23日(水)。昨夕、NHKの「クローズアップ現代」を観ていて、終わってからもテレビを点けっぱなしにしていたら「歌謡コンサート」という番組が始まりました。五木ひろしが歌を歌い始めると、娘が「あっら~、コロッケそっくり~。本当にこういう動きをするんだ~」とのたまいました われわれの世代は、まず五木ひろしがいて、それをコロッケが真似をして「あ~、そっくりだ」と言って感嘆するのですが、今の若い世代は、まずコロッケがいて、誰かのモノマネをして、本人が出てきたときに「あ~、そっくりだ」と感嘆するみたいです。本末転倒ですね
私は観ていなかったのですが、次に森昌子が出てきた時に階段かどこかでコケたらしいのです 娘が「いま、森マサコがコケたよ」と言うので、「それじゃあ、森マサカだね」と返したら、ほとんど無視されました。身内に無視されるって寂しいものですね
閑話休題
「新潮45」編集部編『凶悪~ある死刑囚の告発』(新潮文庫)を読み終わりました 編集部編となっていますが、実質的には2008年から「新潮45」の編集長を務めている宮本太一氏が執筆しています
外務省のラスプーチンと呼ばれた元外務省主任分析官・佐藤優氏が「解説」に次のように書いています
「本書は少なくとも過去十年に私が読んだ殺人事件を扱ったノンフィクションのなかで最大の衝撃を受けた作品である 資本主義社会においては、すべてをカネに転換することが可能である。保険金殺人で人間の命をカネに換える『死の錬金術師』が現実に存在するのだ しかも、その主犯が法の裁きを受けずに市民社会の中で平穏に暮らしていく。この犯罪が明るみに出たのは、主犯とともに殺人を実行した後藤良次氏の告白による。しかも、この告白は、警察官や検察官に対して行われたのではなく、一人の編集者に対して行われた」
新潮社の記者・宮本氏は元ヤクザの後藤良次氏から「人を殺して、その保険金を手に入れる”先生”と呼ばれる男がいる。自分は”先生”の命令によって何人かを殺し保険金を手に入れる手伝いをした。しかし、”先生”は自分を裏切って舎弟を見殺しにして自殺に追いやった 復讐するため”先生”を告発する。ついては宮本氏に本当のことを打ち明けるので雑誌で公表してほしい」と打ち明けられます
宮本氏は相手が元ヤクザで拘置所に収監中の殺人犯であることから、信じていいものかどうか悩んだ末、現場を歩き、関係者に取材し、告発が本物であることを確信します 元ヤクザと雑誌記者の連携による”先生”の悪事への追及は最終的に警察を動かし、本物の「凶悪」を追い詰めていきます
「本当にこんなことがあるんだろうか?」と思うほど残酷な”凶悪犯”が現実に存在していたことに驚きますが、まだ捕まっていない”凶悪犯”も何気ない顔をしてのうのうと生きているのかも知れないと思うと、戦慄を覚えます