寺に行って来ました 朝からあいにく雨が降っています。8月23日の通夜の日を思い出します。あの日は夕方、自宅からお寺まで車で移動する途中で激しい雷雨になり、参列者も来るのが大変だ、と思っていたら、読経が始まる頃にはすっかり雨が上がっていました 今回も、お寺の本堂での読経が終わり納骨の時間になると、なぜか霧雨に変わり、無事に納骨と墓参りができました。これは母の力かも知れません それにしても月日が経つのは速いものです

法要後の会食が終わったは午後2時を回っていました。実は数か月前に、この日の午後2時開演の東京藝大オペラ、チマローザ「秘密の結婚」のチケットを買っていたのです 多分、途中で休憩時間があるので、後半からでも観られるかもしれないと思っていましたが、会食が終わる頃には疲れてしまって、とてもオペラを観る気力がなくなってしまいました それにしても、偶然とは言え、冠婚葬祭の「葬」と「婚」が重なってしまったのにはです。

 

  閑話休題  

 

東京交響楽団の2014-2015シリーズ定期会員の継続案内が届きました 新シーズンは音楽監督がユベール・スダーンからジョナサン・ノットに代わります。スダーンは音楽的にも人間的にも好きな指揮者でした。新監督のジョナサン・ノットは未知数ですが、大いに期待したいと思います

現在、オーケストラ・オペラは8つ定期会員になっていますが、そのうち3つが東京交響楽団です 今回の継続案内はサントリーホール・シリーズと東京オペラシティ・シリーズの2つのみで、ミューザ川崎での「名曲全集」は主催者のミューザ川崎から別途案内が届くようです

サントリーホール・シリーズは年10回公演ですが、新監督ジョナサン・ノットの登場は4回です 4月のマーラー「第9交響曲」、6月のシューベルト「ザ・グレイト」、12月のブルックナー「第3交響曲」、3月のワーグナー「パルジファル(抜粋)」と大曲が並んでいます 現音楽監督のスダーンが5月公演でベルリオーズ「テ・デウム」を指揮するのは嬉しいニュースです 他の公演では小菅優がリスト「ピアノ協奏曲第2番」を、庄司紗矢香がドヴォルザーク「ヴァイオリン協奏曲イ短調」を演奏するのが楽しみです

東京オペラシティシリーズは年5回公演ですが、ジョナサン・ノットの登場は4月のシューベルト「交響曲第4番」、ブラームス「ピアノ協奏曲第1番」、6月のバッハ「音楽の捧げ物」、ブラームス「交響曲第4番」の2公演です また、10月公演ではファジル・サイによるモーツアルトの「ピアノ協奏曲第21番」、サイの「交響曲第1番」が聴けます。3月公演ではレジス・パスキエがブラームスの「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」を弾くのが聴きものです

年間会費を今シーズンと比較すると、サントリーシリーズが49,000円から57,000円へと8,000円の値上がり、オペラシティシリーズが26,000円から31,500円へと5,500円の値上がりになっています(いずれもS席の例) これは音楽監督交代とソリストの充実によるコストアップと思われます しかし、それぞれの公演プログラムを眺めると、やっぱり2014-2015シーズンも定期会員を継続するしかないだろうという結論に達します さっそく継続の通知を出しておきましたが、出きればもう少し前の通路寄り席を希望する旨も書いておきました

 

          

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園子温著「自殺サークル」を読む~クラシカル・プレイヤーズ東京演奏会のチケットを購入

2013年10月05日 07時00分38秒 | 日記

5日(土)。昨日午後、東京ビッグサイトに「東京国際消防防災展2013」と「危機管理産業展2013」を見に行ってきました 金曜日ということでか、会社、団体、一般の見学者がひしめき合っていました 最新式の消防自動車も多く展示されていました

 

          

 

また、一昨年の3.11大震災の際の福島原発事故以降の特徴として、今年も除染用防護服の展示が目立っていました

 

          

 

  閑話休題  

 

クラシカル・プレイヤーズ東京のコンサート・チケットを買いました 来年2月1日(土)午後2時から池袋の東京芸術劇場で開かれます。プログラムは①ヴィヴァルディ「調和の霊感から第10番”4つのヴァイオリンのための協奏曲ロ短調”」、②テレマン「リコーダーとファゴットのための二重協奏曲ヘ長調」、③C.P.E.バッハ「オルガン協奏曲ト長調」、④J.S.バッハ「管弦楽組曲第3番ニ長調」です       

前回まで2回続けて仲道郁代がソリストを務めてモーツアルトのピアノ協奏曲を演奏していたのですが、今回はバロック音楽に特化しているので、チケットを買うかどうか迷いました バッハの「管弦楽組曲第3番」が古楽器で聴けるし、S席が4,000円と割安だから買っとくか、というわけで購入しました

          

          

 

  も一度、閑話休題  

 

園子温著「自殺サークル」(河合文庫)を読み終わりました 園子音(そのしおん)は1961年愛知県生まれ。映画「紀子の食卓」「愛のむきだし」「冷たい熱帯魚」「ヒミズ」「希望の国」の監督として有名です初めて「冷たい熱帯魚」を観たときの衝撃は忘れられません 彼の映画の特徴は必ずといっていいほどクラシック音楽が使われていることです

この本は著者が「あとがき」に書いているように、「一般的には映画『紀子の食卓』の原作、ということになるのだろう。もともとは映画の話題作りのための書き下ろし小説として、世に出たものだった」というものです 

「女子高校生54人が手に手を取って、新宿駅のホームから一斉に電車に飛び込んだ 彼女たちの着ていた制服は、同じ学校の制服ではなかった。また、数名を除くほとんどが名前さえ不明だった。さらに遺書が一通も存在しない こうした事実がこの事件の異常さを物語っていたが、最も異常なのはなぜ54人もの女子高生が一斉に自殺したのかということだった??54という数字は、実は上野駅のコインロッカーのナンバー54のことだった。ここで生まれたコインロッカーベイビーがすべての始まりだった

残念ながら私は映画『紀子の食卓』をまだ観ていません この本を読み終わった今、絶対に観たいという思いが強くなっています

 

          

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新日本フィル室内楽シリーズを聴く~村松裕子さん、プレトーク・デビュー!

2013年10月04日 07時00分24秒 | 日記

4日(金)。昨夕、すみだトりフォニーホール(小)で新日本フィル室内楽シリーズ2013-2014シーズン第1回目のコンサートを聴きました プログラムは①ドッツァウアー「3つのチェロのための6つの小品」、②ブラームス「弦楽六重奏曲第1番変ロ長調」です

開演に先立ち、プレトークがありました。これまで新日本フィルの第2ヴァイオリン奏者・篠原英和さんが天才的とも言える鮮やかな解説で聴衆を魅了してきましたが、今シーズンからコントラバス奏者・村松裕子さんが務めることになりました。この日がデビュー戦です

実はこの日、新国立劇場でヴェルディの「リゴレット」のプルミエ公演を観る予定だったのですが、新日本フィルのこの公演と重なってしまったので、村松さんのプレトーク・デビューを優先し、新国立の方を”振替サービス”を利用して別の日に振り替えてもらったのです

 

          

 

会場に着いてコーヒーを注文しに行こうとすると、「トラさん、こんばんは!」と明るいテノールの声が。赤ワインを片手にニコニコしているのは新日本フィルの篠原英和さんでした 「トラさん、最近もコンサート頻繁に行かれているようですねえ どうですか、もう今年の目標に達しましたか?」と訊かれたので、「まだですね。今130回くらいです」と答えました。(後で調べたらこの日は今年138回目でした)。いずれにしても、篠原さんは時々このブログを読んでくださっているのだな、とありがたく思いました

「今度の土日はどのようにお過ごしですか?」と尋ねると「新クラシックの扉シリーズで金・土と十束尚宏君の指揮でショパンのピアノ協奏曲第1番とチャイコフスキーの交響曲第4番を演奏するんです。昨日と今日はリハーサルだったんです」との答えが返ってきました。「十束尚宏と言えば、昔、小澤征爾のレッスンを受けているシーンを収録したビデオがありましたね」と言うと、「ああ、泣いちゃうやつね タングルウッドの時の・・・・」との答え。「そうです。曲はウェーバーの”魔弾の射手”序曲でした」「そうそうあれを観ていると、可哀そうになってくるんですよ。このシーンの後泣いちゃうんだって思ってね」 あくまでも優しい篠原さんです

篠原さんが、プログラムに挟み込まれたチラシを見ながら「このコンサートは是非お薦めです」と推薦してくださったのは、まず1月のトりフォニーシリーズのハウシルト指揮によるシューベルト「交響曲第4番」とブルックナー「交響曲第4番」。かなりのご高齢なので、あとどのくらい聴けるか分からないとのこと 4月定期の上岡敏之指揮によるシベリウス「交響曲第4番」とベートーヴェン「交響曲第6番」も面白い演奏になるだろうとのこと。これは経験上判ります 10月のサントリーホールシリーズでドビュッシー「ベルがマスク組曲」より”月の光”、ラヴェル「ラ・ヴァルス」「ボレロ」ほかを指揮するスピノジは、クラシック演奏家を撮影していることで有名な木下晃さんによると「彼の指揮はまるでカルロス・クライバーのようだ」ということです 

「今夜は篠原さんの後任の村松さんがプレトーク・デビューですね」と持ちかけると、「彼女は、やってくれると思いますよ 私の時とやり方をガラッと変えるようです。とても楽しみです。最初のうちは毎回見守りに来たいと思います」とやさしい心配りを見せていました

7時になり、いよいよ村松裕子さんがマイクを持って登場です 白のブラウスに黒のベスト、黒のパンツルックで抜群のスタイルを保ちます

「このシリーズも早いものでもう10年目を迎えます。今回からプレトークを担当することになりましたコントラバス奏者の村松裕子です。よろしくお願いします () 実は今、妊娠5か月目に入ったところです (あら~、まあ~ )ずっと立っているのもつらいので、バスイス(コントラバスを演奏する時に座る高い椅子)に座らせていただきます」(そうか、あれはバスイスと言うのか・・・・。じゃあ、お風呂で身体を洗う時に座る椅子はバスイスじゃなかったのか・・・・この際どうでもいいけど

「プレトーク初の試みとして、今までワンコイン・パーティーでやっていた演奏者へのインタビューを、演奏直後に舞台上でやることにします

「新年度からインゴ・メッツマッハ―さんが指揮を取ることになったのですが、ハイテンションで始めてハイテンションのまま終わって去って行ったという感じです リハーサルも本番も同じようにはならない、常に変化している感じでした 彼の書いた本にあるように、今、目の前にある閃きを掴んでそれを音に変えていく、というような感じでした

「1曲目の作曲者ドッツァウアーは、チェロを演奏する人は必ず習う有名な教則本を書いた人です チェロはコントラバスと違って、音域が広いのでチェロだけの三重奏でもメロディーと伴奏がはっきりと分かるようになっています チェロは人間の声に似ていると言われていて、優しいイメージがありますね

「2曲目のブラームスの『弦楽六重奏曲第1番』は楽譜を見ると、音符がト音記号の下の部分に集中しているのですね 重低音のサウンドと言われる所以です

「開演に当たって、この会場の空気を皆さまのご協力を得て締めたいと思います ”いっせーの”と掛け声をかけますので1本締めの要領で”パン”と叩いて下さい・・・・よろしいですか?それでは、いっせーの」 ”パン” 「ありがとうございました

デビュー戦と言うこともあって、はっきり言ってかなり上がっていると感じましたが、村松さんの”意気込み”を感じさせるプレトークだったと思います

そして演奏に移ります。1曲目のドッツァウアーの「3つのチェロのための6つの小品」は、竹澤修平、多田麗王、矢野晶子の3名によって演奏されます 村松さんの解説の通り、チェロは音域が広いので十分アンサンブルを楽しむことができます。個人的には終盤のパストラーレ、ラルゲットーアレグロが楽しく聴けました

2曲目のブラームス「弦楽六重奏曲第1番変ロ長調」は、第1ヴァイオリン=山田容子、第2ヴァイオリン=一重弘子、第1ヴィオラ=木村恵子、第2ヴィオラ=原孝明、第1チェロ=竹澤修平、第2チェロ=多田麗王によって演奏されます

第1楽章を聴いていて、この曲を演奏するのって楽しいだろうな・・・・と勝手に想像しました 6人のメンバーが緊張を保ちながらも演奏することを楽しんでいるように見えたからです 第2楽章のアンダンテ・マ・モデラートは映画音楽などでも有名ですが、慟哭の音楽です昔、多岐川裕美が主人公の女スリを演じたテレビドラマのテーマ音楽に、この曲のピアノ独奏バージョンが使われていました あれは彼女の深層心理にぴったりの選曲でした 一言でいえば”悩みを抱える孤独な女”のテーマ音楽です

最終楽章も穏やかで良い曲です。ブラームス27歳の時の作品ですが、ブラームスの明るい部分がよく出ています この曲を聴いていつも思うのは「ブラームスの室内楽はいいなあ」ということです。とくに、今ごろの”秋”こそブラームスが一番ピッタリきます

演奏後にチェロの武澤秀平が舞台に残され、村松さんからインタビューを受けました 村松さんが1曲目と2曲目の曲想について感想を述べ、それについてどう思うかと問いかけるのですが、どうも竹澤君の答えはイマイチ分かりにくく、簡単に言えば良いことを、わざと難しく答えようとしているように感じました 彼一流のテレなのかも知れませんが・・・・・・ 彼の演奏は古楽器でやる時も含めて素晴らしいと思いますが、トークは篠原さんを見習って勉強した方が良いと思います

終演後は、ワンコイン・パーティーに参加しました。篠原さんがマスターの時はすぐに始まったのに、松村さんはなかなかロビーに現われません やっと姿が見えたと思ったら、オレンジジュースを飲みながらお客さんと談笑を始めました そのうち、前任者・篠原英和さんと一緒に新日本フィル事務局のNさんのカメラに収まっていました 近くでワインを飲んでいた老年の紳士の声が聞こえてきます

「さっき舞台でインタビューやっちゃったから、ワンコイン・パーティーじゃあトークはないのか 前のスタイルに慣れてるわれわれ常連にとっては何か変な感じだなあ まあ、これはこれでいいけどね・・・」

私もまったく同感です。今までの”篠原スタイル”に慣れてしまっているので、なにか物足りないのです結局、赤ワイン2杯を飲んで、この日のことをブログにどう書こうか、と考えつつ帰途に着きました

次回は11月15日(金)で、モーツアルト「フルート四重奏曲第4番」とチャイコフスキー「弦楽四重奏曲第1番」なのですが、またしても別のコンサートとダブっているのです また悩みが一つ増えてしまった。どうしよう

 

          

 

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東京フィル「響きの森クラシック・シリーズ」2014-2015シーズン会員継続へ

2013年10月03日 07時00分33秒 | 日記

3日(木)。昨日の日経夕刊「エンジョイ読書」欄の「ベストセラーの裏側」コーナーに、8月5日の当ブログでも紹介した室住光著「史上最強の内閣」(小学館文庫)が取り上げられていました 内容は、北朝鮮問題が切迫する中、本物の内閣に代わって、京都でひそかに出番を待っていた公家出身の首相率いる「本物の内閣」が政権の座に着き危機を回避する、という話です

2010年11月に単行本で発売された時は目立った売れ行きはなかったのに、文庫化すると発売3日で重版となるなど人気に火が点いたとのこと 続編である「史上最強の大臣」が今年5月に発売されたということですが、当ブログに投稿してくれた”りんりん”さんによると「前作が優れていただけに、もうひとつだった」とのこと 文庫化すれば、きっと売れると思います

 

  閑話休題  

 

数日前、文京シビックホールから、東京フィルの「響きの森クラシック・シリーズ2014-2015シーズン」会員継続案内が届きました 

コンサートの日程とプログラムは以下の通りです いずれも時間は午後3時から、文京シビックホール。

①5月10日(土) ①メンデルスゾーン「”フィンガルの洞窟”序曲」、②リスト「ピアノ協奏曲第1番」(ピアノ:清水和音)、③ベートーヴェン「交響曲第5番ハ短調」 指揮:小林研一郎

②7月5日(土) ①グリンカ「ルスランとルドミュラ」序曲、②メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲」(ヴァイオリン:周防亮介)、③ドヴォルザーク「交響曲第9番」 指揮:小林研一郎

③1月10日(土) ①グリーグ「ピアノ協奏曲」(ピアノ:上原彩子)、②マスカー二「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲、③プッチーニ「蝶々夫人」より”ある晴れた日に”、④同「トゥーランドット」より”誰も寝てはならぬ”、⑤ヴェルディ「椿姫」より”乾杯の歌”ほか ソプラノ:佐藤しのぶ、テノール:錦織健、指揮:高関健

④3月7日(土) ①メンデルスゾーン「交響曲第4番”イタリア”」、②シベリウス「フィンランディア」ほか 指揮:尾高忠明

4回のうち3回の公演に大好きなメンデルスゾーンが含まれています メンデルスゾーンが含まれていない1月公演は演奏者が魅力的です。これは”買い”でしょう 定期会員会費はS席=19,000円、A席=16,500円、B席=14,000円となっています。これまでのS席を継続することにし、ハガキを出しておきました

 

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阿川佐和子著「残るは食欲」を読む~パッションフルーツのパッションってどういう意味?

2013年10月02日 07時00分27秒 | 日記

2日(水)。昨日、会社の入り口に表示している「クールビズ実施中」の張り紙を外しましたが、引き続きノーネクタイで通しています 元の職場に勤務している時は1年中ノーネクタイで過ごしていました 今後は、会議のある時にはネクタイを着用しようと思います という訳で、昨夕は10時過ぎまで都内某所でノーネクタイで飲みました 若干喉が痛いのは歌い過ぎではなく風邪をひいたのかも ネクタイしてなかったのに自分で自分の首を絞めてしまったか・・・・・・

 

  閑話休題  

 

阿川佐和子著「残るは食欲」(新潮文庫)を読み終わりました 阿川佐和子と言えば、つい最近まで大ベストセラーを続けていた『聞く力』で有名なインタビューの名人です

この本は、2006年5月から2007年12月まで「クロワッサン」誌上に連載された、食にまつわるエッセイをまとめたものです タイトルの「残るは食欲」は、佐和子さんの悪友・壇ふみさんが言った次の言葉だそうです

「愛欲と物欲を捨てた今、自分と俗世を結ぶ唯一の絆は食欲のみ」

壇ふみと言えば、N響アワーの作曲家・池辺晋一郎とのコンビによる名司会ぶりが思い出されます 彼女はチャイコフスキー大好き人間で、番組で「チャイコ様」と呼んでいたのを懐かしく思い出します

 

 

          

 

この本には食にまつわるトリビアが満載です 

「サメとフカってどう違うの?」と疑問に思った佐和子さんはスタッフに尋ねます。すると「基本的にサメとフカは同じサカナ。学術的にはサメが正しい名称だが、一般的には東日本ではサメ、西日本ではフカと呼んでいる様子」という答えが返ってきます これに対して佐和子さんは「でも、フカヒレって宮城県気仙沼が世界的な名産地なのに、なんでサメヒレじゃないのかな?」と疑問を呈します。するとスタッフから「そもそもフカヒレを日本で初めて紹介したのが長崎らしい。だからフカヒレなんです」という答えが返ってきます 私も初めて知りました

また、丸の内の丸善書店にサイン会に行った時、店長から「ハヤシライス は実は当社の創業者である早矢仕有的(はやしゆうてき)が考案したもので、ここでは元祖ハヤシライスを再現し、喫茶コーナーで出しております」と言われ、驚いたとのこと これについては西洋から伝えられた「ハッシュドビーフ」が名前も味も日本風にアレンジされて「ハヤシライス」が誕生したという説もある、と紹介しています 今パソコンで「はやし」と打って変換したら3番目に「早矢仕」という文字が出てきました。それ程知られた苗字なのでしょう

一番驚いたのは「パッションフルーツ」です。佐和子さんが初めて「パッションフルーツ」に出会ったのは奄美大島の友人から送られてきた時だそうです

「パッションフルーツ。訳して情熱果物・・・・と、長らく思い込んでいたのだが、実は違うんですね パッションフルーツのパッションは、『キリストの受難』を意味し、花のかたちが十字架に架けられたイエスキリストの姿に似ていることから、その名がつけられたそうである

佐和子さんが初めてパッションフルーツを食べた時の感想を「南の島の豪華ホテルのバルコニーにて、爽やかな海風を頬に受けながら、さざ波の音を耳に優雅な朝ごはんをのーんびり食べている気分である」と表現しています

私もてっきり「情熱の果物」とばかり思い込んでいました たしかに、J.S.バッハの「マタイ受難曲」は英語表記で「マタイ・パッション」です

 

          

 

また、阿川家の驚きの食卓が紹介されているエッセイもあります

「我が家にはカレーライスにイチゴジャム を添えて食べる習慣がある ずっと昔、どなたかから母が教えられ、実行してみたら父も家族も気に入って、以来、続けているのだと推測される イチゴジャムのイチゴらしい甘味と、ピリピリ辛いカレーの味を交互に味わうと、ほんわかした気持ちになる・・・・この話は実のところ、何度も書いて、何度も人様に語り聞かせているのだけれど、いっこうに広まった気配がない。無念

これを読んで、私は佐和子さんの無念を晴らすために一大決心をしました。親しい知人にこう言うのです

「阿川佐和子がカレーにイチゴジャムを添えて食べるとすごく美味しいとエッセイで書いている。納豆カレーだってあるくらいだ。絶対イケる 食べ終わったら感想を聞かせてくれ。イケる味だったら自分でも試してみるから

以上、いくつか面白そうな内容のエッセイをご紹介してきましたが、実はこの本の本当の魅力は阿川佐和子さんの文章表現にあります エッセイなので「文語体」で書かれていますが、まるで「口語体」で書かれているように語りかけているのです

例えば「カブと風邪」というテーマのエッセイでは、出張帰りに松山空港のロビーで売られていたカブと小松菜を買って帰る話が書かれていますが、こんな感じです

「まさかこれから飛行機に乗る身で生野菜を抱えて入るわけにもいくまい 段ポール箱の間を抜けて、その奥の売店を一巡し、そろそろゲートのなかに入ろうと思ったとき、小松菜が私を引き止めた。『行っちゃうの?俺、安いんだぜ』 見直してみれば、なるほど小松菜が一束でたったの30円。その隣の大粒のカブは、長さ50センチほどのたわわなる葉を付けた状態で、5個一束120円なり にわかにカブと油揚げの炒め煮が食べたくなった。『よし、連れて帰るぞ!』 私は映画『昼下がりの情事』のラストシーンでゲーリー・クーパーがオードリー・ヘップバーンを抱き上げるがごとく、カブと小松菜を一束ずつつかみ上げ、合計150円を払って飛行機に乗り込んだ

ところが家路に着くころから風邪がぶり返し、寝込むことになります さてカブと小松菜の運命やいかに・・・・知りたい人は本を買ってください。えっ、本を貸してくれって?そんなこと言われるとコマツナっちゃうなあ。カブが下がるから言わない方がいいですよ

私は女流作家の文章では向田邦子が一番好きですが、違った意味で阿川佐和子の文章が好きです

 

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